CDCDCDCDシャコンヌ&ロマンス/髙木凜々子ハンス・ウルリヒ・シュテープス作品集 Vol.I/高橋明日香シューマン:謝肉祭/フリードリッヒ・ヴィルヘルム・シュヌアーシューマン:謝肉祭、ショパンの夜想曲による変奏曲、クララ・ヴィークの主題による即興曲、ベートーヴェンの主題による自由な変奏形式の練習曲フリードリッヒ・ヴィルヘルム・シュヌアー(ピアノ)108名前こそリリコ(叙情)だが、彼女の弾くヴァイオリンはレッジェーロ(優美にして軽快)の趣も宿す。晦渋な音楽と言われがちなバッハの「シャコンヌ」も、ハスキーなカンタービレで大らかに音を紡いでいく。とくにニ長調の中間部での明るい音色は、彼女の弾くストラディヴァリウスならではの温かみ。それは、ベートーヴェンの「ロマンス」第2番の爽やかさにも通じよう。これら2つの作品は、前回のアルバム『リリコ・カンタービレ』録音時に未収録となっていた音源だという。既出のヴィターリの「シャコンヌ」、ショスタコーヴィチの「ロマンス」と組み合わせ、瀟洒な絵巻物を作り出す。(鈴木淳史)シュテープスは20世紀後半に活躍したリコーダー奏者・作曲家・教育家。プロからアマチュアまであらゆるレベルに対応した様々な編成のリコーダー曲を残した。そうした姿勢や初期の作風には師のヒンデミットの影響が感じられる。前衛の時代にあっても平明なスタイルを維持し、後年作風はいよいよ洒脱さを増していった。この独自な才能を、高橋明日香をはじめとする実力派が魅力的に描き出した。リコーダーに特有の音程の微妙な揺れが、モダンな和声に肉感的な陰影を与えている。本盤だけでも作曲家の全貌は的確に伝わってくるが、続編ではさらに知られざる名品が紹介されるのではないか。(江藤光紀)F.W.シュヌアー(1929〜2017)はリヒター=ハーザーやケンプに師事し、ドイツ・ピアニズムの系譜にある巨匠。国際的な活躍はもちろんのこと、日本のピアノ教育界でも講演やマスタークラスなどで貢献した。本作は1993年8月にドイツのデトモルトで録音されたシューマン作品集のリマスター盤。繊細でありながら堅牢さも感じさせる「謝肉祭」、クララ・ヴィークの主題を用いた「即興曲」とベートーヴェンの主題を用いた「練習曲」は、各変奏で多彩な表情を積み上げる。全49トラックだがミニチュア的風情は感じさせず、全体として骨太なドイツ音楽の構築感で貫く。 (飯田有抄)名古屋フィル3名、愛知室内オーケストラ1名によるファゴット・アンサンブルのデビュー・アルバム。大きな聴きものは、ケーパーのファゴット・カルテットと管弦楽のための協奏曲「Fakturen」(1968)の日本初演だろう。この珍しい作品は、美しいメロディを持った色彩的な音楽で、普段まず聴くことのないサウンドの妙味を実感させられる。他もファゴット4本のオリジナル曲が主体ゆえに、軽やかさや歯切れ良さを湛えた独特のテイストを、自然に満喫することができる。中でも最後の3曲は実に愉しい。これは新鮮な感触を興味深く味わえる1枚だ。 (柴田克彦)J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番よりシャコンヌ/ベートーヴェン:ロマンス第2番/ヴィターリ:シャコンヌ/ショスタコーヴィチ:映画『馬あぶ』より「ロマンス」髙木凜々子(ヴァイオリン)三又瑛子(ピアノ)BRAVO RECORDSBRAVO-10013 ¥2200(税込)シュテープス:インテルメッツォ、前古典派様式によるソナタ、トリオ、イモルテル、ファンタジアとエコー、古風な様式によるソナタ、トリルーディ、ソナタ 変ホ長調高橋明日香 田中せい子 ダニエレ・ブラジェッティ(以上リコーダー)本間みち代(モダンチェンバロ)大瀧拓哉(ピアノ)ケーパー:ファゴット・カルテットと管弦楽のための協奏曲「Fakturen」/スティーヴンソン:ディヴェルティメント/キーティング:ダンスホール組曲/グレテン:バスーン・パーティ/アンダーソン:ファゴット吹きの休日 他ファゴット・カルテット・ザ・ナッツ【ゲオルギ・シャシコフ 田作幸介 三好彩 野村和代(以上ファゴット)】村上寿昭(指揮) 愛知室内オーケストラ収録:2022年2月、愛知県芸術劇場(ライブ) 他妙音舎MYCL-00029 ¥3300(税込)コジマ録音ALCD-3132 ¥3300(税込)マイスター・ミュージックMM-4525 ¥3520(税込)Fakturen―ハーモニーの四元素―/ファゴット・カルテット・ザ・ナッツ
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