Hakuju 邦楽フェスタ 2024一. 「序」 本條秀太郎 ― 白眉no音空間 ― 回帰する傳燈のいま 1/13(土)13:00二. 「破」 クロスロード ― 演奏家の肖像 ― 1/13(土)17:00三. 「急」 うたの歩み ―“convert” こころの形 1/14(日)14:00Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 https://hakujuhall.jp66Interview本條秀太郎(唄/三味線/作曲) & 本條秀慈郎(三味線) 実に興味深い新企画がHakuju Hallでスタートする。三味線奏者の本條秀太郎が出演・プロデュースする「Hakuju 邦楽フェスタ」。本條秀太郎と本條秀慈郎の師弟に聞いた。 フェスタは2024年1月13日、14日の2日間、「序」「破」「急」の3公演。 「序」は「端唄」にスポットを当てる。江戸時代の三味線伴奏の歌曲。本條秀太郎は江戸端唄の収集や復元、そして現代端唄の創作など、このジャンルの第一人者としても知られる。本條秀太郎「端唄というのはとても古くて、三味線が伝わる以前から歌われていたといいます。要するに“端緒の唄”。先端を行く歌という意味があるんです。普通の人たちの毎日の生活の中から生まれた音楽なのでとても生き生きしている。そして、ものすごく短い。せからしい現代人にも合うと思いますよ(笑)」 一方、現代文学をテキストに作曲したのが現代端唄。今回は寺山修司の詞による作品が歌われる。本條秀太郎「現代の、力のある言葉を三味線に乗せたらいいのではないかなと。端唄の三味線は、この音楽が出てきたら雨だとか川の流れだとか、約束事でできている情景描写があるのですが、そういうのは全部取り払い、もっと感覚的な形でこさえています」秀慈郎「先生が生み出された現代端唄はまさに現代音楽です。三味線が効果音的にちりばめられていたり。いまに伝えられることが凝縮されていて、新たなジャンルとして広がっています」 「破」は、オーボエの荒木奏美を迎えて、東西の楽器が融合する室内楽。秀慈郎「1996年に先生がウィーン・フィルと自作で共演された時、オーボエの音に感動したのだとお聞きしています。声のような性質と温もりを感じる。作品はオーボエのような音域のものも自然と馴染み、よく作曲家の方が『本條先生の音楽は西洋の楽器で演奏されても良い! 真骨頂が発揮されるやも!』とおっしゃるので、先生にプログラムをご相談、選曲いたしました」 本條秀太郎の自作(本名の高田新司名義)の他、加藤昌則の三味線とオーボエのための新作、バッハ、ホリガー、クルターグと、演奏家でもある作曲家ばかりが並ぶのもテーマのひとつ。 「急」はメゾソプラノの林美智子が歌う端唄に注目!本條秀太郎「じつは、難しい曲を選曲し練習したのですが、素晴らしく歌ってくださった。声の性質も、われわれはこうやっていますと言ったら、それにすっ本條秀太郎 ©根本ヒロシ本條秀慈郎 ©ZIGENと対応してくれて。このまま黒紋付で山台に座られたら、誰も気が付かないんじゃないかというぐらい。素晴らしかったです」秀慈郎「できるだけ古典的な練習法(稽古法)ということで、最初は戸惑われたことと思いますが」本條秀太郎「私が一番素敵だなと感じたのは言葉がはっきりしていること」 と絶賛! 楽しみでしかない。本條秀太郎「場所もとても大事。日本の音楽は、横長の、額縁の舞台が多いので音を客席に並行に飛ばすのですが、教会のように上に音を届け、客席を包み込む音の届け方との違いを感じて演奏したいと考えます。高い空間があって音を響かせてくれるHakuju Hallさんだと、きっと新たな発見があるし、こちらでしかできないことをしたい。なにか変わったことをするのではなく、音楽とちゃんと勝負して、邦楽も現代に生きているものなんだということを表現できたらいいですね」 出演は他に三味線・胡弓の本條秀英二。「急」にはチェロの森田啓介も加わる豪華布陣だ!取材・文:宮本 明「現代に生きる」日本の伝統音楽を堪能する新シリーズ始動
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