eぶらあぼ 2024.2月号
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CDCDCDCDブルックナー:交響曲第8番/飯守泰次郎&東京シティ・フィル新ウィーン楽派ピアノ作品集/近藤伸子ソル:ギターのための幻想曲/原善伸フランソワ・クープラン:クラヴサン曲全集 4/中野振一郎106大指揮者・飯守泰次郎が逝去(2023年8月)の4ヵ月前に行った東京シティ・フィル特別演奏会のライブ録音。この公演には実際に足を運び、速めのテンポによる気魄のこもった音楽に驚かされたが、録音を聴くと、同じ印象と新たな感覚が相半ばする。全体に虚飾を排した直進的で引き締まった演奏……むろんこの点は変わらない。ただし第2楽章のトリオや第3楽章の豊かな表情と味わいの深さを改めて認識させられもする。ともあれ、80歳を過ぎた飯守が、かくも前進的な音楽を聴かせた点に、今後やいかに? との思いが強く湧く。だがそれはもう耳にできない。(柴田克彦)「フーガの技法」「音楽の捧げもの」「トッカータ」などのJ.S.バッハ作品をピアノで録音し続ける近藤伸子。「新ウィーン楽派ピアノ作品集」は一連のバッハ・アルバムに先立ち、2005年にリリースされた近藤初のCDで、昨年秋に再発売された。シェーンベルクのピアノ作品を網羅し、ウェーベルンの「変奏曲」「子供のための小品」、ベルクのソナタといった主要曲を1枚にまとめた秀作。2004年の録音から20年を経た今もなお、近藤の抑制の効いた叙情性、見通しの良さを感じさせる確信に満ちたタッチは緊張美があり、“20世紀の古典作品集”として長く聴かれるべき演奏だ。  (飯田有抄)ギターの古典とも言うべきソルの「幻想曲」から3曲をカップリングした。第7番はメランコリックなシャンソンに豊かな変奏を加えていく。第5番はパイジェッロのアリアに基づく大規模な変奏曲だが、イタリア・オペラの精神を一本のギターで見事に捕まえる。弟子の死を悼んだ晩年の「悲歌風幻想曲」は切々と歌われる哀歌だ。解説によれば、原はソルと同じく爪を伸ばさず指頭を使って演奏するという。声部が良く分離し、旋律はニュアンスに富み音色は千変万化する。解釈が肉を通じてダイレクトに音となるのだ。何気ないフレーズにまでアイディアが詰まった、べテランによる緻密な演奏だ。(江藤光紀)2020年に始まった中野振一郎によるフランソワ・クープラン全集の企画は、いずれも好評を博している。すでにリリースされている第3集までと同様、当該盤もクープランの主要な創作であるクラヴサン曲集のオルドルと、調を同じくする前奏曲から構成されている。オルドルは全4巻からなるクラヴサン曲集それぞれから選ばれているため、伝統的な舞曲から強い標題性を持った楽曲まで多彩である。中野の演奏は常に端正でありながら、各楽曲固有のリズムや性格のみならず、標題や物語まで生き生きと描き出している。1年に1枚のペースで丁寧に進められている録音であるが、今から完成が楽しみである。(大津 聡)ブルックナー:交響曲第8番(1890年稿・ノーヴァク版)飯守泰次郎(指揮)東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団シェーンベルク:3つのピアノ曲 op.11、6つのピアノ小品、5つのピアノ曲、ピアノ組曲、ピアノ曲 op.33a,33b、3つのピアノ曲/ウェーベルン:変奏曲 op.27、子供のための小品/ベルク:ソナタ op.1近藤伸子(ピアノ)ソル:幻想曲第7番、同第5番 パイジェッロの「うつろな心」による幻想曲、悲歌風幻想曲原善伸(19世紀ギター)フランソワ・クープラン:「クラヴサン奏法」より前奏曲第5番 イ長調、クラヴサン曲集第1巻 第5オルドル イ調、同第2巻 第11オルドル ハ調、同第3巻 第16オルドル ト調、同第4巻 第20オルドル ト調中野振一郎 築山茉以(以上チェンバロ)品川聖(ヴィオラ・ダ・ガンバ)収録:2023年4月、サントリーホール(ライブ)フォンテックFOCD9894 ¥3080(税込)ナミ・レコードWWCC-7995 ¥2750(税込)コジマ録音ALCD-7297 ¥3300(税込)録音研究室(レック・ラボ)NIKU-9057,58(2枚組) ¥3300(税込)

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