第653回 定期演奏会〈サントリーホール・シリーズ〉 1/19(金)19:00 サントリーホール〈トリフォニーホール・シリーズ〉 1/20(土)14:00 すみだトリフォニーホール問 新日本フィルチケットボックス03-5610-3815 https://www.njp.or.jp2024.2/18(日)14:00 紀尾井ホール問 紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp https://kioihall.jp69げるのも注目だ。 ドイツ人の両親のもと1984年にイタリアで生まれた彼は、99年に全身に大やけどを負ったが、20回を超える手術と過酷なリハビリを経て、1年後には復帰し、ジュリアード音楽院でジョエル・スミルノフに学んだ。インディアナポリス国際優勝後は、デュティユーのヴァイオリン協奏曲「夢の樹」の録音で2016年のグラミー賞を受賞するなど、録音活動にも積極的だ。深い音楽性と高度なテクニックに左より:佐渡 裕 ©Peter Rigaud c/o Shotview Artist/白鳥玉季 ©浦田大作/御喜美江 ©Marco Borggreve/石橋栄実場の指揮者だった時代の交響曲第4番。手に思春期の少女を想定していたが、今回起用される白鳥玉季は現在13歳と彼の作品のなかでは規模が小さく、全まさにうってつけ。各種ドラマでも評体に明るく親しみやすい曲調が支配す価される実力派だけに、「系図」の世界る。終楽章は天上の歓びと楽しさををどう表現するのか楽しみだ。クラシッ描いた歌曲になっており、晴れやかでク・アコーディオンの世界的第一人者と穏やかな気分のうちに全曲を閉じる。して知られる御喜美江も参加する。ソプラノを歌うのはベテラン・石橋栄 後半はマーラーがウィーン宮廷歌劇実だ。加え、幅広い視野を持つハーデリヒの久々のリサイタルは2024年初頭の大きな話題となるだろう。文:江藤光紀文:片桐卓也©Suxiao Yang佐渡 裕(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団二人の作曲家が描いた生と死を見つめて 佐渡裕は昨年度、新日本フィルのミュージック・アドヴァイザーを務めていたが、今年4月からは第5代音楽監督に就任し、いよいよ両者のコラボが深化する環境が整った。ウィーン・トーンキュンストラー管の音楽監督は9シーズン目に入り、関西では兵庫県立芸術文化センターの芸術監督も長く務めるが、これまで在京オケとはあまり縁がなかっただけに、ようやく東京でも定期的にその雄姿に接することができるようになったのは朗報だ。 さて、来年1月の定期演奏会では、人間の生と死を見つめた二作品を並べた。まずは武満徹の「系図―若い人たちのための音楽詩―」。谷川俊太郎の詩集から武満が6篇を選びオーケストラ伴奏の朗読劇に仕上げた。語り手の視点は家族関係の暗部にまで及んでいくが、分かりやすい言葉で語られるまなざしのピュアさと、尊い何かを喚起させる音楽が聴き手を救い出す。武満は語りアウグスティン・ハーデリヒ 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル類稀な美音をもつ名手による16年ぶりのソロリサイタル ソロでの来日は2008年以来とだいぶ時間が経ってしまったが、その時の印象もいまだ鮮やかなアウグスティン・ハーデリヒが、無伴奏曲だけを集めたリサイタルで日本に戻ってくる。2006年インディアナポリス国際ヴァイオリンコンクールで優勝した時は、深い音楽性に満ちた彼の演奏が世界的な注目を集め、その2年後に日本で行われたリサイタルでも、作品の背後の世界までも透徹した解釈で、数々の名曲の新しい魅力を教えてくれた。 コンクール優勝後は世界各地のオーケストラから引く手あまたで、日本でも2015年にワイラースタイン指揮NHK交響楽団と共演した。今回の久々のリサイタルでは、J.S.バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番、イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番などの傑作に加え、コールリッジ=テイラー・パーキンソン、デイヴィッド・ラングという現代作曲家の作品を取り上
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