B」の各第2番。深く取り組み続けるベートーヴェンの初期の名品、コンクールをはじめ各所で名演を披露してきた得意のバルトーク、そして哀愁と情熱が同居したブラームス40歳の年の名作。いまのインテグラの演奏で、その真価を味わえるのは嬉しい限りだ。11/6(月)19:00 サントリーホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp2024.1/27(土) 14:00 第一生命ホール 11/15(水)発売問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 https://www.triton-arts.net50クァルテット・ウィークエンド 2023■2024 クァルテット・インテグラ着実にキャリアを積み重ねる四重奏団で聴く「3大B」 弦楽四重奏界の「3大B」。まず圧倒的なベートーヴェン、次にもちろんバルトークで文句なし。しかし、3人目のBとなると「ブラームスですよね?」といった温度差を感じる向きもあるかもしれない。たしかにブラームスは五重奏、六重奏の名曲群の印象の方が強いが、3曲の弦楽四重奏曲も徹底的に作り込まれた名品ぞろいで、彼ならではの重厚な響きの中に情熱や旋律美が盛り込まれていて、愛好するファンも多い。むしろ理想的な演奏でブラームスを聴く機会こそ、真に望まれていることだろう。 そんな室内楽ファンが注目するべき公演が、クァルテット・インテグラの第一生命ホールでの「3大B」演奏会である。「期待の若手」という立ち位置からわずか数年で、バルトーク国際コンクール優勝、ARDミュンヘン国際音楽コンクール第2位&聴衆賞、演奏の水準も高まり続け、いまや「屈指の団体」という存在にまでなった。現在ロサンリル・ゲルシュタインが登場する。彼が「もっとも作曲家の理想に近い」と一押しする「1879年第2版」による演奏はとても珍しい機会。冒頭のピアノの和音が分散和音になるなど、最終稿よりも優雅なピアノ協奏曲が楽しめるはずだ。 そんな豪華なソリストたちと共演すゼルスのコルバーン・スクールに、レジデンス・アーティストとして在籍しながら学び続けている彼らは、帰国の公演の度に進化・深化をみせて、かつそのとき最高の完成度の演奏を聴かせてくれるという信頼感もすでにある。 2回目となる当公演の曲目は、「3大高関 健 ©Masahide Satoパブロ・フェランデス ©IGOR STUDIOるのは、高関健と東京フィル。先日行われたプレトニョフを迎えてのラフマニノフのピアノ協奏曲シリーズでは、ソリストと共に鮮やかな響きを作り出していた。読みの深い指揮者と鮮やかな音色をもつオーケストラが充実したチャイコフスキーを奏でてくれるだろう。ヤン・ムラチェク ©Veronika Roseキリル・ゲルシュタイン ©Marco Borggreve文:鈴木淳史文:林 昌英©Daniel Delangチャイコフスキー3大協奏曲の響宴 ―130年目の命日に捧ぐ―1879年版のピアノ協奏曲を聴ける貴重な機会 1893年11月6日、チャイコフスキーは53年の生涯を閉じた。9日前に交響曲第6番「悲愴」を自らが指揮して初演したばかりだった。 それから130年後の作曲家の命日、彼の代表的な協奏曲をまとめて演奏するコンサートが開催される。ピアノ協奏曲第1番にヴァイオリン協奏曲、独奏チェロと管弦楽のために書かれた「ロココの主題による変奏曲」だ。 「ロココの主題による変奏曲」の独奏はパブロ・フェランデス。ソニークラシカルでのデビュー盤ではラフマニノフやファリャを弾き、そのキレの良さと濃厚な歌謡性に注目を集めたチェリストである。ヤン・ムラチェクの弾くヴァイオリン協奏曲も要注目。2016年にイルジー・ビエロフラーヴェクの招きにより25歳でチェコ・フィルのコンサート・マスターに就いた俊英だ。 ピアノ協奏曲第1番には、鮮烈なテクニックと知的なアプローチが光るキ
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