eぶらあぼ 2023.10月号
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10/14(土)14:00 枚方市総合文化芸術センター(小)問 枚方市総合文化芸術センター本館072-845-4910https://hirakata-arts.jp69日本のオーケストラの名手たち Vol.1山形交響楽団メンバーによる「名曲コンサート」〜食と温泉の国から生まれる情熱のサウンド〜東北の名門オケ奏者が“推し”の名曲とともに枚方にやってくる! 2021年8月にオープンした大阪府内の新しいホール、枚方市総合文化芸術センターが日本各地のオーケストラに所属する名手を集め、多彩な編成の室内楽を楽団ごとに紹介する自主企画「日本のオーケストラの名手たち」を新たに立ち上げる。「塊」としての楽団、「個」としての楽員それぞれの魅力に光を当てる意義あるシリーズ。入場料金も2500円と手ごろだ。 10月14日の第1回は、毎年の「さくらんぼコンサート」大阪公演でも知られる山形交響楽団。コンサートマスターの平澤海里、第2ヴァイオリン首席の堀越瑞生、ヴィオラ首席の山中保人、チェロ首席の矢口里菜子、クラリネット首席の川上一道が出演、モーツァルトのディヴェルティメント ヘ長調 K.138、ブラームスのクラリネット五重奏曲という名曲の間にコダーイ、イザイ、ハルヴォルセン(ヘンデルの主題に基づく)をはさむ興味深いプログラムだ。 来年2月11日の第2回は新日本フィルハーモニー交響楽団を予定。から二番目の思想」という有名なピアノ曲のタイトルを掲げて、ソロとデュオでまとめたダブル・アルバムを奇才に捧げたのが2009年のことだった。 ソロのほうはそろそろとソロを弾いているが、多彩なデュオ・アルバムのなかで、人を喰った歌唱を飄々と聴かせていたのがテノールのジャン・ドゥルスクルーズ。いまではもう20数年来のタローの盟友である。〈伊達男〉や〈潜水人形〉を巧みに歌い、〈いいとも、ショショット〉という結婚話の歌曲をコントのように活き活きと演じてみせたのがこの歌い手だった。 でも、タローはやっぱりそれでは飽き足らなくて、ピアノと歌に加えて、サティ自身の言葉を朗読で織りなす舞台までつくってしまったのである! 「ジムノペディ」や「グノシエンヌ」、「ひからびた胎児」、「ばら十字団の最初の思想」などのピアノ曲をタローが弾く。ドゥルスクルーズとは、先のアルバムにいくつか歌曲を加えて、サティ・サーカスを上演する。そして、若手俳優の鬼倉龍大が、五十路のサティに扮10/17(火)19:00 フィリアホール問 フィリアホールチケットセンター045-982-9999 https://www.philiahall.com他公演 10/15(日) 兵庫県立芸術文化センター(小)(0798-68-0255)して風変わりな台詞を独白していく。 フランスきってのエスプリと、世紀末から戦間期にいたるパリの芸術的雰囲気が、風変わりな男の語りと音楽で鮮やかに伝えられよう。さぞ不可思議で、幻想的な舞台になるのでしょうな!枚方市総合文化芸術センターアレクサンドル・タロー ©Marco Borggreve文:池田卓夫文:青澤隆明アレクサンドル・タローが描く エリック・サティの世界さてもタロー、このたびはエリック・サティのお出ましである。 「私はエリック・サティと申します、みなさんと同じように」男はそんなふうにおどけてみせる。みんな名前はあるでしょう、と言うように。 世紀末以降パリに花咲いた新しい芸術の寵児のなかでも、サティはひときわ異彩を放っていた。かんたんに言えば、たいへんな変わり者として知られた。 「私はオンフルールで、1866年5月17日に生まれましたので、五十歳ということになりますね。“五十男”ってのは、他の称号と同じくらい良いものですな!」 会ったこともない人のことを、どうしてこんなにも考えてしまうのか。「たいてい演劇はいない人のことを話す芸術だから」と平田オリザさんは本誌前号でインタビューしたときに語っていた。もしそうだとすれば、サティはとても演劇的な個性で、舞台にいてもいなくても話題を振りまいてしまう人物なのだ。まったく、困ったものである。しかし、困ったままではいられないから、みんな喜びいさんで、それぞれに想像の手を伸ばそうとする。 多才なピアニスト、アレクサンドル・タローにとって、サティは愛するフランス近代の作曲家であるだけでなく、100年くらい前にパリと郊外に暮らしたこの道の愉快な先達である。「最後

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