eぶらあぼ 2023.11月号
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「直線的にリズムを取りすぎてるね」「もう少し耳を使って」 その口から次々に細かい指摘が飛ぶ。中学・高校と吹奏楽部で過ごしたという横山さんだが、中学生相手でも手加減や妥協はなかった。「中学生だからクオリティを下げて、とは一切考えていません。プロオケと一緒に本気の演奏をし、音楽に目覚めてほしいと思っています」 そして、迎えた本番当日。客席に詰めかけた大観衆の前でまず保土ケ谷中だけで演奏。続いて横山さん指揮で、石田さんのヴァイオリンソロとの共演となった。《ジェラシー》はタンゴのリズムが難しく、左より:川上陽己子さん、石山和佳さん、廣瀬聡美さん、山田康二先生 実は、事前に顧問の山田康二先生からも「プロと同じようにお願いします」とリクエストがあったのだという。休憩時間、マエストロは山田先生に「本当に普通にやっちゃってごめんね」と言ったが、先生は心から光栄に感じたという。 では、中学生たちはどうだったのだろう?「プロの指揮者に指導していただくのも初めてでしたが、山田先生が『プロと同じように』と言ってくれて、横山先生も本気で指導してくださったのが嬉しかったです」 部長でファゴット担当の3年生、廣瀬聡美(ひろせさとみ)さんはそう語った。また、ドラムセットを担当していた3年生の副部長、石山和佳(わか)さんはレッスン中に横山さんから多くの指摘を受けていたが、表情には明るい笑みが浮かんでいた。「いろいろ言われちゃったんですけど、新発見が多かったし、休憩時間に横山先生から『良くなったね』と言われたのがめっちゃ嬉しかったです!」 石山さんは本番を見据えてこう付け加えた。「神奈川フィルだけが中心にならないようにしたい。『中学生だから』とかじゃなく、シンプルに『すごい』と思ってもらえる演奏をしたいです」練習では苦戦していたが、本番は石田さんのリードを受けながら堂々と演奏しきった。 プロの音楽家たちとの共演を見事にやり遂げた保土ケ谷中。この貴重な体験は「ヨコハマ・ネクストコンサート」という企画名のとおり、音楽や人生の「ネクスト」につながるものになることだろう。石田泰尚さんとの共演 撮影:藤本史昭 終演後、石田さんからは「昨日から何度も合わせる練習をしましたが、本番がいちばん良かったと思います」と賛辞を送られた。 横山さんの指揮で神奈川フィルと合同演奏した《アイーダ》では中学生たちの音がプロオケのサウンドと見事にとけ合い、アンコールの《星条旗よ永遠なれ》では客席から手拍子が起こるほど高揚感のある演奏となった。 終演後、ホルン担当の3年生で副部長の川上陽己子(ひなこ)さんはこう語ってくれた。「神奈川フィルの演奏はすごすぎたけど、その音を学びながら吹くことができたと思います。最後の《星条旗よ永遠なれ》では会場全体が一体になった感じがして感動しました」最後は神奈川フィルと部員全員で演奏 撮影:藤本史昭♪♪♪拡大版はぶらあぼONLINEで!→39

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