eぶらあぼ 2023.12月号
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第10番「ハープ」を、アグノス・クァルテットがベートーヴェンの第11番「セリオーソ」を、ウェールズ弦楽四重奏団がモーツァルトの第14番「春」を、そして、山口絢、和田志織とウェールズのメンバーがブラームスの弦楽五重奏曲第12/21(木)18:30 高崎芸術劇場問 高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900 http://takasaki-foundation.or.jp/theatre/2024.2/4(日)14:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 https://www.triton-arts.net72 プッチーニとヴェルディのアリア、重唱、合唱。それが魅力的なことは疑う余地がないが、肝心なのはだれが歌うかである。とりわけ聴きどころを集めたガラ・コンサートでは、歌唱の質が満足度に直結する。 その点、このガラはすごい。掛け値なしに優れた日本の歌手がベテラン、中堅、若手とバランスよく配されている。「この人が聴けるならいい」という歌手が1人か2人いればまずまずのところ、全員がそういう歌手なのである。 砂川涼子は洗練されたリリックな声と歌唱で知られる日本を代表するソプラノ。一方、歌手や留学生と「若手でクァルテット・ウィークエンド 2023-2024ウェールズ弦楽四重奏団 〜ウェールズ・アカデミー ガラ・コンサートアカデミー生がトップランナーとともに体現する室内楽への熱き想い ウェールズ弦楽四重奏団(﨑谷直人、三原久遠、横溝耕一、富岡廉太郎)が次世代の奏者たちに自らの経験を伝えたいと始めた「ウェールズ・アカデミー」。現在は、その2期生として、クヮルテット・カノープス、アグノス・クァルテット、ヴァイオリンの山口絢、ヴィオラの和田志織が学んでいる。アカデミーでは、ウェールズのメンバーが、単独あるいは複数でレッスンを行い、時には講師と受講生が一緒に室内楽を奏でたりもする。筆者はアカデミーの様子を取材したことがあるが、時代の先端をいく現役の弦楽四重奏団のメンバーによるレッスンは、非常に細かく(緩徐楽章のわずか10小節に1時間かけることもあった)、かつ刺激的である。 来年2月4日には、アカデミー生たちとウェールズ弦楽四重奏団とのコンサート「ウェールズ・アカデミー ガラ・コンサート」がひらかれる。クヮルテット・カノープスはベートーヴェンの左より:沼尻竜典/砂川涼子 ©Yoshinobu Fukaya/auraY2/砂田愛梨/宮里直樹 ©Yoshinobu Fukaya/auraY2/髙田智宏/妻屋秀和 ©Takafumi Ueno現力で、昨年の東京音楽コンクールの1位に輝いた、期待度ナンバーワンのバリトン。小さな役で登場する清水良一も、力あるバリトンだ。 全員がノーブルでスタイリッシュな歌唱で共通しており、そうした歌手ばかりが揃ったことに驚きを禁じ得ない。管弦楽は実力のある群馬交響楽団で、内外におけるオペラ経験が極めて豊富な沼尻竜典が指揮をするのだから、音楽的満足度は幾重にも保証されている。だれが優秀か」と話す際、頻繁に名が挙がるソプラノが砂田愛梨で、彼女のヴィオレッタを「先物買い」できる価値は高い。宮里直樹は頭抜けた音楽性に支えられた端正な歌唱で定評のあるテノール。日本を代表する逸材だ。 髙田智宏は長くドイツの歌劇場の専属歌手を務めているバリトンで、磨かれた声と日本人離れした表現力を誇る。妻屋秀和も海外経験が豊富で、日本の優れたバスといえば妻屋である。池内響はノーブルな歌唱と抜群の表ウェールズ弦楽四重奏団 ©Satoshi Oono2番を演奏。若者たちのアカデミーでの研鑽の成果を聴くとともにウェールズの演奏も楽しむことができる。これに合わせて、1月にはアカデミーの公開レッスンも行われる。そちらも注目である。文:香原斗志文:山田治生群馬交響楽団 × 高崎芸術劇場 GTシンフォニック・コンサート vol.5オペラ・ガラ・コンサートクリスマスシーズンを盛り上げる最高の歌い手たち

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