eぶらあぼ 2023.10月号
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第261回 土曜マチネーシリーズ 10/21(土)第261回 日曜マチネーシリーズ 10/22(日)各日14:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp11/17(金)19:00 王子ホール問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 https://www.ojihall.jp57そして、ヒンデミットやシュレーカーなどで彼が実現している鮮やかな色彩が、ここでは際限なく散りばめられよう。バレンシアを拠点に活躍しているメゾソプラノ、加藤のぞみの歌唱にも期待したい。 グリーグのピアノ協奏曲のソリストセバスティアン・ヴァイグレ ©読響加藤のぞみ中川優芽花 ©Susanne Diesnerには、中川優芽花を迎える。ドイツで生まれ育ち、2021年にクララ・ハスキル国際ピアノコンクールで優勝した新星だ。今回、読響とは初共演。作品の内部にぐっと入り込み、すみずみまで表現を通わせたグリーグを聴かせてくれるはずだ。漆原啓子 ©Eiji Shinohara阪田知樹 ©HIDEKI NAMAI主張を果たす。これまた高度な技巧とヴァイオリンとの同調の両面が不可欠なブラームスのソナタにこの上なく適した奏者だ。 ここで二人が構築する滋味深き音楽にじっくりと耳を傾けたい。文:鈴木淳史文:柴田克彦セバスティアン・ヴァイグレ(指揮) 読売日本交響楽団名手たちが情熱的に彩る午後のひととき ヴァイグレと読響は、10月にアイスラーの「ドイツ交響曲」を日本初演する予定だ。ファシズムへの抵抗をテーマとしたその大作を奏でた4日後の週末、趣向をガラリと変え、情熱と抒情うずまく名曲プログラムを披露する。ベートーヴェンの序曲「レオノーレ」第3番、グリーグのピアノ協奏曲、そしてファリャのバレエ音楽「三角帽子」だ。 ドイツ音楽を得意とする名匠とファリャという組み合わせは、いささか意外の感がなくもない。しかし、2004年から5年間、ヴァイグレはバルセロナのリセウ大劇場で音楽総監督を務めていた。任期中、彼はフラメンコに熱狂していたという。 「三角帽子」は、アンダルシアを舞台に権力者をやり込める痛快なコメディで、ファンダンゴやセギディージャなどのスペイン舞曲が次々と連なっていく。ラテンのリズムを燃え立たせるヴァイグレの姿が想像できるようだ。漆原啓子 & 阪田知樹 〜ブラームス ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会〜理想のデュオで味わうブラームスの真髄 ブラームスの3つのヴァイオリン・ソ演奏を聴かせていナタは、それぞれが魅力的な個性を有る。このキャリアとするロマン派の同ジャンル屈指の名音楽性が、ブラーム曲だ。しかしながら、ヴァイオリンをテスのソナタの真髄クニックに任せてバリバリ弾けば楽曲に通じるのは言う特有の味わいが生まれず、逆にピアノまでもない。は独奏曲を上回るほどタフなテクニッ ピアノの阪田知樹は、2016年フラクが求められる。そうした音楽の性格に相応しいコンサートが、11月に王子ンツ・リスト国際ピホールで行われる漆原啓子&阪田知アノコンクール第1位など多くの賞を樹の全曲演奏会である。獲得後、世界20ヵ ヴァイオリンの漆原啓子は、1981年ヴィエニャフスキ国際コンクールにお国以上で演奏を重ねている超俊才。彼は、目覚ましいテいて最年少で日本人初優勝を果たして以来、ソロ、室内楽、協奏曲、CD録音、クニックを生かして、ダイナミックかつTV出演、教授など多彩な活躍を続け、きめ細かな音楽を奏でる。表現は的2021年にデビュー40周年を迎えたベ確で説得力抜群。しかも室内楽でのテラン奏者。高い技術力と王道の表センスやバランス感覚が素晴らしく、現スタイルを持った本格派で、ヴァイオ共演者を引き立てながら絶妙な自己リンという楽器の美点を真に伝えてくれる。しかもここ数年は、ナチュラルにして味わい深い、まさに円熟を極めた

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