eぶらあぼ 2024.2月号
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3/22(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp第49回九州公演 日本フィル in KYUSHU 2024節目を目前に、豪華ソリスト&名曲プログラムで旋風を巻き起こす!文:飯尾洋一 日本フィルの九州公演が今年も開催される。1975年にスタートした九州公演も今年で49回目。北九州、大牟田、福岡、熊本、鹿児島、宮崎、大分、佐賀、長崎の各地で全9公演が行われる。 この九州公演は、市民とオーケストラによる共同プロジェクトという形で成り立っている。各地域に暮らす人々の自主的な参加により実行委員会が組まれ、約半世紀もの長きにわたって継続的に公演が開催されてきたという稀有なプロジェクトだ。市民とオーケストラとの結びつきの強さが、これまでの歴史を積み上げてきた。 今回、指揮を務めるのは下野竜也。日本を代表する指揮者として八面六臂の活躍をくりひろげる鹿児島出身のマエストロだ。九州公演には2006年、16年に続く3度目の登場となる。ソリストには公演により、ピアノの小山実稚恵、またはヴァイオリンの服部百音が招かれる。小山はモーツァルトのピア47ノ協奏曲第20番で円熟のソロを披露する。若手注目株の服部は九州公演初登場。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲で新風を吹き込む。 メインプログラムはベルリオーズの幻想交響曲またはドヴォルザークの交2/10(土)~2/21(水) 北九州、大牟田、福岡、熊本、鹿児島、宮崎、大分、佐賀、長崎※公演の詳細は右記ウェブサイトでご確認ください。 https://japanphil.or.jp そして後半はショパン。2021年のショパン国際ピアノコンクールへの挑戦も経て、彼が継続して理解を深めようとしている作曲家といえる。今回は即興曲第1番から第3番という小品に加えて、後期の大作であるピアノ・ソナタ第3番に挑む。時間をかけてじっくりとこの作曲家のレパートリーを広げていく彼が、今たどり着いたショパン像を描いてくれることだろう。 いずれも歌心が求められる作品ばかりなので、牛田ならではの一音一音を下野竜也 ©Naoya Yamaguchi小山実稚恵 ©Hideki Otsuka大切にした歌と呼吸を存分に味わうことができそうだ。ピアニストとしての彼の現在地をじっくりと聴こう。文:高坂はる香©Ariga Terasawa服部百音響曲第8番。名曲中の名曲でプログラムが組まれた。近年ますます充実する日本フィルが、ベルリオーズの豊かな色彩感とパッション、そしてドヴォルザークの流麗な旋律美とボヘミアの香りを九州の地に届けてくれることだろう。牛田智大 ピアノ・リサイタル成長を続ける俊英の今を聴く 24歳にしてすでにデビュー12年のキャリアを持つ、ピアニストの牛田智大。近年は優れた指揮者たちやオーケストラとの共演に加え、海外での研鑽や国際コンクールへの挑戦なども重ね、大きくその音楽性を変化させている。彼の音楽的な探究の旅、その変貌ぶりを追いかけることを楽しみにしているファンも多いことだろう。 そんな牛田が今度のリサイタルで取り上げるのは、モーツァルト、シューマン、ショパンという、ピアニストにとって、音楽性、個性がはっきりと現れやすい作曲家たちだ。 前半はモーツァルトの最初期のピアノ・ソナタである第4番 K.282に始まり、シューマンの「クライスレリアーナ」へ。今の牛田がシューマンの空想の世界をどう捉えているのか、作曲家への共感の持ち方がよく見えてきそうなレパートリー。一体どんな音楽を届けてくれるのだろうか。

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