eぶらあぼ 2023.10月号
81/173

11/13(月)19:00 東京文化会館(小)問 ムジカキアラ03-6431-8186 https://exnovo.jp12/2(土)17:15 すみだトリフォニーホール問 プランクトン03-6273-9307 https://plankton.co.jp他公演11/26(日) 東海市芸術劇場(0562-38-7030)12/1(金) 兵庫県立芸術文化センター(中)(0798-68-0255)12/3(日) 所沢市民文化センター ミューズ アークホール(04-2998-7777)78 圧倒的な音楽センスで絶賛されながらも男女問題で追われる身となり、刺客の手にかかり早世した17世紀イタリアの天才ストラデッラ。その波乱すぎる後半生が19世紀に複数のオペラで扱われ有名になった一方、作曲業績そのものは長く見過ごされていた。 近年ヨーロッパで急速に復権が進む中、代表作の一つと言ってよい劇的起伏たっぷりのオラトリオ《洗礼者ヨハネ》を最高の布陣で堪能できる機会が訪れるとは! 同作の興行公演は日本初、しかもイタリアでの古楽経験豊かな福島康晴の指揮となれば聴き逃がせない。同じくイタリア古楽に造詣の深いチェ ここ20~30年の間に、音楽ジャンルのひとつとして定着したケルト音楽。アイルランドやスコットランドをはじめ、ケルト民族の文化が色濃く残る国や地方を中心にして発信される民族音楽だ。 使われる楽器はフィドル(ヴァイオリン)やフルート、バグパイプ、ギター、バンジョー、ブズーキをはじめ多岐にわたる。セッションでひとつのフレーズが繰り返されるうちに、まるで螺旋のように形を変えていくさまはスリリングかつ神秘的。一方、メロディアスで温かい歌は聴く者に安らぎと郷愁の念を抱かせる。ケルトはヨーロッパ文化の源流ともいわれるが、クラシックをはじめ福島康晴中嶋俊晴とする西洋音楽のふるさとと思えるような包容力こそケルト音楽が持つ最大の魅力なのだ。 さて、毎年旬のアーティストを招き、日本のクリスマス・シーズンをケルト音楽で温かく包み込む「ケルティック・クリスマス」。4年ぶりの開催となる今年は、ルナサとダーヴィッシュというアイルランドの伝統音楽界を代表する2組がエントリーされた。1996年に結成松井永太郎阿部早希子ロ懸田貴嗣やチェンバロ渡邊孝はじめ、通奏低音はハープやテオルボも交えた17世紀流の豪華さで、ヴァイオリンよりヴィオラの員数が多いユニークな合奏には、古楽界を賑わす実力派プレイヤーが続々。声楽曲でも弦楽対比を巧みに活かしたストラデッラ作品では何より頼もしい布陣だ。歌手勢も民衆役まで選び抜かれ、残酷な悲運の主人公ヨハネを演じるのは近年バロック・オペラで大活躍のカウンターテナー中嶋俊晴。阿部早希子のへロディアとその娘ルナサ佐藤裕希恵ダーヴィッシュデイヴィッド・ギーニーされたルナサは、圧倒的なテクニックとアンサンブルでシーンの先頭を走り続けるライブ・バンド。ダーヴィッシュは力強くて優しい演奏と溢れるような歌心が身上だ。 また、ケルト音楽はダンス・ミュージックでもある。今回はアイリッシュ・ダンスの若き世界チャンピオン、デイヴィッド・ギーニーが初来日。超絶技巧で観客の目を釘付けにするはずだ。文:白沢達生文:山崎隆一大野彰展(いわゆるサロメ)に佐藤裕希恵という配役も、迫真の演技力が高度な歌唱力と結びつく驚きを予感させる。 指揮の福島自身が、このところ16世紀末~17世紀前・中盤のイタリア劇音楽の実演を独唱者としても賑わせてきた末の好企画。「ラ・フォリア」のコレッリさえ若造だった頃のローマを賑わせた才人の至芸、バロック式教会の内陣も連想できそうな東京文化会館小ホールという絶妙の会場でじっくり味わいたい。エクス・ノーヴォ vol.18 アレッサンドロ・ストラデッラ オラトリオ《洗礼者ヨハネ》波乱の生涯を送った作曲家の知られざる傑作を豪華布陣で上演!ケルティック・クリスマス 2023ケルト音楽の温かさに包まれる聖なるひととき

元のページ  ../index.html#81

このブックを見る