eぶらあぼ 2023.10月号
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11/20(月)19:00 NHKホール問 NHKプロモーション音楽祭係03-3468-7736 ハローダイヤル050-5541-8600https://www.nhk-p.co.jp10/21(土)15:00 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ(小)問 京都コンサートホール075-711-3231 https://www.kyotoconcerthall.org50NHK音楽祭2023 〜名曲と出会う場所〜ウラディーミル・フェドセーエフ(指揮) NHK交響楽団巨匠が悠揚迫らぬ運びで描く稀代の名曲 今年20回目を迎えるNHK音楽祭には、NHK交響楽団に加えて、4年ぶりの海外オーケストラ=イスラエル・フィルが参加する。後者はむろん要注目だが、N響の公演も、ウラディーミル・フェドセーエフが指揮するチャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」全曲という、期待度満点の内容だ。 まずはロシアきっての巨匠フェドセーエフの指揮を享受できるのが嬉しい。1932年レニングラード生まれの彼は、74年からシェフを務めるモスクワ放送響(現チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ)と現代では異例の50年近いパートナーシップを築き、世界各地の著名楽団や歌劇場に数多く客演。N響とも2013年以来たびたび共演し、確かな構築の中に迫力や色彩感を湛えた快演を展開している。だが今年91歳の年齢と現在の社会情勢から、日本で接する機会は極めて貴重。今年3月のN響関西公演で健在ぶりを示しただけに、プーランク没後60年 パスカル・ロジェ × ウインドクインテット・ソノリテプーランクの横顔フランスの名手のピアニズムが彩り豊かな木管五重奏と響き合う 心が躍り、思わず微笑みたくなるような音楽。今年没後60年になる生粋のパリジャンのフランシス・プーランク(1899~1963)は、そんな曲を書いてきた作曲家ではないだろうか。洒脱でユーモラス、でもどこかノスタルジックな美しさのある彼の作品には、ポップな色彩の絵画を連想させるような趣もある。 この秋、京都コンサートホールでは「プーランクの横顔」と題し、フランスの名手パスカル・ロジェを迎えて、室内楽コンサートが開催される。「オルガニストの母のお腹の中ですでにプーランク作品を聴いていた」というロジェにとって、プーランクは特別な作曲家だ。ピアノ・ソロ曲はもちろん、室内楽、協奏曲などピアノの入る作品の全曲録音もリリースしている。 今回は、2013年に京都ゆかりのプレイヤーたちにより結成され、現在躍進中のウインドクインテット・ソノリテウラディーミル・フェドセーエフ ©Oleg Nachinkin東京における久々の共演は絶対に見逃せない。 組曲で有名な「くるみ割り人形」だが、チャイコフスキーの美点が詰まったこの円熟の名作は、全曲演奏でこそ真価を堪能できる。美しい旋律、愉しいリズム、豊麗なロマンに、感動的な児童合唱等々、魅惑の音楽が終始続く(しかも長パスカル・ロジェ ©武藤 章と共演する。メンバーは上野博昭(フルート)、須貝絵里(オーボエ)、吉田悠人(クラリネット)、村中宏(ファゴット)、深江和音(ホルン)の5人で、関西のオーケストラなどでも活躍中の俊英たちが揃った。オール・プーランク・プログラムで、クラリネット、フルートのソナタ、さらにはピアノ・ソロの「3つの間奏くない)ので、今回ぜひ生体験をお勧めしたい。フェドセーエフとN響は、2018年にも本作を取り上げ、壮大かつ濃密な名演を聴かせている。あれから5年を経て、熟練のマエストロと充実著しい今のN響(同曲は各楽器の名人芸も楽しみだ)が再び紡ぐ稀代の名品…。それはもう歴史的瞬間と言っても過言ではない。ウインドクインテット・ソノリテ曲」「15の即興曲」の抜粋などに加えて、フィナーレの六重奏曲は、木管楽器を愛したプーランクならではの名作中の名作。かつてロジェがフランスの盟友たちと残した録音も稀代の名盤として名高い。「日本の奏者たちとの共演が楽しみ」というロジェ。ぜひともお聴き逃しなく!写真提供:NHK交響楽団文:柴田克彦文:伊藤制子

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