eぶらあぼ 2023.12月号
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第988回 定期演奏会Aシリーズ 12/7(木)19:00 東京文化会館第989回 定期演奏会Cシリーズ 12/8(金)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 都響ガイド0570-056-057 https://www.tmso.or.jp12/12(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 https://www.operacity.jp59コラール」(委嘱編曲初演)へとそれぞれつなげる。さらにオリジナル作品ではノアゴーの「易経」、権代の新作「Gone, gone, gone beyond」(委嘱初演)などを披露。「易経」は四つの楽章からなり、パフォーマンス的な要素も含む大作だ。新野の腕の見せ所となるだろう。また新野は権代作品の孕む聖性と狂気という二面性に惹かれているという。今回の演奏会のテーマは「憧れと現実」ということだが、バッハの神聖さ(=憧れ)がノアゴーと権代という二つの経路を通って現代音楽(=現実)へと変容する様子を描き出そうという趣向のようだ。 当日は共演者として国立音大の後大野和士 ©Herbie Yamaguchiからなる。「死の島」は同じ絵画に基づいてラフマニノフも管弦楽作品を残している。一方、独奏にニコライ・ルガンスキーを招いてのラフマニノフは、よく弾かれるピアノ協奏曲第2番や第3番ではなく、第1番が取り上げられる点に注目。輩、やはり名手として知られる悪原至も登場。日本の打楽器界のこれからを担う二人の競演にも注目だ。ニコライ・ルガンスキー ©Marco Borggreve そして、演奏会後半には、シューマンの交響曲第4番が演奏される。このコンビにとっては2020年9月の第3番「ライン」に続いてのシューマンの交響曲。意外と取り上げてこなかったレパートリーだけに興味津々だ。©FUKAYA Yoshinobu/auraY2文:山田治生大野和士(指揮) 東京都交響楽団今年の“顔”2人に焦点をあてた意欲的なプログラム 大野和士&東京都交響楽団が、今年生誕150年にあたる二人の作曲家の作品を中心にプログラムを組んだ。セルゲイ・ラフマニノフとマックス・レーガー。ラフマニノフの作品は様々なオーケストラやピアニストが彼のアニバーサリーを記念して演奏しているが、そういう機会に乏しかったレーガーにスポットライトが当てられるのはうれしい。 早くから音楽的才能を示したものの、43歳の若さで急逝したレーガーの作品の中では最も知られている「モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ」が、この11月から12月にかけて、ペトレンコ&ベルリン・フィルやルイージ&NHK交響楽団によって取り上げられるが、大野&都響が演奏するのはもう一つの代表作「ベックリンによる4つの音詩」である。スイスの画家、アルノルト・ベックリンの絵画からのインスピレーションに基づく作品で、〈ヴァイオリンを弾く隠者〉〈波間の戯れ〉〈死の島〉〈バッカナール〉の4曲東京オペラシティ B■■■■■■■→C 新野将之(パーカッション)聴き手のプリミティブな感覚を呼び起こす注目の若手打楽器奏者が登場文:江藤光紀 新野将之は20歳にしてイタリア国際打楽器コンクールのスネアドラム部門で満場一致の1位に輝き、その後も研鑽を重ね多数のコンクールで高位入賞を果たしてきた。今年はデビュー10周年という区切りの年。B→Cでは経験と知見を注ぎ込んだ盛りだくさんのプログラムを披露する。 最初と最後にトレードマークとも言うべきスネアドラム・ソロ作品を置いた。とりわけトリを飾る自作「蠢(うごめき)」は皮膜を素手で叩いたり弾いたり擦ったりすることで多彩な音色を引き出す、演奏家ならではのアイディアが満載。 バッハ作品は「平均律第1巻」の前奏曲第1番とカンタータ「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」からのコラールをマリンバで演奏し、そこからバッハ作品を大胆に編曲したノアゴーの「ザ・ウェル・テンパード・パーカッション」や権代敦彦の「“Vigilate !” ─ 世の終わりのための

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