eぶらあぼ 2023.12月号
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40 2019年、阪哲朗が山形交響楽団の常任指揮者に就任した。途中、コロナ禍の困難な時期を経て、5シーズン目の阪&山響のコンビはますます進化を続けている。阪は、ベルリン・コーミッシェ・オーパー専属指揮者やアイゼナハ歌劇場音楽総監督を歴任するなど、ドイツ語圏のオペラ界で顕著な活躍を示してきた。現在はびわ湖ホール芸術監督も兼務。そんな阪に、山形でもオペラへの期待は高い。「山響とのオペラ初共演は、2017年の久慈市での《椿姫》でした。初めてのリハーサルのとき、楽団員がみんなスコア(総譜)を持ってきていて、びっくりしました。ヨーロッパではありえないことです(笑)。みなさん、音源を聴いたり、スコアを見たり、研究されていました。その準備がすごいと思いました。山響は、オペラへの順応がよく、オペラへの芽があったと思います。そして久慈公演が終わったあとのバスの中で、楽団員の『椿姫ロスになっている』という声を聞いて、それはいいなと思いました」 その《椿姫》の手応えが良く、阪と山響は、2020年10月の《トゥーランドット》(グランドオペラ共同制作)、21年10月の《魔笛》(二期会)、23年1月の《フィガロの結婚》(二期会)と、続けてオペラを手掛けていく。 今年2月には、「オペラ指揮者 阪哲朗が誘う“演奏会オペラシリーズ”」がスタートし、その第1弾として《ラ・ボエーム》を演奏した。そして2024年1月にはVol.2として、再び《椿姫》を取り上げる。「《フィガロの結婚》も《魔笛》も一緒に手掛けた山響と、原点である《椿姫》に戻ったときに、どのような絵が見られるのかなというのがすごく楽しみで取材・文:山田治生©Kazuhiko Suzuki山形交響楽団 常任指揮者阪 哲朗得意のオペラで山形をますます熱くする!

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