eぶらあぼ 2023.11月号
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2024.2/17(土) 【第1部】14:00 【第2部】18:00 神奈川県立音楽堂問 チケットかながわ0570-015-415 https://www.kanagawa-ongakudo.com2024.1/21(日)14:00 紀尾井ホール問 紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp https://kioihall.jp62音楽堂ヘリテージ・コンサート ファビオ・ビオンディ バッハ 無伴奏 全曲イタリア古楽界の鬼才が魅せる孤高のパフォーマンス 世界中から引く手あまたのヴァイオリニストでありながら、1990年にピリオド楽器によるアンサンブルであるエウローパ・ガランテを設立して以来、指揮者としても目覚ましい活躍をみせているファビオ・ビオンディ。レパートリーもバロックの管弦楽曲からロマン派のオペラまでと幅広い。神奈川県立音楽堂では、これまでバロック・オペラのシリーズを展開してきた。2006年にヴィヴァルディの《バヤゼット》、15年にも同作曲家の《メッセニアの神託》、22年には彌勒忠史(演出)とのコンビでヘンデルの《シッラ》を実現させている。いずれも日本初演である。ほとんど未知のオペラを成功させる意欲、手腕は並大抵のものではない。 来年2月の来日公演は昨年の秋以来、約1年ぶりとなる。手兵エウローパ・ガランテを率いてのバロック・オペラから一転、今回はバッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」クァルテットの饗宴2023 エスメ四重奏団注目の若手クァルテット、メンバー交代後の新境地を聴く 2016年、当時ケルン音大の学生だった韓国人女性奏者4人で結成したエスメ四重奏団。2年後にはウィグモアホール国際弦楽四重奏コンクールで優勝、一気にこのジャンルのトップランナーに躍り出て注目を集めている。現在もドイツを拠点に活動中。世界的人気の韓国のガールズ・アイドルになぞらえて「クラシック界のブラックピンク」と呼ぶ海外メディアもあったが、今年の春にヴィオラがベルギー系アメリカ人のディミトリ・ムラトに交代し、新たな局面を迎えている。国籍にこだわらない姿勢は、あの東京クヮルテットを思い起こさせるかも。ムラトは2008年プリムローズ国際ヴィオラコンクール優勝、2009年第1回東京国際ヴィオラコンクール第2位。アンサンブル名の「esmé」は「愛される」「尊敬される」という意味の古フランス語に由来するそうで、2020年の1stアルバムも『TO BE LOVED』だった。を披露する。ヴァイオリニストにとって真価が問われる「試金石」の全曲演奏は、初演オペラに勝るとも劣らない意欲的な挑戦であろう。マチネとソワレの2部構成による同日全曲演奏であることも見逃せない。ビオンディは「無伴奏」を2020年に録音しているが、極めて独特な歌い回しに加え、即興と思しき装飾にも驚かされる。ライブでは一体どんなことをやってくるのか目が離せない。また、関連企画として音楽学者、 プログラムはハイドンの弦楽四重奏曲第41番(第29番)「ご機嫌いかが」。ファニー・メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第13番(終楽章:大フーガ)。メンバーはペ・ウォンヒ(第1ヴァイオリン)、左より:ペ・ウォンヒ、ディミトリ・ムラト、ホ・イェウン、ハ・ユナハ・ユナ(第2ヴァイオリン)、ディミトリ・ムラト(ヴィオラ)、ホ・イェウン(チェロ)。理想的な響きの室内楽ホールで最高水準の弦楽四重奏の快演に身を委ねる、紀尾井ホールの「クァルテットの饗宴」の一環。樋口隆一氏による事前トークイベント(24.1/24)も用意されており、大変充実した企画となっている。©Emile Ashley文:大津 聡文:宮本 明

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