第75回 ティアラこうとう定期演奏会 11/23(木・祝)15:00 ティアラこうとう問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 https://www.cityphil.jp61Echoes Of Life アリス=紗良・オット ピアノ・リサイタル心にこだまする響きを織込んだ70分間のストーリー ピアニストのアリス=紗良・オットがトルコ人建築家ハカン・デミレルの映像デザインを得て創造した夢のような70分間、「Echoes Of Life」が1年半ぶりに日本へ戻ってくる。2020年初めに降ってわいた新型コロナウイルスの世界拡大で演奏会の中止や延期が相次ぐ中、アリスが仲間たちを巻き込み立ち上げたプロジェクトだった。ドイツ・グラモフォンのCDリリースが先行、21年11月から世界ツアーを決行した。日本では22年5月20日の倉敷から30日の東京まで7ヵ所を回った。母の国へ戻るのは4年ぶりで「日本の食材をスーツケースいっぱい、買い込みました」。サントリーホールの舞台に現れたアリスはまず、流暢な日本語でプロジェクトの趣旨を語り、「生のこだま」という邦題を自ら与えた。 今回の音楽はショパン「24の前奏曲」の間に「7つのインタールード(間奏曲)」をはさんで展開する。7人の11/30(木)19:00 すみだトリフォニーホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp他公演11/22(水) 大阪/フェスティバルホール(キョードーインフォメーション0570-200-888)11/25(土) 足利市民プラザ(0284-72-8511)11/26(日) けんしん郡山文化センター(KFB福島放送 営業推進部024-933-5856)11/28(火) 札幌コンサートホール Kitara(オフィス・ワン011-612-8696)12/1(金) アクトシティ浜松(中)(浜松市文化振興財団053-451-1114)作曲家はトリスターノ、リゲティ、ロータ、ゴンザレス、武満徹、ペルトとアリス自身。デミレルの映像は抽象と具象、聖と俗、洋の西と東などの両極を揺れ動きながら、人が生きる場所、祈る場所、考える場所などへの様々な示唆を豊かに与える。アリスのピアノも「再現解釈者」の域にとどまらず、自身の明確な音のイメージと作品に対する考え方、映像との結びつきを常に一体化させたもので、旧来のリサイタル像とは一線を画す70分間だ。松本宗利音章(ジャズなどにも編曲された)をはじめ、楽章ごとに聴かせどころがある難曲である。世界でも活躍する朴の演奏は若い演奏家らしい発想に満ちているに違いない。 その前にグリンカのスペイン序曲第1番、そして後半でドヴォルザークの序©Pascal Albandopulos/DG朴 葵姫 ©changho曲三部作「自然と人生と愛」という珍しい作品を選んだ松本のタクトにも注目だ。とりわけドヴォルザークの隠れた名曲とも言われる序曲三部作を一挙に聴くチャンスは滅多にないだけに、松本が東京シティ・フィルからどんな響きを引き出すか、期待したい。文:片桐卓也文:池田卓夫松本宗利音(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団ギターの超名曲とドヴォルザークの秘曲のカップリング 若く情熱を持った演奏家の共演はいつも興味深いもの。特にオーケストラとの場合、指揮者や独奏者とオケにどんなケミストリーが起こるか、注目していなければならない。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の第75回ティアラこうとう定期演奏会はまさにそんなときめきに満ちたコンサートになりそうだ。指揮の松本宗利音(しゅうりひと)とギターの朴葵姫(パク・キュヒ)が民族色あふれる音楽で共演する。 松本はかつて東京シティ・フィル指揮研究員を務め、札幌交響楽団指揮者や各地のオーケストラへの客演などで腕を磨いてきた。朴は日本と韓国で育ち、荘村清志、福田進一らに師事。またウィーン国立音楽大学に留学し、首席で卒業したという実力派。録音も数多くリリースしている。ふたりが共演するのはクラシカル・ギターのための協奏曲としては定番中の定番「アランフェス協奏曲」だが、特に有名な第2楽
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