eぶらあぼ 2024.2月号
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第996回 サントリー定期シリーズ 2/22(木)19:00 サントリーホール第997回 オーチャード定期演奏会2/25(日)15:00 Bunkamura オーチャードホール第160回 東京オペラシティ定期シリーズ 2/27(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 https://www.tpo.or.jp4/26(金)13:30 王子ホール問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 https://www.ojihall.jp48銀座ぶらっとスペシャル #193 西山まりえの歴女楽 Vol.10〜驚異の作曲家カルロ・ジェズアルド〜語りとともに紡ぐ、ルネサンスの異端児の波乱に満ちた生涯 チェンバロとヒストリカル・ハープの二刀流で八面六臂の活躍を続ける西山まりえが、歴史上のヒーロー・ヒロインを取り上げるコンサートシリーズ「歴女楽」も今回で10回目。 その節目に取り上げるのが、浮気を続ける妻とその間男を殺したことで、音楽史上最もスキャンダラスな事件の当事者となりながらも、その後にはルネサンス音楽の行き着く先を示すかのようなマドリガーレを残した驚異の作曲家ジェズアルド。今回は「銀座ぶらっとコンサート」のスペシャルということで、ゲストとしてソプラノの松井亜希など声楽アンサンブル5名と語りに宮本益光を配し、ジェズアルドのマドリガーレや同時代の音楽を演奏するだけでなく、作曲家本人、その妻たち、音楽仲間などを演じて、その生涯を描こうという欲張りな企画だ。 事件から数年後、フェラーラ大公の姪との再婚のために滞在したその地での様々な音楽体験、芸術仲間との交わりが、ジェズアルドの音楽に大きな変化をもたらす。以降に書かれた作品はあたかも熟した果実の香りのように濃密。晩年のマドリガーレは、そこに罪の意識から逃れられない翳りと悲しみと死の気配をまとい、誰も到達しえなかった響きへと聴くものをいざなう。 今回のコンサートではジェズアルド西山まりえ ©Naoya Yamaguchiチョン・ミョンフン ©上野隆文パワー。長く良好な関係を保つミョンフン&東京フィルならではの演奏で、一気に堪能したい。松井亜希文:いのうえとーる文:林 昌英宮本益光の作品を中心に、その後に訪れるバロックへの変化をモンテヴェルディやカッチーニの甘美な愛や悲しみを歌った曲、さらにサンチェスの大作「悲しみの聖母」などが描き出す。西山まりえとゲストの声楽アンサンブルが時代の先端であり終端にいたジェズアルドの激動の一生を、音楽と物語でどのように紡ぐかにも乞うご期待!チョン・ミョンフン(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団絆深めるコンビで聴く20年ぶりの「春の祭典」 例年以上に楽しみなラインナップが楽の金字塔というべき大傑作。同コンビの上演は20年ぶりと並ぶ2024シーズンの東京フィル定期演奏会。とくに名誉音楽監督のチョン・なるが、この間に東京フィルはミョンフンが全8回中3回登場することめざましい進化を遂げ、近年はは注目される。各回とも重要演目が毎回のように国内屈指のハイ並ぶが、その1回目となる2月定期は、レベルな熱演を実現し続けて自然の美と原始の力をテーマとする新いる。そのオーケストラを、無旧名曲プログラムが用意された。駄のないタクトで最大限のエ 前半はベートーヴェン交響曲第6番ネルギーを引き出すマエスト「田園」。ミョンフンと東京フィルは、ロが、緻密なコントロールと燃20数年前に交響曲全曲演奏会を行え上がるような熱気でドライブい、全集CDもリリースするなど、早いするとなれば、別格の名演が約時期から幾度もベートーヴェンに取り束されているようなもの。作曲当時の組んできており、その度に特別な演奏音楽表現を革命的に拡大した二つのを実現させてきた。今回はコロナ禍傑作が生み出す、深い感動と爆発的なを経て改めて取り上げるベートーヴェンで、その思いはいかばかりか。円熟味と衰えぬ情熱のこもる「田園」になるのは間違いない。 後半はストラヴィンスキー「春の祭典」。原始的な儀式を精密な計算による技法と管弦楽法で描いた、20世紀音

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