eぶらあぼ 2023.11月号
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第992回 サントリー定期シリーズ11/10(金)19:00 サントリーホール第993回 オーチャード定期演奏会11/12(日)15:00 Bunkamura オーチャードホール第158回 東京オペラシティ定期シリーズ11/16(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 https://www.tpo.or.jp2024.1/19(金)19:00 神奈川県立音楽堂問 チケットかながわ0570-015-415 https://www.kanagawa-ongakudo.com45音楽堂ヘリテージ・コンサート イアン・ボストリッジ シューベルト「白鳥の歌」現代最高峰のテノールが導く、はかなくも美しい歌曲の世界 ボストリッジがシューベルト「白鳥の歌」を歌う。英国のテノール特有の繊細な響きで陰影豊かに彫琢するドイツ歌曲。社会学的視点の魔女研究で博士号を持つ彼のアカデミックな探究心も音楽を支える。邦訳版で全440ページの労作『シューベルトの「冬の旅」』(2017)は、詩と音楽の分析を、ときにアニメ『シンプソンズ』のエピソードや自然現象である「幻日(幻の太陽)」の科学的説明など、多角的な視点の中で論じた名著。そんな研究の成果が「白鳥の歌」にも生きる。 ボストリッジはこの歌曲集を2008年にアントニオ・パッパーノと、21年にラルス・フォークトと録音した(フォークトが急逝したのはその翌年)。やや表現のディテールにこだわりがちだった旧盤と比べて、13年後の新盤の語り口はけっして大袈裟でない自然な息づかい。前掲書で彼は、言葉と旋律の関連づけに関してクラシック歌手はもっと晴真の“今”を明示する「ロココ」が、コンサートに彩りを加える。 そしてもちろんバッティストーニの指揮。ロシアものはイタリアものと並ぶ彼の柱の一つであり、以前インタビューした際にも、「チャイコフスキーは一番好きな作曲家。エモーションを与えてくれるし、イタリアとロシアの音楽は情熱的でロマンティックで歌に溢れているといった共通点もある」と語っていた。高熱量で躍動的で生命力漲る彼の持ボブ・ディランやビリー・ホリデイ、シナトラらの歌の説得力に感化されるべきだと説く。その柔軟さに潜む凄み! ベートーヴェンの「遥かなる恋人に寄す」と併せたプログラムも心憎い。連作歌曲集の元祖。「白鳥の歌」はもともと歌曲集として企図されたものではないが、冒頭7曲のレルシュタープの詩は「遠く離れた最愛の人」というテーマでほのかに結ばれ、敬愛するベートーヴェンの先例と呼応している。共演ピアノに名手ジュリアス・ドレイク。二人が、未体験の歌曲の宇宙へいざなってくれる。アンドレア・バッティストーニ ©上野隆文佐藤晴真 ©Seiichi Saitoち味は、まさにチャイコフスキーにピッタリ。ここは、レア曲の魅力発見をも喚起する、エキサイティングな“オーケストラ・ドラマ”に酔いしれたい。©Sim Canetty-Clarke文:柴田克彦文:宮本 明アンドレア・バッティストーニ(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団文豪の音楽ファンタジーを一気に堪能 今シーズンの東京フィル定期の締めくくりは、首席指揮者アンドレア・バッティストーニがおくる「シェイクスピアとチャイコフスキー」プログラム。しかも、幻想曲「テンペスト」、「ロココの主題による変奏曲」、幻想序曲「ハムレット」、同じく「ロメオとジュリエット」という滅多にないラインナップが目を引く。これは様々な点で興味深い公演だ。 まずは今年没後130年のチャイコフスキー。同楽団2月定期のプレトニョフ指揮「マンフレッド交響曲」に続いて、今回も劇的でロマン溢れるレア作品「テンペスト」「ハムレット」を生体験することができる。シェイクスピア文学を音楽化したチャイコフスキー作品をまとめて聴けるのも貴重だし、7月のチョン・ミョンフン指揮《オテロ》の超名演を踏まえた、同作家の戯曲の音楽集成という点でも意義深い。さらには、2019年ARDミュンヘン国際音楽コンクールのチェロ部門で日本人初優勝を遂げた後の活躍が目覚ましい佐藤

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