eぶらあぼ 2023.11月号
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第633回 定期演奏会 12/5(火)19:00 サントリーホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp11/5(日)14:00 サントリーホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp41合わされる。 数ある弦楽セレナードの名曲のなかでも、双璧をなすのがドヴォルザークとチャイコフスキーだろう。ドヴォルザーク作品にはこの作曲家ならではの素朴な味わいと土の香りがあふれている。一方、チャイコフスキー作品は華麗にシルヴァン・カンブルラン ©読響 後半はヤナーチェクの序曲「嫉妬」から、ルトスワフスキの「管弦楽のための協奏曲」へと繋ぐ。「嫉妬」での情熱的な動機が、より抽象化されてルトスワフスキ作品へと昇華していくよう。「管弦楽のための協奏曲」では、それぞれチェコ・フィルハーモニー弦楽アンサンブル ©PetraHajskaピエール=ロラン・エマール ©Marco Borggreveの奏者のテクニック、エネルギッシュなリズムとサウンド、そして色彩表現の鮮やかさに注目したい。終楽章の最後に出てくるコラールでは、カンブルラン持ち前の明るい響きが過不足なくホールを満たしてくれるに違いない。ヤン・フィシェル ©PetraHajskaして優雅、そして全編に高揚感がみなぎっている。それぞれの作曲家のキャラクターが作品にそのまま表れているが、前者が1875年、後者が1880年と、作曲時期はほぼ同年代。19世紀後半に生まれた二大セレナードをいちどに楽しめるのは大きな魅力だ。文:鈴木淳史文:飯尾洋一シルヴァン・カンブルラン(指揮) 読売日本交響楽団二人の巨匠が20世紀東欧作品でみせるハイパフォーマンス 鬼に金棒。読響にカンブルランだ。2010年代、日本のオーケストラ・シーンを鮮烈に彩ったコンビが、今年も魅力的かつスパイシーなプログラムを披露する。 生誕100年のリゲティ、そして生誕110年のルトスワフスキを軸とした演奏会だ。プログラム前半と後半、それぞれの頭にヤナーチェクの作品を置く。民族的なエッセンスを斬新な音響で、力強く、そして神秘性を帯びて奏でられるヤナーチェク。その語法や響きを拡大、拡張するかのように、リゲティやルトスワフスキへ繋がっていくという趣向が心憎いばかりだ。 ヤナーチェクの珍しい作品、バラード「ヴァイオリン弾きの子供」でスタート。続くリゲティのピアノ協奏曲には、スペシャリストのピエール=ロラン・エマールが登場、ポリリズムの極致たる逸品を奏でる。もはや前衛でも伝統的でもない、多様性の象徴たる協奏曲が鮮やかに鳴り響く。チェコ・フィルハーモニー弦楽アンサンブル名門チェコ・フィルの精鋭たちによる “セレナード”二大セレナードを名門オケの芳醇な響きで味わう チェコ・フィルハーモニー管弦楽団といえばチェコを代表する名門オーケストラとして名高い。とりわけ弦楽セクションのしなやかで柔らかい響きには定評がある。そんなチェコ・フィルの弦楽セクションの精鋭たちで組織されたのがチェコ・フィルハーモニー弦楽アンサンブルだ。チェコ・フィルのコンサートマスター、ヤン・フィシェルを筆頭に、28名のメンバーが来日する。 プログラムはチェコ伝統の弦の魅力を最大限に味わえるものといってよいだろう。前半は「お国もの」であるドヴォルザーク。有名な歌曲を原曲とする「我が母の教え給いし歌」弦楽合奏版、そしてドヴォルザークならではののびやかで親しみやすい旋律美にあふれた弦楽セレナードが演奏される。後半はチャイコフスキーで、甘美な旋律で有名な「アンダンテ・カンタービレ」弦楽合奏版と、このジャンルの最高傑作とでもいうべき弦楽セレナードが組み

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