eぶらあぼ 2023.12月号
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44Interview三浦文彰(ヴァイオリン)八面六臂の活躍をする実力派がカルテットを初プロデュース ヴァイオリニスト三浦文彰は、近年はソリストとしての活躍にとどまらず、「ARKクラシックス」等でのアンサンブル活動、そして指揮者としても目覚ましい成果をあげている。さらには公演プロデュースやオーケストラの主宰など、多才ぶりを示している三浦が、ヤマハホール「三浦文彰 produce ストリング・カルテット」で、いよいよ弦楽四重奏に取り組む。 「少人数のアンサンブルは、音楽の基本であり原点。共演者がいる場合は室内楽という感覚です。ただ、弦楽四重奏はこれまでほとんど演奏してきませんでした。素晴らしい作品がたくさんありますが、非常に緻密なリハーサルの時間がかなり必要になるので、ソリストとしてはなかなか難しいのです。今回は信頼する素晴らしいメンバーが集まってくれることになり、リハーサルも楽しみです」 今回は三浦が「定期的に様々な企画をさせてもらっています」というヤマハホールでのプロデュース公演となる。 「これまで弦楽四重奏だけのコンサートをしたことがなかったので、かなり新鮮です。僕自身は弦楽四重奏を定期的に続けていくことは考えていませんが、今回をきっかけに、主宰する『ARK シンフォニエッタ』メンバーによる四重奏ができればと思います」 コメントに力みはないが、この公演への思い入れは共演者と選曲からも十分に伝わってくる。メンバーは三浦、神奈川フィル第2ヴァイオリン首席の直江智沙子、新日本フィルヴィオラ首席の瀧本麻衣子、都響チェロ奏者の清水詩織。3人とも名門楽団の中心的存在にして人気奏者ばかりで、名実ともに理想的な顔ぶれだ。 「みんな仲良しなんです(笑)。言うまでもなく皆さん素晴らしいアンサンブルのプロですが、直江さんは徳永二男先生門下で僕が小さい頃からの知り合いですし、清水さんは先日室内楽を初めてご一緒して、瀧本さんはお互いの実家が近所と、様々な形で近しい関係性があります。3人とも“実力派お姉さん”なので心強いです!(笑)」 さらに特筆したいのはプログラム。ハイドン第39番「鳥」op.33-3、モーツァルト第16番、メンデルスゾーン第2番の3曲。三浦は「僕の好きな曲をそろえただけです」と笑うが、彼の確かな審美眼を示す、絶妙かつ筋の通った選曲だ。楽しい「鳥」を含むハイドンop.33の6曲は「ロシア四重奏」と呼ばれる傑作集で、それに感銘を受けたモーツァルトは第14~19番の通称「ハイドン・セット」を作ってハイドンに捧げた。なかでも第16番は最も地味な扱いだが、完成度は屈指の高さ。そこに18歳のメンデ珠玉のリサイタル&室内楽 三浦文彰 produce ストリング・カルテット12/11(月)19:00 ヤマハホール問 ヤマハ銀座店インフォメーション03-3572-3171https://retailing.jp.yamaha.com/shop/ginza/hall取材・文:林 昌英©Yuji Horiルスゾーンによる天才的な名品の第2番が繋がる。「それぞれ全く違った魅力がありますが、メンデルスゾーンは素晴らしい名曲だと思います。モーツァルトと同様の天性の才能を感じます」と三浦もメインに据えた思いを伝える。 先述のプロデュース業について、「より音楽を深く知っていきたいという思いから様々なことに取り組んでいて、やりがいも感じています。良い音楽の本質を感じられる場が増えていくと良いなと思います」と真摯に語っていた三浦。「333席のヤマハホールで、親密な空間での弦楽四重奏を楽しみにしています。是非お越しください!」と呼びかける当公演でも、さらに音楽の本質に近付いていくような新境地を拓くに違いない。

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