第575回 定期演奏会2/9(金)19:00、2/10(土)15:00 大阪/フェスティバルホール問 大阪フィル・チケットセンター06-6656-4890 https://www.osaka-phil.com4/26(金)19:00 紀尾井ホール問 紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp https://kioihall.jp55タイトルで、ショパン作品はもちろん、同時代のシューマン夫妻、リスト、メンデルスゾーン、師のエルスネルや同門の友人だったフォンタナ、ショパンの弟子で助手でもあったミクリ等々、20名ほどの作曲家の作品で構成されている。その中には、ショパン作品に登場するパガニーニ(「パガニーニの思い出」)や、夜想曲の創始者フィールドの「夜想曲第2番」なども含まれており、使用楽器はショパンが愛したプレイエル、しかもショパン時代の響きが堪能できる1843年製(タカギクラヴィア所蔵)なので、ショパンの新たな側面を垣間見ることもできそうだ。趣向を凝らした見事なプログラムと名器の響き。この最終回は聴き逃せない。井上道義 ©飯島 隆©Shin Matsumoto文:柴田克彦井上道義(指揮) 大阪フィルハーモニー交響楽団二度と体験できない極め付きのショスタコーヴィチ 2024年末での指揮活動の引退を発ア出身の世界的歌手アレクセイ・ティ表して以来、井上道義が振る公演にはホミーロフが務めるのも嬉しい。ムー“凄み”が横溢している。集中力漲るティ&シカゴ響の本作でも賞賛を博しコラボから生み出される音楽は緊密かた深い歌声は極めて心強いし、合唱つ濃密。彼がシェフを務めたゆかりのの国スウェーデンのオルフェイ・ドレン深い楽団ならば、その度合いはより強ガーの圧倒的な男声合唱も名演を後くなるに違いない。押しする。ともかく本作は演奏機会が そこで注目されるのが大阪フィル少ないので、この一期一会の公演は聴ハーモニー交響楽団の2月定期。井上き逃せない。 加えて、J.シュトラウスⅡ世「クラップが2014~17年に首席指揮者を務めフェンの森で」(元々は初演地ロシアて一時代を築いた楽団の定期演奏会の森に因む曲)、ショスタコーヴィチのにおける最後の共演だ。メインはショスタコーヴィチの交響曲第13番「バビ・「ステージ・オーケストラのための組曲」(曲中のワルツ第2番はソ連のプロヤール」。第二次大戦下のウクライナパガンダ映画で使われた)のカップリンで起きた、ナチスによるユダヤ人の大グも意味深長。現況下で聴くべき意量虐殺をテーマにした迫真的な傑作で義深いプログラムを、渾身の演奏で堪ある。ショスタコーヴィチはむろん井能したい。上の代名詞。特に大阪フィルでは、第2、3、4、11、12番といったレアな交響曲を多く取り上げているので、阿吽のコンビネーションが期待される。また13番は声楽も肝だが、バス独唱をロシ紀尾井レジデント・シリーズ Ⅱ 川口成彦(第3回・最終回)周辺の作曲家たちと同時代の銘器から浮かび上がる新たなるショパン像文:上田弘子 気鋭のアーティストが、多彩な選曲構成で音楽の魅力と可能性を聴かせるプロジェクト「紀尾井レジデント・シリーズ」。全3回の中で、アーティストが腕によりをかけて披露するプログラムは、「ここでしか聴けない」掘り出し物のような名作・名演が多く、目下進行中の川口成彦公演も然り。 川口は第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクール第2位入賞を機に広く知られるようになったが、熱心なファンの間ではそれ以前から引き出しの多い音楽家として知られる存在であった。彼のステージでは、初めて知る作曲家や作品であっても、楽曲の歴史的背景や形式・様式を優しい説得力を持って表現してくれる。そのため、過去2回ともレアな作品や意外な選曲でも、納得感とともに心が豊かになる公演だった。そのシリーズがいよいよ最終回を迎える。 今回は「ショパンと彼の仲間たち/ショパンへのグランド・オマージュ」の
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