eぶらあぼ 2023.11月号
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12/15(金)19:00 横浜みなとみらいホール 12/16(土)14:00、12/19(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール 12/17(日)14:00 すみだトリフォニーホール12/18(月)19:00 サントリーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 https://www.njp.or.jp12/12(火)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 https://www.toppanhall.com他公演 12/10(日) 北九州市立響ホール(北九州国際音楽祭事務局093-663-6567)46 師走の風物詩といえばベートーヴェン「第九」。12月も後半に入ればオーケストラのコンサートはほぼ「第九」一色になる。暮れになれば来し方に思いを馳せるという日本人の心情に、過去を振り返りながら未来への希望を歌う「第九」はぴたりと寄り添ってくれる作品なのだ。 年末の「第九」をだれが指揮するのか。楽団によっては若手の抜擢もあれば重鎮の起用もあるが、新日本フィルの答えは明快だ。オーケストラのシェフが「第九」を振る。昨年に続いて、今年も音楽監督の佐渡裕が指揮を務める。独唱陣はソプラノの高野百合絵、メゾソプラノの清水華澄、テノールの笛左より:佐渡 裕 ©Peter Rigaud/高野百合絵 ©Takayuki Abe/清水華澄 ©Takehiko Matsumoto/笛田博昭/平野 和 ©武藤 章日本フィルではウィーンで活躍した作曲家たちがレパートリーの中心に置かれている。その意味では、ベートーヴェンの「第九」も年末恒例の演奏会であるというだけではなく、音楽監督が重きを置く「ウィーン・ライン」の一公演とみなすこともできるだろう。新たなカラーを身につけつつある新日本フィルの現在地を知るという点でも、大いに興味をひく「第九」となりそうだ。田博昭、バリトンの平野和。勢いのあるメンバーがそろった。栗友会合唱団とともに怒涛のクライマックスを築く。 佐渡が新日本フィルの第5代音楽監督に就任したのは今年4月のこと。オーストリアのトーンキュンストラー管弦楽団音楽監督を務め、ウィーンにヨーロッパの拠点を置いてきた佐渡は、就任時の記者会見で「ウィーンで学んだことを手土産にしたい」と語っていた。新ズラトミール・ファン ©Fred Conradば、待った甲斐があったということになるのではないか。 初めての共演にふたりが選んだのは、シベリウスの昏く情熱的な「メランコリー」とグリーグ唯一のチェロ・ソナタという北欧の音楽から、ドイツ・ロマン派に遡行し、ワーグナーのピアノ曲ロマンスアレクサンドル・カントロフ ©Sasha Gusovをポッパーの編曲で挟んで、ブラームス円熟のソナタ第2番で結ぶプログラム。独特の構成と思えるが、両者持ち前の抒情、ロマンとパッションをじっくりと聴かせるのに相応しい曲目だろう。年若いデュオのはじまりの光景を、まっさらな心で聴きとどけに行きたいと思っている。文:飯尾洋一佐渡 裕(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団 「第九」特別演奏会2023年末のスペシャルなステージは音楽監督のタクトでズラトミール・ファン(チェロ) & アレクサンドル・カントロフ(ピアノ)チャイコフスキーコンクールを制したふたりが日本でデュオデビュー文:青澤隆明 思いがけない驚きは、少々意外なかたちでやってくる。 10月にリサイタルで来日したピアニストのアレクサンドル・カントロフが12月にも再来し、チェリストのズラトミール・ファンとデュオ・リサイタルを行う。2019年のチャイコフスキー国際コンクールの優勝者どうしの顔合わせだが、トッパンホールの呼びかけに応えて今回初めてデュオを組むという。先のコンクールで、20歳のファンはチェロ部門でアメリカ人として40年ぶり、史上最年少の優勝を飾り、22歳のカントロフはフランス人ピアニストとして初の優勝者となって大きな話題を呼んだ。 ズラトミール・ファンと言えば、2022年にトッパンホールのニューイヤー・コンサートでの無伴奏と室内楽が待望されたが、パンデミック下の入国制限で流れてしまった。この冬ようやくの初来日が叶うが、ブラームスに熱心で室内楽も好むカントロフとのデュオなら

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