eぶらあぼ 2024.1月号
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CDCDCDCD『月の光』フランス近代 2台ピアノ音楽傑作選/ウルトラ・ピアノデュオヴァイオリンとチェロのための ラヴェル:ソナタ&コダーイ:二重奏曲 作品7/三戸素子&小澤洋介ラヴェル:ヴァイオリンとチェロのためのソナタ/コダーイ:ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 op.7/パーセル:ガヴォット〜プロパー・チューン三戸素子(ヴァイオリン)小澤洋介(チェロ)四季/オッタヴィアーノ・クリストーフォリブルックナー:交響曲第6番/カメラータRCO1222014年にスタートした宗次ホールの人気企画から生まれた、名手・田中正也と佐藤卓史の「ウルトラ・ピアノデュオ」。アルバム第3弾は実に楽しいフランス近代の2台ピアノ作品集。リズム感にウィットを感じさせるサン=サーンスの「死の舞踏」、ブリリアントな響きで聴かせるシャミナードの「ヴァルス・カルナヴァレスク」、立体的なアンサンブルが楽しいミヨーの「スカラムーシュ」など、聴き応え満点の12トラック。卓越した技巧とエンターテインメント性を持ち合わせた二人の粋な選曲と演奏は、年末年始の時間を華やかに過ごすのにもぴったりなアルバムだ。 (飯田有抄)第一次世界大戦の前後に生まれたヴァイオリンとチェロのデュオ曲2作に、三戸素子と小澤洋介が見事な録音を加えた。かねてから共演を重ねてきたコンビだけに、音色の統一感は出色のレベル。それを実現するための確かな技術、音楽の捉え方や表現の方向性の共有も万全で、近代的なラヴェルの傑作と土俗的なコダーイの大作をしっかり弾き分けながら、抜群の安定感で両作のもつ魅力を表現する。なにより、ともすると刺々しい演奏になりやすい両難曲が、これほど誠実で安心できる音色で聴けるのは貴重で、曲のイメージも洗い直される。最後を締めるパーセルの清涼感も印象的。(林 昌英)日本フィルのソロ・トランペット奏者が弦楽アンサンブルとともに聴かせる「四季」。しかし、イタリア・ジャズ界の鬼才コルヴィーニは、ヴァイオリン独奏をそのまま置き換えるのではなく、トランペットをフィーチャーした新たな楽曲に変身させている。これは編曲ではなく“再創造”。全体にアイディアに富んだ発想が愉しく、自由度が高い〈夏〉は特に面白い。クリストーフォリも明朗・光輝な音で鮮やかなソロを展開。その音色となめらかなフレージングはすこぶる心地よい。お馴染みの曲の変貌ぶりと日本(在住奏者)屈指の名手の妙技をともに堪能できるアルバム。 (柴田克彦)ロイヤル・コンセルトヘボウ管に所属する名手たちの、室内アンサンブル版によるブルックナーの交響曲第6番だ。各1名からなる弦5部に、クラリネット、ホルン、ティンパニ、ピアノ、アコーディオンによる10人編成。しなやかに歌われるフレーズに、風通しのいい響き。爽やかに高揚して築き上げられるクライマックス。原曲がブルックナーの交響曲のなかでは例外的に流れのいい曲だけに、小編成でもまったく違和感がない。すべてが明快な姿で、そして情感をはらんで響く。とりわけアコーディオンがもたらす郷愁を誘うサウンドが心にじんわりと染みる。  (鈴木淳史)ウッドノート・スタジオWNCD-1052 ¥2970(税込)日本アコースティックレコーズNARD-5083 ¥3080(税込)サン=サーンス:死の舞踏(作曲者による2台ピアノ編)/シャミナード:アンダンテとスケルツェッティーノ、ヴァルス・カルナヴァレスク/ラヴェル:ラ・ヴァルス(2台ピアノ版)/ミヨー:スカラムーシュ/ドビュッシー:月の光(アンリ・デュティユーによる2台ピアノ編) 他ウルトラ・ピアノデュオ【田中正也 佐藤卓史(以上ピアノ)】ナミ・レコードWWCC-7996 ¥2750(税込)ヴィヴァルディ(コルヴィーニ編):四季〜ソロ・トランペットと弦楽アンサンブルのためのオッタヴィアーノ・クリストーフォリ(トランペット)スペシャル・ストリング・アンサンブルエミィ・トドロキ・シュワルツ(チェンバロ)ブルックナー(ロルフ・フェルベーク編):交響曲第6番(アンサンブル版)カメラータRCOロルフ・フェルベーク(指揮)Gutman/東京エムプラスJGUTMANCD 231 ¥3500(税込)

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