eぶらあぼ 2023.10月号
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第157回 東京オペラシティ定期シリーズ10/18(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール第990回 サントリー定期シリーズ10/19(木)19:00 サントリーホール 第991回 オーチャード定期演奏会10/22(日)15:00 Bunkamura オーチャードホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 https://www.tpo.or.jp11/13(月)19:00 浜離宮朝日ホール問 朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990 https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/46ヴァイオリン協奏曲第3番、そしてベルリオーズの幻想交響曲が演奏される。颯爽としたテンポ設定と、内声部の動きをクローズアップする彼女のスタイルは、このベルリオーズの代表作でより輝くに違いない。 ヴァイオリン協奏曲のソリストは中野りな。史上最年少となる17歳で、2022年仙台国際音楽コンクール第1位を獲得したばかりら、刺激的かつ壮大なスケールで圧倒してくれることは、想像に難くない。それも、「幻想的小品集」op.3より〈鐘〉というマスターピースにはじまり、「10の前奏曲」op.23や「13の前奏曲」op.32、練習曲集「音の絵」op.33、op.39などから小品を組み合わせた、趣向をこらしたプログラム。このセレクト、曲順で聴くからこそのラフマニノフの音のマジックを味わわせてくれるだろう。 シェルバコフのパンチのある音の魅力を存分に体験するなら、やはり良クロエ・デュフレーヌ ©Capucine de Chocqueuseの俊英だ。熟達した作風で知られる協奏曲を若いソリストと指揮者がどう作り上げていくのかも楽しみだ。いホールで生音を聴くのが一番。今回の来日公演も、ぜひ足を運んでおきたい。文:鈴木淳史文:高坂はる香©Jen-Pin中野りな ©kisekimichikoクロエ・デュフレーヌ(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団フランスの誇る注目の指揮者が満を持して日本デビュー 東京五輪の閉会式で、次に開催されるパリ五輪を紹介する映像が流れた。そこではフランス国立管弦楽団が「ラ・マルセイエーズ」をスタイリッシュに奏でていた。そのときの指揮者がクロエ・デュフレーヌだ。2021年にブザンソン国際指揮者コンクールで最高位に輝いたフランスの誇る若手。ヘルシンキのシベリウス・アカデミーに留学し、多くの名指揮者を輩出しているヨルマ・パヌラのもとで学んだ経験をもつ。2022/23シーズンはグスターボ・ドゥダメルのアシスタントを務め、現在はさらに活躍の場を広げている。 そのデュフレーヌが初めて来日し、東京フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会に登場する。プログラムはオール・フランス音楽だ。1曲目は、生誕130年を迎えるリリ・ブーランジェの「春の朝に」。24歳で早世した女性作曲家が死の間際に書いた色彩感あふれる小品を指揮して、日本での最初の一歩を踏み出す。続いて、サン=サーンスのコンスタンチン・シェルバコフ ピアノリサイタル〜The Best of Rachmaninoff〜親密な空間で感じるロシア・ピアニズムの系譜 ロシア生まれの名ピアニスト、コンスタンチン・シェルバコフ。モスクワ音楽院でレフ・ナウモフに学んだロシアン・ピアニズムの継承者で、長らく教鞭をとるチューリヒ芸術大学の門下からは、2010年ショパン・コンクールの優勝者、ユリアンナ・アヴデーエワを輩出している。今年60歳を迎え、音楽がますます円熟している頃だ。 そんなシェルバコフが今回取り上げるのは、オール・ラフマニノフ・プログラム。第1回ラフマニノフ・コンクールの覇者でもある彼のラフマニノフは、若き日に生前のリヒテルから高く評価されたことも知られている。作曲家の生誕150年に、そんな得意のレパートリーを披露してくれる形だ。 強靭かつしなやかなタッチ、スパイスの効いた和音の味を際立たせる特別な音楽づくりが印象的なピアニスト。そんな彼がラフマニノフを弾いた

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