eぶらあぼ 2023.11月号
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128ウェイブス〜フランス作品集/ブルース・リウチャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」/ドミンゴ・インドヤン&ロイヤル・リヴァプール・フィル未来に伝える三善晃の世界Ⅰ,Ⅱ,Ⅲバッハ:ゴルトベルク変奏曲 リ・イマジンド/レイチェル・ポッジャー2021年のショパン国際コンクールの覇者ブルース・リウによる初のスタジオ録音フル・アルバム。今作で彼が向き合ったのは自身の生地フランスの鍵盤音楽だ。バロック、ロマン派、20世紀に書かれた、ラモー、アルカン、ラヴェルの作品集という魅力的な内容。安定した超絶技巧を誇るリウが奏でるラモーの「ガヴォットと6つのドゥーブル」は実に愛らしく、なおかつリズムのドライヴ感も最高。アルカンの〈舟歌〉は恐ろしいほどデリケートな音色でたゆたい、ラヴェルの組曲「鏡」は幻想的で冷たく美しい響きで雄弁に語る。ピアノからあらん限りの音色を引き出した珠玉の一枚。(飯田有抄)チャイコフスキーの「悲愴」に、私たちは過剰なドラマを求めすぎていなかったか。ドミンゴ・インドヤンは首席指揮者を務めるロイヤル・リヴァプール・フィルを率いての「悲愴」で、そう問いかける。さりげない冒頭から、自然に主部へとすべり込む。極端な抑揚や悲劇的な身振りの代わりに、滑らかなフレージングと各楽器の色彩感が、音楽を伸びやかに呼吸させる。この曲はまず、“悲愴”である前に「交響曲第6番」―ただし、濃密なドラマが詰まった―なのだ。終楽章の哀歌の末尾でも、コントラバスの拍動が「再生」を指し示している。また一人、ベネズエラからの俊英登場だ。 (矢澤孝樹)子どものための音楽や練習曲、編曲もの(とはいえどれもひねりが効いてゴージャス)までを幅広くカバーした三善晃の室内楽作品による三回のコンサートを2枚組にまとめた。カルテット・アマービレによる3曲の弦楽四重奏曲は、鋭角性を削ぎ線が豊かに絡まるテクスチュアとして描き出されている。「響象」では、2台ピアノ(倉地恵子、福田薫)が浮遊するうつろな音の形象を力強い運動に育てていく。チェロの珍しい作品は山澤慧によって、「プロターズ」「エピターズ」といったギター作品も佐藤紀雄、土橋庸人によって新たな息吹を吹き込まれた。三善の音楽思考の広がりを映しだしたアルバム。(江藤光紀)ピリオド奏法の名手ポッジャーとブレコン・バロックによるバッハのゴルトベルク変奏曲の新たな室内管弦楽版の録音が生まれた。アルバムのタイトルが示す通り、これは単なる編曲ではなく、各変奏曲を新たな音楽として捉え直す意欲的な試みである。ポッジャーの独特な歌い回しのアリアで始まる演奏では、一瞬違う作品のようにすら聴こえる。管楽器が加わることで音色が豊かになるが、圧巻は鍵盤楽器では表現不可能な音響的広がりをみせるクオドリベットである。各パート名手揃いの中、作品をリイマジンしたチャド・ケリーのチェンバロが常に音楽を強固に下支えしているところが成功の鍵であろう。(大津 聡)ラモー:「新クラヴサン組曲集」より〈ガヴォットと6つのドゥーブル〉〈未開人たち〉、「クラヴサン曲集」より〈優しい嘆き〉/アルカン:「歌曲集 第3集」より〈舟歌〉/ラヴェル:組曲「鏡」 他ブルース・リウ(ピアノ)チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」ドミンゴ・インドヤン(指揮)ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団三善晃:プロターズ〜遠景から無景へ〜2台のギターのための、エピターズ〜ギター独奏のための、弦楽四重奏曲第1番〜第3番「黒の星座」、響象Ⅰ・Ⅱ〜2台のピアノのための 他山澤慧(チェロ) 福田薫 倉地恵子(以上ピアノ) 佐藤紀雄 土橋庸人(以上ギター) 竹井誠(篠笛/能管) カルテット・アマービレ【篠原悠那 北田千尋(以上ヴァイオリン) 中恵菜(ヴィオラ) 笹沼樹(チェロ)】収録:2015年9月、杉並公会堂(小) 他コジマ録音ALCD-9255,9256(2枚組) ¥3850(税込)バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988(チャド・ケリーによる室内管弦楽版)レイチェル・ポッジャー(ヴァイオリン)ブレコン・バロック(古楽器アンサンブル)チャド・ケリー(チェンバロ)CHANNEL CLASSICS/ナクソス・ジャパンNYCX-10433 ¥3630(税込)ユニバーサル ミュージックUCCG-45085 ¥3080(税込)収録:2021年11月、リヴァプール(ライブ)Onyx/東京エムプラスONYX4243 ¥2620(税込)CDCDCDSACD

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