eぶらあぼ 2023.12月号
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第717回 定期演奏会 12/16(土)18:00 サントリーホール川崎定期演奏会 第94回 12/17(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jp第21回東京音楽コンクール 優勝者コンサート新春、登竜門をくぐった若き俊英らの演奏が再び響きわたる 2003年にスタートした東京音楽コンクールも今年で第21回。記録的な酷暑のさなか、8月の第2次予選・本選ともに熱演に次ぐ熱演。今年は木管、ピアノ、弦楽の3部門で、いずれも次世代を担うに相応しい優勝者の誕生となった。そして年明けすぐの1月8日、あの感動が再び! 彼らの演奏を聴ける。以下、出演する3人について。 弦楽部門は初めてコントラバスが第1位。しかも、奇しくも東京音楽コンクールと同い年(2003年生まれ)の水野斗希(東京藝術大学在学)。「楽器特有の響きと重厚感、またソロならではの華やかさも楽しんでいただきたい」と、ロータ「ディヴェルティメント・コンチェルタンテ」を演奏する。 木管部門は、前回(2021年)第3位入賞の保崎佑(東京音楽大学アーティスト・ディプロマコース在籍)が「リベンジのつもりだった」とモーツァルトで第1位と聴衆賞を受賞。「ファゴットは花形の楽器と異なり有名な曲は多くないで2024.1/8(月・祝)15:00 東京文化会館問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 https://www.t-bunka.jp53楽監督時代に取り上げて、絶大な成果をあげた演目。明快かつ豊潤で馥郁たるその名演は、CDにも残されている。「マーラーはシューマン読みの天才」と語るスダーンが、今いかなるアプローチを見せるか? それがまずは楽しみだ。さらにはブラームスのロマンティックな室内楽曲を、シェーンベルクが斬新な管弦楽法で再生した快作。ブラームスの旋律美とシェーンベルクの色彩美を併せ持つ本作は、生で聴くと滅法面白い。こちらは、ノットが後期ロマン派や近代の作品で駆動力や立体感を付与した現在の東響におけるパフォーマンスが特に注目される。 これは回帰の喜びと新たな期待感が交錯する、聴き逃せない公演だ。すが、だからこそこの楽器の魅力をお聴かせできれば」とロッシーニのファゴット協奏曲を選曲。 ピアノ部門は、本選でトップバッターだった佐川和冴(東京音楽大学大学院在籍)が第1位となり、「特別な作曲家で、今どうしても弾きたい。心を込め水野斗希保崎 佑ユベール・スダーン佐川和冴て弾きます」と、本選での第4番と同じベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番を披露する。共演は指揮・下野竜也と新日本フィルハーモニー交響楽団。司会の朝岡聡はクラシック音楽に造詣が深く、今回も優勝者の意外な一面を聞き出してくれるだろう。文:柴田克彦文:上田弘子ユベール・スダーン(指揮) 東京交響楽団還ってきた名匠がもたらす新たな光彩 東京交響楽団の桂冠指揮者ユベール・スダーンが、2年ぶりに定期に登場する! スダーンといえば、2004年から14年まで東響の音楽監督を務め、精緻な彫琢による緊密な演奏で一世を風靡した名匠。勇退後も随時帰還し、佳き刺激を与えている。最近では23年10月、「モーツァルト・マチネ」を5年ぶりに指揮。これを聴いた時、「あのスダーンのサウンドと音楽が還ってきた!」と即座に感じた。そして公演が進むにつれてスダーンのDNAは現音楽監督ノットがもたらした生気や精彩と絶妙に融合し、他では味わえない音楽となって耳を潤した。 彼が振る12月定期のプログラムは、シューマンの交響曲第1番「春」(マーラー版)とブラームス(シェーンベルク編)のピアノ四重奏曲第1番。クラシカルな音楽に近代の大家が味付けした作品が並ぶ、興味津々の内容だ。マーラー版のシューマンは、スダーンが音

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