49 コロナ禍を乗り越えようと、クラシック音楽界が団結して発足したプロジェクトである「クラシック・キャラバン」。2021年にスタートし、今年で3年目となる。すでに8月21日にあきた芸術劇場ミルハスで最初の公演が行われ、9月、10月も各地で絶賛継続中。2024年1月の新潟公演まで、全国で様々な形でのコンサートが開催される。2023年3代目のプロジェクト・アンバサダーは春風亭小朝である。 基本的にそれぞれの会場で違ったアーティストと司会者が登場し、大ホールでの「華麗なるガラ・コンサート」と中規模ホールでの「煌めくガラ・コンサート」の2つのラインナップがあり、内容がそれぞれ異なっている。ラクダの隊商についていきたがる子どものように、すべてのキャラバン公演を聴いてみたいところだが、時間が許さないのが残念。今秋のコンサートの中からいくつかの公演を紹介したい。 まず10月9日に大阪のザ・シンフォニーホールで開催される「華麗なるガラ・コンサート」には、飯森範親指揮のスーパー・クラシック・オーケストラが登場。ピアノの松田華音がグリーグのピアノ協奏曲を、ヴァイオリンの南紫音がメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を、冨田一樹の独奏でサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」を演奏する。そしてコンサートの最初には大栗裕作曲の「大阪俗謡による幻想左より:飯森範親 ©山岸 伸/松田華音 ©Ayako Yamamoto/南 紫音 ©Kei Uesugi/冨田一樹/若林 顕 ©Burkhard Scheibe/長谷川陽子 ©武藤 章左より:田部京子 ©Akira Muto/谷口睦美/米元響子 ©Hirotada Onaka/佐藤晴真 ©Seiichi Saito/岡田 将 ©Yoshiko Muneishi/米良美一曲」が置かれる。華やかなふたりの女性アーティストのソロに加え、飯森の指揮する特別編成のオーケストラと、普段のオーケストラ・コンサートとはひと味違った構成だ。司会は堀江政生(朝日放送テレビアナウンサー)が担当する。 その大阪公演の少し前、9月23日には奈良・秋篠音楽堂で「ピアノの祭典」が開催され、若林顕をはじめ7人のピアニストが独奏、連弾、2台ピアノで共演する。同じ日には高知市文化プラザかるぽーとを会場とし、日本を代表する作曲家である池辺晋一郎が司会を担当、小林美恵(ヴァイオリン)、長谷川陽子(チェロ)、田部京子(ピアノ)、谷口睦美(メゾソプラノ)といった多彩な顔ぶれによるクラシックの名曲を連ねたコンサートも行われる。ベートーヴェンの「月光」ソナタとドビュッシーの「月の光」が並ぶのも、名月の季節にふさわしい。 10月15日には山形県に。シェルターなんようホールにて「美と音楽の饗宴」と題したコンサートが開催される。こ《華麗なるガラ・コンサート》10/9(月・祝)15:00 大阪/ザ・シンフォニーホール問 ザ・シンフォニー チケットセンター06-6453-2333《煌めくガラ・コンサート》9/23(土・祝)15:00 奈良/秋篠音楽堂 問 アスペン03-5467-00819/23(土・祝)14:00 高知市文化プラザかるぽーと 問 光藍社チケットセンター050-3776-618410/15(日)14:00 山形/シェルターなんようホール 問 オフィス・フォルテ03-6220-336710/15(日)14:00 富山県民会館 問 富山テレビ放送 事業部076-492-7106https://www.classic-caravan.com ※詳細は左記ウェブサイトでご確認ください。こでは、米元響子、滝千春、南紫音、荒井優利奈、寺下真理子ら気鋭の女性ヴァイオリニスト、そしてチェロの佐藤晴真、クラリネットの赤坂達三、ピアノの岡田将、山縣美季、チェンバロの冨田一樹、ギターの閑喜弦介という豪華メンバーに、カウンターテナーの米良美一が司会も務めるという、まさに「饗宴」となる。演奏曲目は、武満徹の〈つばさ〉〈うたうだけ〉(米良と閑喜)、サン=サーンスの「白鳥」(佐藤と岡田)、エルガーの「愛の挨拶」(寺下、佐藤、岡田)、さらにはヴィヴァルディの「四季」をそれぞれの季節ごとに違うヴァイオリニストがソロを取り、冨田、閑喜も加わった上で、STYA アンサンブルがこの豪華共演を支えるというコンサートである。 他にも、同日の富山県民会館の公演では、世界の名曲と美しい映像を組み合わせる試みも。お住まいの場所の近くまでキャラバンがやってきた時は、ぜひ、コンサートに足を運んでいただきたい。文:片桐卓也クラシック・キャラバン2023クラシック音楽が世界をつなぐ 〜輝く未来に向けて〜百花繚乱! 多彩な顔ぶれが並ぶ9月&10月公演の聴きどころ
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