eぶらあぼ 2023.12月号
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42 初めて目にした人はきっと面食らうに違いない。 名称は北海道札幌国際情報高校吹奏楽部。確かに、ずらっと並んだ部員たちが演奏しているのはフルート、サックス、トランペット、チューバ……といった吹奏楽で使われる管楽器だ。 しかし、どうも違う。譜面台も椅子もない。立ったままの部員たちは足でステップを踏み、クルッと回転し、飛び跳ねている。マーチングとはまったく違う動きで、まるで激しいダンスを踊っているようだ。よく見ると、吹奏楽ではほとんど使われないエレキギターも演奏に参加している。曲の途中で部員がマイクを手に取り、歌い始める。 部員たちは誰を見ても笑顔、笑顔、笑顔……。 これは本当に吹奏楽部? いや、これこそが札幌国際情報高校吹奏楽部、通称「SITバンド」であり、北海道ではテレビや新聞などにも頻繁に取り上げられる人気の「ダンプレ」なのだ。 ダンプレとは、「ダンシング&プレイング」の略。ダンスしながら演奏することだ。一般的な吹奏楽部でも立ち上がって体を揺らしたり、楽器を上下左右に振ったりしながら演奏することはあるが、SITバンドではその域を超え、完全に「ダンス」になっている。本番も「コンサート」ではなく、「ライブ」だ。ダンプレ! 現在、SITバンドは3年生が引退し、2年生が最高学年になっている。その中でサブキャプテンを務めるホルン担当の髙石梨桜(りお)は、中学時代に初めてSITバンドを目にしたときの衝撃をこう語る。「友だちと定期演奏会を見にいき、初めて見るダンプレにびっくり。吹奏楽の常識や固定観念が一気に壊れました。それに、私たちがいる4階席まで伝わってくる笑顔や動きが本当に素敵すぎて。『私が進むべき道はここだ!』と運命を感じました」♪♪♪取材・文・写真:オザワ部長(吹奏楽作家)Vol.16 北海道札幌国際情報高校吹奏楽部コンクールで競わなくても部員130人以上!「ダンプレ」は青春だ!

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