eぶらあぼ 2023.12月号
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第30回記念 和波孝禧 クリスマス・バッハシリーズ バッハ 無伴奏ヴァイオリン作品全曲12/23(土)16:00 東京文化会館(小)131文:近松博郎昨年より新体制となり意欲的なプログラムを聴かせているパシフィックフィルハーモニア東京の「第九」。幅広いレパートリーに通じている熟練の音楽監督の飯森範親が、前プロに配されたモーツァルト最初期(10歳頃)の交響曲とされる「旧ランバッハ」とどのように結びつけるのかが聴きどころだ。第九ソリスト陣には、森麻季、富岡明子、望月哲也、大西宇宙と、現在の声楽シーンを代表する豪華メンバーが集結。世界仏教音楽祭コンクール第1位受賞作「般若理趣交響曲」や第1回芥川作曲賞受賞作「シンフォニック・カルマ」に代表されるように、日本・東洋の伝統文化への深い理解に根ざしつつ、宇宙的な広がりを見据えた音楽創作を続けてきた高橋裕。2021年に浜畑賢吉の脚本「信長」から4つのアリアが初演されたが、今回は豪華声楽陣、ピアノ、狂言師の共演を得て、神と対峙する「信長」の全体を描き出す。注目の一作。飯森範親 ©山岸 伸高橋 裕日本を代表するヴァイオリン界の巨匠、和波孝禧(たかよし)がクリスマス・シーズンのバッハ演奏を始めたのが1991年とのこと。以来、3回の休止を挟み今回が記念すべき30回目となる。選ばれたのはヴァイオリニストたちにとっての聖典ともいえる「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」全6曲。長い時間をかけてみずからの音を研ぎ澄ませてきた巨匠の孤高な演奏をぜひ聴き通したい。12/6(水)14:00 19:00 五反田文化センター 音楽ホール2003年生まれで早くから国内外で活躍し、22年の第10回フリッツ・クライスラー国際コンクール第2位入賞で注目を集めた若手ヴァイオリニスト吉本梨乃のリサイタル(ピアノは松岡美絵)。ストラディヴァリウスを使用し、マチネではパガニーニ「24の奇想曲」、ソワレではイザイ「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ」という難曲に果敢に挑む。クララ・シューマン「3つのロマンス」の美しい演奏も期待される。吉本梨乃(ヴァイオリン)OTOの会 新作コンサートシリーズ No.28 クァルテット・インテグラ × OTOの会 vol.312/25(月)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール桐朋学園大学教授として教鞭をとる一方、青少年への教育活動も熱心におこなった作曲家の故・末吉保雄。その末吉の作品と、彼に師事した実力派、大家百子、小田百合子、橋本忠らクァルテット・インテグラ ©Daniel Delangの新作が並ぶ。ヴァイオリン・デュオ、チェロ独奏、ヴィオラ独奏、そして弦楽四重奏の枠組みで各作曲家が独自の音楽世界を探究している。演奏は昨年のミュンヘン国際音楽コンクールで第2位入賞の精鋭、クァルテット・インテグラ。掲載している公演の最新情報は、それぞれの主催者のホームページなどでご確認ください。©Shigeto Imura12/2(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール和光市民文化センター サンアゼリア開館30周年記念事業 近藤嘉宏 世界三大ピアノ巡り12/23(土)14:00 和光市民文化センター サンアゼリア コンサート・ピアニストとして常に注目を浴びてきた近藤嘉宏は、近年ヨーロッパや韓国など海外でも着実にキャリアを積み重ねている。その彼が世界の三大ピアノを弾き分けるという好企画。ベートーヴェンの「月光」やドビュッシーの「月の光」といった人気曲から、リストの「ハンガリー狂詩曲第2番」のような技巧的な作品まで多様な魅力が楽しめる。ピアノの「音」に聴き入りたい人にはうってつけの公演。パシフィックフィルハーモニア東京特別演奏会「第九」オペラ《信長》 ピアノリダクション コンサート12/25(月)18:30 東京文化会館(小)月の12

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