日生劇場開場60周年記念公演 NISSAY OPERA 2023《マクベス》(新制作)53年ぶりのヴェルディ作品上演で周年を彩る42 今年、開場60周年を迎えている日生劇場のNISSAY OPERA 2023で、ヴェルディ《マクベス》が新制作される。幅広いジャンルのオペラを上演してきた日生劇場だが、ヴェルディを取り上げるのは1970年のベルリン・ドイツ・オペラ《ファルスタッフ》以来で53年ぶり! とのこと。同劇場芸術参与の粟國淳が演出し、ベテランの沼尻竜典が指揮する読売日本交響楽団がピットに入る。 シェイクスピア四大悲劇の名作が、ヴェルディの圧倒的な音楽で描き出される、演劇的にも見どころが多いオペラ《マクベス》。粟國は「権力を手にした人間の弱さというテーマは、今日粟國 淳沼尻竜典11/11(土)、11/12(日)各日14:00 日生劇場問 日生劇場03-3503-3111 https://opera.nissaytheatre.or.jp※配役などの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。の作品。こういったオーケストラ編成以外の作品をはさんでくるのがノットらしい。東響ソロ首席奏者の伊藤文嗣が独奏チェロを務める。現代スイスの作曲家アマンの「グラット」は、2016年にチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団により世界初演された作品で、複雑で洗練さ東京オペラシティシリーズ 第136回11/17(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール名曲全集 第193回〈後期〉11/18(土)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jpジョナサン・ノット ©K.Miura/TSO今井俊輔伊藤文嗣 ©N.Ikegamiゲルハルト・オピッツ ©HT/PCMれた書法から熱気にあふれた渦巻くような音響が生み出される。 後半は一転して本格派のベートーヴェンへ。ピアノ協奏曲第5番「皇帝」で巨匠ゲルハルト・オピッツがドイツ正統派のピアニズムを披露する。ずしりとした聴きごたえを残してくれることだろう。大沼 徹 にも通じる普遍的なもの」と語る。これまでも粟國が演出する舞台をヴィヴィッドな色彩感覚と造形への鋭いセンスで形にしてきたアレッサンドロ・チャンマルーギが美術・衣裳を担当し、ヴェルディの世界観を描き出すのも注目だ。 《マクベス》は、魔女たちがマクベスに不吉な予言をする場面、バーナムの森が動く場面など、超自然的な現象を含むダイナミックな脚本を持つ。今回田崎尚美文:飯尾洋一文:井内美香岡田昌子は振付師として幅広い活躍をし、蜷川幸雄やジョン・ケアードなどともシェイクスピア作品に取り組んできた広崎うらんによるコンテンポラリー・ダンスが加わるので表現の幅も広がるはずだ。 歌手は全役をオーディションによって選出。マクベス役の今井俊輔と大沼徹、マクベス夫人の田崎尚美と岡田昌子をはじめとする、二つの組どちらも充実のキャストが集結した。公演への期待が膨らむ。ジョナサン・ノット(指揮) 東京交響楽団リゲティからベートーヴェンへ、ノットが描くこだわりのストーリー いつも刺激的なプログラムを組んでくれるジョナサン・ノットと東京交響楽団の名コンビ。11月の東京オペラシティおよび名曲全集シリーズでも、現代作品とベートーヴェンを組み合わせた興味深いプログラムが用意された。前半がモダン、後半がクラシックという「一粒で二度おいしい」コンサートになりそうだ。 前半に並ぶのは、リゲティの「アパリシオン」、ドビュッシーの3つの夜想曲より「祭り」、ブーレーズの「メサジェスキス」、そしてディーター・アマンの「グラット」。共通項はノットが敬愛する作曲家たち。今年生誕100年を迎えたリゲティは、ノットがこれまでにもくりかえし取り組んできた作曲家だ。緻密なトーン・クラスターを用いた「アパリシオン」が演奏される。ドビュッシーの「祭り」ではカラフルで華やかなオーケストレーションが楽しみ。ブーレーズの「メサジェスキス」は独奏チェロと6つのチェロのため
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