4/4(木)19:00 サントリーホール問 MIYAZAWA & Co. info@miy-com.co.jp https://miy-com.co.jp3/19(火)12:30 大田区民ホール・アプリコ問 大田区民ホール・アプリコ03-5744-1600https://www.ota-bunka.or.jp53アーティスト」のオーディションで選出されたピアニストが出演、未来にはばたく演奏家を発掘している。 第73回の演奏者は、現在、東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程に在学中の尾形祐香。ソロ、アンサンブルと積極的に演奏活動を行いながら、都立総合芸術高等学校音楽科講師も務めるなど、幅広い分野で活躍を続けている。メンデルスゾーンの「無言歌集」からの抜粋にショパンのバラード第1番とロマン派を中心としたプログラムで、アンサンブルで培った歌心や多彩なニュアンスを聴かせてくれることだろう。そして的確な音楽作りで、楽曲およびヴァイオリンの美点を示し、前記のようなスタミナを要するプログラムでも、終始高いクオリティを保ち続ける。すなわち真の実力者である。 今回の3曲は、ロマン派の名作揃いだった前回よりも多様性が増した。パガニーニの1番では超絶技巧と歌う能力、ブルッフの1番では豊潤な音色とロマンティックな表現力、シベリウスでは強靭さと繊細さ、民族性とモダン性の共生が求められる。だが、それらすべてを兼ね備えた周防ならば、我々は安心して身を委ねることができる。パガニーニでは「24のカプリース」等でみせた技巧の冴えや美音による歌い回し、ブルッフでは前回のメンデルスゾーン等で示した流麗かつ芯のあるパフォーマンス、シベリウスでは芳醇で深みのある表現力が発揮されるであろうし、何より各曲の魅力をナチュラルに伝えて、聴く者を楽しませてくれるに違いない。 共演は、渡邊一正指揮・日本フィル周防亮介 ©松尾淳一郎渡邊一正 ©Satoshi Mitsutaハーモニー交響楽団。23年6月の演奏会も指揮して周防の特性や破格の持続力を知る渡邊のリードも、経験豊富な日本フィルのバックも実に心強い。しかも今回はシベリウスの協奏曲があるので、同作曲家の演奏に関して我が国随一の伝統を誇る日本フィルの強みも大いに生かされる。 稀有の実力を持つ俊才の腕前と、普段まとめて聴くことなどまずない3つの協奏曲の魅力を満喫できる本公演。ぜひとも生で体験したい。文:長井進之介文:柴田克彦アプリコお昼のピアノコンサート2023 VOL.73 尾形祐香期待の若手ピアニストが魅せる甘美なロマン派の世界 大田区の地域文化・芸術の活動・発信拠点である大田区民ホール・アプリコ。2023年に開館25周年を迎え、3月にリニューアルオープン。その響きの良さや多彩な周年事業の実施により、注目を集めている。 そんな同ホールで2008年から開催されているのが「アプリコお昼のピアノコンサート」。出演するのはこれからの活躍が期待される若きピアニストたちだ。過去には藤田真央や古海行子など、国内外で活躍している奏者も登場している。現在は若手芸術家の活動を支援する事業「フレンドシップ・周防亮介(ヴァイオリン)の協奏曲 “パガニーニ・ブルッフ・シベリウス”名手が挑む前代未聞の協奏曲3本勝負! 周防亮介は挑戦をやめない。彼は、2023年1月、サントリーホール 大ホールでの無伴奏リサイタルでパガニーニの「24のカプリース」とバッハのパルティータ第2番を弾き切り、同年6月には、ブラームス、メンデルスゾーン、チャイコフスキーの協奏曲3曲に加え、ラヴェルのツィガーヌ等の小品4曲を一晩で披露した。そして4月、今度はパガニーニ、ブルッフ、シベリウスの協奏曲3曲に挑む。 1995年生まれの周防は、2016年ヴィエニャフスキ国際コンクール入賞および審査員特別賞をはじめ、日本音楽コンクールやオイストラフ国際コンクールなど、国内外の数々のコンクールで優勝や入賞の実績を持つ若手きっての名手。12歳での京響との共演以来、パリ管、フランス国立管、N響、読響など国内外の多数の著名オーケストラと、15歳での初リサイタル以来、清水和音や上田晴子など第一線で活躍するピアニストと共演を重ね、CDも4枚リリースしている。 周防の素晴らしさは、まず類い稀な美音と、それを生かした流麗な節回し。難曲ばかりを集めた無伴奏CDをリリースするほどの超絶テクニックも有しているが、彼のすごいところは、それを力まずにこなし、持てる技巧を音楽表現自体に投影させることにある。
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