第754回 東京定期演奏会 10/13(金)19:00、10/14(土)14:00 サントリーホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 https://japanphil.or.jp10/31(火)19:00 王子ホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp43ンペット奏者のオッタビアーノ・クリストーフォリは「マーラーはすべての指示を楽譜に書いている。指揮者は料理人の勘ではなく、グラムや温度まで精密に計るケーキ職人のようでなければならない。その点、カーチュン・ウォンは最高だ」と語る。 第1楽章冒頭の8本のホルンによる斉奏、第3楽章のポストホルン、第4楽章のメゾソプラノ・山下牧子が歌うニーチェ『ツァラトゥストラはかく語りき』の一節、児童合唱で始まる第5楽章、二組のティンパニが大団円を築く感動的な第6楽章など、聴きどころも満載。記憶に残る演奏会になることだろう。カーチュン・ウォン ©Angie Kremer文:岸 純信(オペラ研究家)©FUKAYA Yoshinobu auraY2文:長谷川京介カーチュン・ウォン(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団若き新首席が最愛のマーラー3番で第一歩を踏み出す! 2021年3月の初共演が大成功となり、日本フィルと深い信頼を築いたカーチュン・ウォンは、首席客演指揮者を経て、この9月にいよいよ首席指揮者に就任する。就任披露は、マーラー作品の中でも第8番に次ぐ大きな規模の交響曲第3番。カーチュンが2016年グスタフ・マーラー国際指揮者コンクールで優勝した際の課題曲であり、最も愛する曲のひとつでもある。 カーチュンは作品について「6つの楽章で構成され、第1楽章は世界の創生、第2楽章は木や花の音楽、第3楽章が動物、第4楽章は人間、第5楽章が天使、第6楽章は愛。人間のステージをすべて上書きするような形で音楽が膨らんでゆくところがとても好きです」と説明する。 日本フィルでは、これまでマーラーの交響曲第4番と第5番を指揮したが、作曲もするカーチュンの徹底した楽曲分析による、スコアの裏の裏まで見通す明晰さが驚異的だった。ソロ・トラ森谷真理 ソプラノ・リサイタル Vol.2Spirits of Language 〜言葉に宿るもの〜歌姫が導く、テクストから広がる歌曲の世界 ソプラノ森谷真理は日本オペラ界の田武彦と聞いて納得。いトップランナー。舞台上でも舞台裏でま最も先進的な二人の顔も朗らかに振舞いながら、彼女は日々、合わせであるからだ。シマベストを尽くしてきた。ただ、その一方ノフスキのポーランド語歌で、この数年間の森谷は「現状維持だ曲集「スウォピェヴニェ」ではけでなく、よりいっそう歌を磨く」べく、“哀感と弾けた感”の交錯自問自答を繰り返したよう。結果、たぶりが面白く、ラヴェル「2つのヘブライの歌」では中どり着いたのが、「いろんな言語の曲に近東風の旋律美と森谷のトライしよう」という挑戦心である。新くぐもった声音の相性の良しい言葉から「新しい音色」を会得したさが楽しめる。そして、生いと考えたのだろう。少し前、ドヴォル誕130年の女性作曲家リリ・ザークの歌劇《ルサルカ》に主演した辺ブーランジェの「空の広がりから、その意識が強まったよう。「歌り」では、軽やかな仏語との世界で一番難しい」と噂されるチェゆったりとしたメロディの対コ語に必死に取り組み、言語指導者か照の妙が味わえる。“未知らも賞賛されたのだから。それが彼女の世界に触れたい”人々をの大いなる糧になったはずである。 この10月、森谷が開くリサイタルの惹き付ける、この秋一番の選曲を眺めて、筆者は思わず目を見注目の演奏会である。張った。「パリやロンドンでのコンサートみたい」と思うほど、それは挑戦的なプログラム。でも、ピアニストが山
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