SACDCDSACDCDハイドン:交響曲集 Vol.22/飯森範親&日本センチュリー響わたしの好きな歌―萩京子ソング集/岡原真弓ベートーヴェン:ハンマークラヴィーア・ソナタ/ヴァレリー・アファナシエフヴェネツィアのリコーダー・ソナタ集〜ヴィヴァルディとその周辺/柿原よりこ120飯森&日本センチュリー響のハイドン交響曲全曲演奏プロジェクトの22作目。これで71の交響曲が出揃ったことになる。今回の67、68、11番は、単独で聴く機会などまずない作品。だが、こうした形で接すると、各曲の妙味を端的に知ることができる。3曲とも優美でチャーミングな音楽だし、67番ではトリオやデュオといった室内楽的な場面の挿入、68番ではファゴットの独立した使用法等の創意工夫が、新鮮な驚きと喜びをもたらす。公演を重ねているだけに、演奏自体も安定感十分で堂に入ったもの。生気に富んだ溌剌たる表現で、万人を楽しませてくれる。(柴田克彦)新しい日本のオペラの創造と普及に尽力し、人気を集めるオペラシアターこんにゃく座で「歌役者」として活躍する岡原真弓の還暦記念リサイタルのライブ録音盤。作品はすべてこんにゃく座の代表、音楽監督を務める萩京子によるもので、ピアノも担当している。日本語の美しさを大切にし続けているこんにゃく座を代表する歌手である岡原の歌唱は、すべてが“語り”であり、それぞれの楽曲から物語を感じさせる。決して大げさな抑揚をつけているわけではないが、自然と耳と心に届いてくるのだ。もちろんこれは詩の世界を見事に音楽化している萩の作品とピアノによるところも大きい。(長井進之介)鬼才アファナシエフが「テスタメント(遺言)」と題したアルバムを録音して6年、大作「ハンマークラヴィーア」が出た。生きているうちに挑戦し、録音を残さなければ死ねなかったと書く。演奏はとにかく遅い。通常より第1楽章で5分以上、全体でも10~15分長い。聴き込むとアファナシエフの意図もみえてくる。独特のアゴーギクによるデリケートな表情づけが美しい。とりわけアダージョの第1主題のト長調の頂点は、さながら天使の歌。不気味な第2主題前後の楽句がとてもきれい。終楽章フーガは、声部の絡みや逆行・反行などの諸技法が透けてみえるよう。ずっしりと重みのあるベートーヴェンだ。(横原千史)ヘンデルのソナタ集、フランス音楽集とリリースしてきたリコーダー奏者・柿原よりこの新作はヴェネツィアのバロック音楽がテーマ。まずヴィヴァルディの近年新発見のソナタ(RV806)が聴けるのが嬉しい。前世紀のフォンターナから同時代の3人の作曲家、そして影響を与えたフランスのシェドゥヴィルで締めくくる構成も心憎い。ヴェネツィアのバロック音楽はヴィヴァルディを筆頭に仕掛けやドラマが満載だが、柿原は過度に奇想や名人芸を強調することなく、確かな通奏低音に支えられ、曲の輪郭をていねいに紡いでゆく。仮面舞踏会の喧騒よりも、小春日和の運河を進むゴンドラの歌の趣。(矢澤孝樹)ハイドン:交響曲第67番、同第68番、同第11番飯森範親(指揮)日本センチュリー交響楽団萩京子:ひびかせうた、ロマンス、新しい人人、馬、ルフラン、HELP!、ねむり、わたしの好きな歌、ブルースだってただの唄、遺言、山の動く日、ぼくたちのオペラハウス 他岡原真弓(うた/アコーディオン)萩京子(作曲/ピアノ)ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」ヴァレリー・アファナシエフ(ピアノ)フォンターナ:ソナタ第2番/ヴィヴァルディ:ソナタ RV806/マルチェッロ:ソナタ第2番/ベリンツァーニ:ソナタ第10番/ヴェラチーニ:ソナタ第3番/シェドゥヴィル:ソナタ第4番柿原よりこ(リコーダー)土居瑞穂(チェンバロ)福澤宏(ヴィオラ・ダ・ガンバ)収録:2022年5月&12月、ザ・シンフォニーホール(ライブ)オクタヴィア・レコードOVCL-00834 ¥3850(税込)収録:2023年7月、サントリーホール ブルーローズ(小) 他(ライブ)コジマ録音ALCD-7301 ¥3300(税込)ソニーミュージックSICC-19075 ¥3630(税込)レグルスRGCD-1054 ¥3190(税込)
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