第987回 定期演奏会Aシリーズ 11/24(金)19:00 東京文化会館問 都響ガイド0570-056-057 https://www.tmso.or.jp2024.1/13(土)15:00 東京文化会館(小)問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 https://www.t-bunka.jp52東京文化会館 舞台芸術創造事業 現代音楽プロジェクト かぐや欧州の作曲家の目を通して再創造される日本文化の粋 東京文化会館は2021年の舞台芸術創造事業で、カイヤ・サーリアホが能に取材したオペラ《Only the Sound Remains》を上演した。そこで描かれたそこはかとない想念は、日本古来の精神を北欧というフィルターを通じて再解釈したものだった。 今回の企画「現代音楽プロジェクト かぐや」の前半は室内楽コンサートで、彼女の弦楽四重奏曲「テッラ・メモリア」、サーリアホに師事したユハ・T・コスキネンの箏独奏曲「イザナミの涙」(世界初演、箏:吉澤延隆)、サーリアホが才能を認めていたフィンランド在住の横山未央子の新作クァルテットで構成される。演奏はヴァイオリンの山根一仁をはじめ、最前線で活躍する若手で固めた。サーリアホは前回の来日で体調が心配されていたが、今年6月、闘病の末、世を去っている。このプログラムも彼女の生誕70年を祝うものだったが、悲しいことに早すぎる追悼公演となってしまった。 昨年度の舞台芸術創造事業では芥川龍之介を題材にしたユニークなモノ・オペラ《note to a friend》が上演されたが、今回の演奏会の後半部では欧州で注目を集める作曲家ジョセフィーヌ・スティーヴンソンが「竹取物語」、そして与謝野晶子の短歌に想を得て作曲した「かぐや the daughter tree」が初演される。今回は弦楽四重奏や箏の音色を背景にスティーヴンソン自身がヴォーカルを担当、今をときめく森山開次が振付・ダンスでコラボする。ルネッサンスの音響世界と現代的な感性をミックスした彼女の音楽が、世界最古のSF物語をどう小泉和裕 ©Rikimaru Hottaテクニカルな側面だけでなく、透明感のあるタッチから作品がもつ立体的な響きを浮き上がらせてくれるに違いない。 そして、プロコフィエフの交響曲第5番。都響の魅力がより発揮される、オーケストラの機能美が輝かしい交響ジョセフィーヌ・スティーヴンソン ©Marika Kochiashvili描き出すのだろうか。 公演に先立ち、1月11日にはスティーヴンソン自身による作品レクチャーも行われ、東京公演の後にはワールドツアーも待っている。新たな創造の誕生の瞬間を見届けたい。イノン・バルナタン ©Marco Borggreve曲だ。小泉は、奇を衒うことなく、壮大なスケールで描いてくれよう。この作品を彼は都響で1987年、1997年に取り上げた。今回は約25年ぶりの演奏となる。名匠から巨匠へ。円熟味を増したマエストロの芸術を堪能できる一夜になるだろう。文:鈴木淳史文:江藤光紀森山開次 ©Shingo Shimizu小泉和裕(指揮) 東京都交響楽団熟練のマエストロが描き出すロシア管弦楽作品の構造美 小泉和裕は、どこか懐かしい響きをオーケストラから引き出す。まるでカラヤンの時代を思い出させる明快な色彩美、そして安定感のあるバランスによって作られる腰のすわったどっしりとした構え。それは、オーケストラが長い歴史のなかで忘れられがちだったエッセンスを丹念に掘り起こしているかのようでもある。 11月の都響との公演は、待望のロシア・プログラムだ。2つのロシア作品を丹念に歌わせつつ、重厚なサウンドを響かせる。そして、そこに屹立するシンフォニックな構築性。 チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番のソリストには、イノン・バルナタンを迎える。イスラエル生まれのこのピアニストは、洗練された音色とスケール感の持ち主。都響とはアラン・ギルバートの指揮でベートーヴェンやラフマニノフを演奏して鮮やかな印象を残した。今回も、この協奏曲の華やかさ、
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