eぶらあぼ 2024.2月号
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それでも踊るそれでも踊る者たちのために者たちのためにProfileのりこしたかお/作家・ヤサぐれ舞踊評論家。『コンテンポラリー・ダンス徹底ガイドHYPER』『ダンス・バイブル』など日本で最も多くコンテンポラリー・ダンスの本を出版している。うまい酒と良いダンスのため世界を巡る。http://www.nori54.com116乗越たかお第112回 「一周まわったコンテンポラリー・ダンスと、オレ問題」 あけましておめでとうございます。しているので、子どもにバレエを習わせている「バレ 昨年は色々と新しいことがあった。エママ」達もコンテンポラリー・ダンスへの関心が高 なんといってもオレのような者の連載が『ぶらあまっている。ぼ』という品格ある雑誌で連載100回を突破するこ そんな皆様に読んでいただきたいオレの新著だが、悩んでいることがひとつある。とができた。ありがたいことである。 さらには、 「一人称が『オレ』問題」である。「『ダンスマガジン』誌に10年間書いた評論集発売」 コンテンポラリー・ダンスは権威や枠組みを壊し「DaBY/ProLab 第1期 乗越たかおの“舞踊評論て新しい価値を創造する芸術だ。本連載もそうだが家【養成→派遣】プログラム”」開始「格調の高い媒体でオレという闖入者が自由に振る舞う」ことが大切なため、意図的に使っている。「ダンス私塾オンライン」開始等の新プロジェクトが続々と始まった。これらはいず ただそれは媒体の中の「連載」だからで、「単行れもダンスと評論の環境を変えていきたいという積本」となるとどうなのかしら。年の思いからのもの。多くの協力を得て実現したこ 編集部の皆さんは「これがいいんですよ!」とノリとを感謝している。ノリで応援してくれている。しかしたとえば先述のバレエママが子どものバレエの教育のために買った本 そして今春には『バレエチャンネル』という、これまた格調の高いネット媒体で連載していたコンテンに、いきなり「オレ」と書いてあったらビックリしてしポラリー・ダンス講座が電子出版される予定だ。編まうんじゃないかしら……集部のみなさんは泊まり込みで校正してくれ、いま というね、ちっさいことにもこだわりながら進めております。そして本連載をまとめる話も進んでいるははオレが最終チェック中である。 この新著は、「100年前から『芸術的な新しいダンずなので、心して待っていてくれ!ス』を意味していた『モダンダンス』を更新する意味 と、新年早々景気のいい話で終わろうと思っていで1980年代から使われ始めた『コンテンポラリー・たのだが、なんと元日、震度7の地震と津波が能登ダンス』という用語」が、一周まわって普及してきた半島を襲った。先月号で書いたとおりオレは北陸ダンスフェスティバルDXでリサーチしてまわったばか現状に対応したものである。 「一周まわって」とはなにか。「もともとは定義不りである。しかも本稿執筆時では被害の全貌は全く能なほどの多様性を持ったダンスの総称だったコンわかっていない。テンポラリー」が、いまは「特定のダンススタイルの 被災者の皆さんのご無事と一日も早く通常の日々が戻ってくることを祈っています。ひとつとして広く認識されるようになった」ということである。 最近のダンススタジオのクラスを見ると「バレエ」「ヒップホップ」「コンテンポラリー」のような並びになっている。本来はバレエもヒップホップも採り入れた新しいダンスの総称がコンテンポラリー・ダンスなんだがね。 また海外の有名バレエ団はほとんどがクラシック作品とコンテンポラリー作品の両方をレパートリーに

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