第654回 定期演奏会〈トリフォニーホール・シリーズ〉 3/2(土)14:00 すみだトリフォニーホール〈サントリーホール・シリーズ〉 3/3(日)14:00 サントリーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 https://www.njp.or.jp3/10(日)17:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 https://www.toppanhall.com45共演でいかなる開花の時を紡ぐか。 ラフマニノフの交響曲第2番は秋山の得意曲目であり、広島交響楽団との録音もある。後期ロマン派の手法による大曲だが、滔々たる流れの中で複数の主題(その中にはラフマニノフ生涯のライトモティーフであるグレゴリホールのインタビューより。以下同)。次に「仏教的な雰囲気を感じさせる」尾高惇忠の「瞑想」を置き、20世紀の名作たるブリテンの無伴奏組曲第1番でコントラストを付ける。そして「グリッサンドの種類が20種以上ある韓国の伝統楽器をモチーフにした」ユン・イサンの「グリッセ」、「琵琶や尺八、習字の筆遣いのイメージが盛り込まれた」細川俊夫の「小さな歌」を経て、難物の「組曲」でペンデレツキに戻ってくる。岡本が「音のない時間もキーポイントになる作品を集めた」と語るモダン・プロは、他ではまず聴けない攻めた内容。これは、俊才が渾身の凄演でチェロ音楽の奥深さを知らしめる、圧巻の一夜となる。秋山和慶 ©堀田力丸児玉 桃 ©Marco Borggreveオ聖歌「怒りの日」の旋律もある)が変容してゆく姿は、文学におけるジェイムス・ジョイスやヴァージニア・ウルフの「意識の流れ」を感じさせ、実は20世紀的でもある。一夜の時間を凝縮した「月夜の蓮」と対をなす、豊かな音楽的時間を体感させてくれるだろう。文:矢澤孝樹文:柴田克彦©Shigeto Imura秋山和慶(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団幽玄の美を湛えた祈りの響きに耳を傾ける 83歳のマエストロ秋山和慶の存在がますます重みを増している。長く親密な関係にある新日本フィルハーモニー交響楽団との今回の演奏会も、意欲的な内容だ。 まず、ピアニスト児玉桃を独奏に迎えての細川俊夫「月夜の蓮」。児玉が2006年にドイツで初演したこの曲はモーツァルトのピアノ協奏曲第23番の第2楽章を基層とし、月夜に咲く蓮の花の「宇宙の謎めいたエネルギー(作曲者言)」を表現する。モーツァルトの断片が濃密な音響の中で明滅し、洋の東西が神秘的な開花の過程で結ばれる。筆者は小澤征爾指揮・水戸室内管弦楽団(MCO)との2006年の日本初演(於:水戸芸術館、ECMからCD化)および2008年のMCO定期、欧州ツアー(ラデク・バボラーク指揮)と児玉の演奏をスタッフとして聴いたが、その幽玄な精神性が欧州の聴衆の感興を呼び覚ましていたのが印象的だった。以来20回以上この曲を弾いてきた児玉が、秋山との岡本侑也(チェロ) ―無伴奏 Ⅱここでしか聴けない圧巻のプログラム 岡本侑也は、精鋭居並ぶ若手チェリストの中でも一際強い光を放っている。彼は圧倒的な技巧と表現力で楽曲の凄みを表出する訴求力抜群の名手。2017年エリザベート王妃国際音楽コンクール第2位受賞で脚光を浴びて以来、第一線で活動を続け、中でもトッパンホールでは、16年ケラスとの共演を皮切りに種々の公演で顕著な足跡を刻んできた。特に際立ったのが21年の無伴奏リサイタル。デュティユー、カサド、クラム、藤倉大等の超難曲を全曲暗譜で鮮烈かつ奥深く表現し、皆を驚嘆させた。そして3月に行うのが「無伴奏 Ⅱ」。前回の無伴奏後、ツィメルマンとの欧州ツアーやエベーヌ弦楽四重奏団との共演も経験した岡本の、更なる進化に期待がかかる。 演目がまた物凄い。最初のペンデレツキ「カプリッチョ」は、「楽器を壊すのではと心配されるほどインパクト大」で「視覚的にも楽しめる」作品(トッパン
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