第574回 定期演奏会 1/18(木)、1/19(金)各日19:00 大阪/フェスティバルホール第56回 東京定期演奏会 1/22(月)19:00 サントリーホール問 大阪フィル・チケットセンター06-6656-4890 https://www.osaka-phil.com2/13(火)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 https://www.toppanhall.comらに、メランコリーや抒情性といった要素が際立っているのが第6番の特徴といえるだろう。 加えて、武満徹の「オーケストラのための『波の盆』」も演奏される。ハワイ・マウイ島へ渡った日系移民を描いたテレビドラマのために書かれた作品で、万人にその美しさが伝わる楽曲だと思う。生前の作曲者と親交が深かった尾高の指揮で聴けるのがうれしい。動や水しぶきを感じさせる音の連続。見えないものの気配、そこから生まれる幻想をグリンゴルツは掻き立ててくれるだろう。 クラリネット奏者としてもお馴染み、ヴィトマンのエチュード第3番は、究極の無窮動的作品。まるで耳で聴くスクリューボール・コメディだ。そして、19世紀に書かれた作品とは思えないほどに挑戦的なエルンストの練習曲からは3曲を演奏する。プログラムを締めくくる第6番は、「庭の千草」の主題による変奏曲。繊細なテクニックによる大胆な音楽を堪能できることだろう(アンコールにはこの作曲家が編曲したシューベルトの「魔王」を期待!)。尾高忠明 ©飯島 隆文:飯尾洋一文:鈴木淳史©Kaupo Kikkas53尾高忠明(指揮) 大阪フィルハーモニー交響楽団円熟のタクトがアニバーサリーイヤーの幕開けを飾る 2024年はブルックナーの生誕200年。オーケストラの公演ではもともと大人気作曲家だが、例年にも増してブルックナーの交響曲を聴く機会が増えそうだ。さっそく1月に尾高忠明指揮大阪フィルによる交響曲第6番が、フェスティバルホールでの定期演奏会とサントリーホールでの東京定期で演奏される。 尾高は2018年に大阪フィルの音楽監督に就任して以来、定期的にブルックナーの交響曲をとりあげてきた。近年の東京定期でもたびたび演奏されており、首都圏の聴衆にも尾高&大阪フィルコンビのブルックナーはすでに定評がある。 今回の曲目は交響曲第6番。ブルックナーの交響曲のなかでは比較的演奏頻度の低い曲だが、インパクトのある第1楽章冒頭主題から荘厳な第4楽章に至るまで、すみずみまでこの作曲家ならではの魅力があふれている。さイリア・グリンゴルツ(ヴァイオリン) ―無伴奏鬼才の妙技に魅せられる一夜 グリンゴルツが、パガニーニのカプリース全曲を弾いた演奏会を聴いたことがある。スマートでスタイリッシュな運びなのかと思えば、超絶技巧を重ねていくにつれ、その移ろいゆく表情に引きこまれていく。語り口がじつにうまいヴァイオリニストだといたく感心したものだ。合間に挟みこまれたシャリーノ作品が、その特殊奏法がまったく特殊だと感じさせないくらいに説得力をもっていたのも。 2月にトッパンホールで行われる無伴奏リサイタルには、そんなパガニーニの血筋を受け継ぐ作品を取り上げる。イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタの第1番と第5番を軸に、19世紀から21世紀にかけての技巧的な音楽が並ぶ。 イタリアの作曲家シャリーノの作品は要注目だ。代表作である「6つのカプリース」、その続編でグリンゴルツのために書かれた「6つの新しいカプリース」(日本初演)が演奏される。空気の振
元のページ ../index.html#56