eぶらあぼ 2024.2月号
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第11番・第12番「断章」、クァルテット・アンジェリカの第14番「死と乙女」と続く。第2部はクァルテット・テネラメンテの第9番、クァルテット・フェリーチェの第13番「ロザムンデ」、そして最後の第15番をクァルテット・プリマヴェーラが聴かせる。どの組も現役の学生や卒業したばかりの若者たちによるフレッシュな顔ぶれで、名門コンクール優勝・入賞者も含まれる。俊才たちの挑戦を見届けたい。シューベルト:弦楽四重奏曲演奏会3/3(日)①13:00 ②18:00 TCMホール(東京音楽大学 中目黒・代官山キャンパス)問 プロジェクトQ実行委員会(テレビマンユニオン内)03-6418-8617https://www.tvumd.com歌詞にしている歌曲を取り上げてみようと考えました。第1部はひとつの歌詞にいろんな作曲家が曲を付けている例。第2部では、ひとつの歌詞に、なんと一人で20数曲の歌曲を作曲したロッシーニの曲をいくつか聴いていただきます。歌うテキストは全部で5つだけなので、お客様にお配りする歌詞対訳が少なくて済みます(笑)」 つまりテーマの軸は「メタスタージオ」ともいえる。 「当時のオペラ台本は韻文。それがどれだけ音楽的に整えられているかが重要です。メタスタージオのテキストは、詩を読んだだけでそのまま音楽的なインスピレーションが湧くレベルだったのだと思います。バロックの台本作家を並べて考えてみても、メタスタージオ“1強”といえます」 出演は田中絵里加(ソプラノ)、秋本悠希(メゾソプラノ)。期待の二人の新人。 「田中さんはスカラ座の研修所でめきめきと頭角を現し、今はイタリア在住。ボローニャ歌劇場ではヴィオレッタにもオペラ宅配便シリーズ 番外編 NON SOLO OPERA!(ノン・ソーロ・オペラ)“替え曲”大作戦! 〜ひとつの歌詞から生み出される色とりどりの楽曲〜2/25(日)14:00 ヨコスカ・ベイサイド・ポケット問 横須賀芸術劇場046-823-9999  https://www.yokosuka-arts.or.jp54Interview彌勒忠史(ナビゲーター/企画・構成)オペラをもっと身近に! テーマは替え歌ならぬ替え曲!? 「同じ食材からどれだけバリエーション豊かなお料理を作ることができるか。そういう楽しみ方の音楽会です」 横須賀芸術劇場で2001年から続く超ロングラン人気シリーズ「オペラ宅配便」の企画・構成を務める。2月の公演は「替え曲」特集。 「音楽の授業で、『野ばら』をシューベルトとヴェルナーで聴き比べたことがあると思います。あれと同じコンセプトです」 つまり、歌詞が同じでメロディが異なる作品の数々。 「でも私は昭和の時代をマンガとアニメで育ってきた人間なので、発想のもとはシューベルトやヴェルナーでなく、『月光仮面』でして。私が子ども時代に見ていたアニメ版『月光仮面』の主題歌は、白黒時代の実写版と同じ歌詞なのにメロディがまったく違う。それが子ども心にすごくショックだったんですね。 さらに、数年前にペルゴレージの《オリンピーアデ》というオペラをやったのですが、そのメタスタージオの同じ台本に何十人もの作曲家が《オリンピーアデ》を作曲しているというので、おーっ! となりまして。 だったら今回、メタスタージオのオペラ台本から同じテキストを切り取って抜擢されています。まんまイタリアの声! すごいですよ。今イチオシです。 秋本さんを初めて聴いたのは日本音楽コンクールの審査でした。当時ロンドンに留学されていて、予選の時から光るものがありました。言葉の扱いがすごく繊細。久しぶりに聴くので、どう進化しているか楽しみです」プロジェクトQ・第20章 本公演より取材・文:宮本 明文:林 昌英プロジェクトQ・第21章 若いクァルテット、シューベルトに挑戦する瑞々しい感性が描き出す深遠なるシューベルトの世界 昨年「第20章」の節目を迎えた「プロジェクトQ」。若いクァルテットの発掘と育成を目的とする企画で、ウェールズ弦楽四重奏団やクァルテット・インテグラをはじめ、いま各地で活躍中の多くの弦楽器奏者もかつて参加してきた名プロジェクトである。 今シーズン「第21章」のテーマは「シューベルト」。弦楽四重奏曲第8番から第15番を6団体が担当する(10番を除く、11番と単一楽章の12番は1団体)。3月3日の本公演では2部構成でその成果が披露される。 第1部はルシェリア・クァルテットの第8番で開始し、クァルテット・ルーチェの

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