eぶらあぼ 2023.12月号
77/149

2024.1/13(土)、1/14(日)各日18:00 沖縄/中城城跡問 北中城村観光協会098-923-5888 https://www.kitapo.jp12/22(金)19:00 紀尾井ホール問 パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831 http://www.pacific-concert.co.jp74くための壮大な応援歌にしようとの意図がある。指揮は海外の歌劇場で活躍してきた大勝秀也、演奏は実力ある琉球交響楽団。そして、世界的オペラ歌手ジョン・健・ヌッツォ(ロドルフォ役)をはじめ、地元の優秀な歌手や二期会等の歌手が集結する。 中城城跡は、那覇空港から車で45分程の沖縄中部に位置し、標高160mのの音楽性に刺激を与えていく長期戦略が明らかに存在する。 山下は2021年に実現した初共演(武満徹とR.シュトラウス、ブラームス)や続くストラヴィンスキー没後50年特集の成功を受け、22年4月にACO初の音楽監督ポストに就いた。ベルリン・フィルでカラヤンが亡くなるまでアシスタントを務めて以来、ドイツ=オーストリアの愛知室内オーケストラ大勝秀也ジョン・健・ヌッツォ高台で沖縄本島の約3分の2を見渡すことが可能。しかも会場にはキッチンカーが出店し、県内食材を生かしたお弁当の提供など、食 × 琉球文化 × 西洋文化のちゃんぷるーを五感で体験することもできる。ここは、遠方からも観光を兼ねて訪れ、ダイナミックなドラマを世界遺産の壮大なロケーションで堪能しよう。ゲルハルト・オピッツ ©HT/PCM古典派からロマン派にかけてのレパートリーを主軸に指揮活動を繰り広げてきた。ACOでは室内オーケストラの特性も見据え、自身のマッチョな音楽性と室内楽的アンサンブルの融合から表出力の高い演奏を導き出している。音楽の「言語基盤」を共有するオピッツとのシューマンも、聴きごたえ十分のはずだ。文:柴田克彦沖縄オペラフェスティバル2024《ラ・ボエーム》世界遺産で味わう幻想的な野外オペラ これは小さな村が挑む画期的な試みだ。「沖縄オペラフェスティバル2024」と題した演奏会形式の野外オペラ公演。この1月、プッチーニの名作《ラ・ボエーム》が、世界遺産および国指定史跡・日本100名城に指定された中城(なかぐすく)城跡で、プロジェクションマッピングを交えた演出とともに上演される。北中城村観光協会による意欲的な企画で、中城城跡での野外オペラ公演は史上初だという。 中城城は築城の天才・護佐丸によって15世紀に完成したが、護佐丸は策略によって妻子共々自害した。また《ラ・ボエーム》はパリで貧しい生活を送る若き芸術家とお針子の悲恋の物語。時代に翻弄されたこの2つの物語が現代の城跡で初めて交わる。そこには、こうした物語を様々な文化の結節点であった沖縄の中城城跡で上演することで、コロナ禍や戦争等が続く激動の時代に我々が信念や愛をもって生きてい愛知室内オーケストラ 特別演奏会2023ドイツ・ピアノ界の巨匠との共演4年目にふさわしい骨太なプログラム文:池田卓夫 名古屋に本拠を置く愛知室内オーケストラ(ACO)は2021年以降、毎年12月にドイツのピアノの巨匠ゲルハルト・オピッツとの共演を東京都内で重ねてきた。 オピッツとACOの出会いは2020年12月。前常任指揮者の新田ユリの指揮により、名古屋でベートーヴェンのピアノ協奏曲第1~5番を1日で演奏した。その1年後には、ベートーヴェン自身によるヴァイオリン協奏曲のピアノ編曲版を加えた全6曲を、ユベール・スダーン指揮で2日間にわたり紀尾井ホールで披露。22年は王子ホールでACOメンバーと室内楽に臨み、シューマンのピアノ五重奏曲ほかを演奏している。 そして共演4年目の今年は紀尾井ホールへ戻り、山下一史の指揮でシューマンのピアノ協奏曲を演奏する。作曲家を微妙にスライドさせながら管弦楽との協奏曲、メンバーとの室内楽の両面からオピッツの薫陶を受け、ACO全体

元のページ  ../index.html#77

このブックを見る