1月の見もの・聴きもの■■■■■■〔Ⅰ〕オーストリアウィーン国立歌劇場1月1、3、6日 J.シュトラウスⅡ:こうもり 指/S.ヤング、演出/O.シェンク、出/J.M.クレンツレ、C.ニールンド、W.バンクル、P.ノルツ、尼子広志、M.ヘスラー◎1月7、10、12、15日 プッチーニ:西部の娘指/S.ヤング、演出/M.A.マレッリ、出/M.ビストレム、C.アルバレス1月13、16、19、22日 ヴェルディ:シチリア島の夕べの祈り 指/C.リッツィ、演出/H.ヴェルニケ1月14、17、20日 モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ 指/P.ジョルダン、演出/B.コスキー◎1月21、24、27日 A.ライマン:メデア 指/M.ボーダー、演出/M.A.マレッリ◎1月28、31日 プーランク:カルメル派修道女の対話 指/B.ド・ビリー、演出/M.フックスベルガー1月29日 ビゼー:カルメン 指/A.ソディ、演出/C.ビエイトウィーン・フォルクスオーパー1月1(19:00)、20(19:00)日 J.シュトラウスⅡ:こうもり 演出/R.ヘルツル◎1月2(19:00)日 プッチーニ:ラ・ボエーム演出/H.クプファー◎1月3(19:00)、6(17:00)日 フンパーディンク:ヘンゼルとグレーテル 演出/K.デンヒ◎1月5(19:00)、8(19:00)、10(19:00)、14(18:00)、17(19:00)、21(16:30)、25(19:00)日 世界を忘れよう―フォルクスオーパー1938年(Lass uns die Welt vergessen - Volksoper 1938)(J.ベネシュの「ヴァッハウからの挨拶とキス」(1938年にフォルクスオーパーで上演予定だったオペレッタ。ナチス侵攻により公演中止)の残存資料からK.カガルリツキーがスコアを再構築)[23年12月プレミ 世界の指揮者界では女性の台頭が著しい。1月の公演にも数多くの女性指揮者が登場するが、その中から、特にヨアナ・マルヴィッツ、マリー・ジャコー、ギエドレ・シュレキーテ、オクサーナ・リーニフといったまだまだ若手の旬の女性指揮者陣に注目したい。 まず、ドイツ人のマルヴィッツは、昨年もベルリン、ロンドン、パリなどのメジャー・オペラに登場しているが、2023年からベルリン・コンツェルトハウス管の首席指揮者となってますます注目を浴びている。それに加えて1月には、ザルツブルク・モーツァルト週間で、ついにウィーン・フィルの指揮台にも登壇。この演奏会はピアノ独奏をレヴィットが担当する注目の演奏会でもある。ジャコーはフランス人。現在、デンマーク王立オペラの首席指揮者、ウィーン響の首席客演指揮者として活躍中。1月もウィーン響でユッセン兄弟のピアノ・デュオとの興味深い共演がある。ちなみに彼女は来年3月に来日して読響に客演する。同じく読響にこの9月に客演するのはリトアニア出身のシュレキーテ。一昨年、二期会の「魔笛」で快演を演じ、一躍日本でも注目を浴びた。1月はチューリヒ歌劇場でマスネ「ウェルテル」を振る。ウクライナ人指揮者のリーニフは、バイロイト音楽祭に始めて登場した女性指揮者としてすっかり有名に158なったが、2022年からボローニャ歌劇場の音楽監督に就任し、この11月には同歌劇場を率いて来日公演も行う(プッチーニ「トスカ」)。これにより、日本でもその名が周知されることは間違いない。ちなみに1月は同歌劇場で同じプッチーニの「マノン・レスコー」を振る。 さて女性指揮者を離れ、2人の老匠指揮者の話題。ズービン・メータはミュンヘン・フィル、ヘルベルト・ブロムシュテットはバイエルン放送響で共にブラームス交響曲4曲ツィクルスを敢行。同じミュンヘンでまあ贅沢なことだ。バイエルン放送響といえば、今シーズンから首席指揮者となったサイモン・ラトルは、同オケでエルガー「エニグマ変奏曲」やマーラー「巨人」なども振るが、1月に限っては前手兵オケであるロンドン響でグリゴリアンを主役に演奏するヤナーチェク「イェヌーファ」の演奏会形式上演に、より惹かれるものがある。 ところでベルリン・フィルでは、ペトレンコがバルトーク「かかし王子」、シェーンベルク「ヤコブの梯子」といった玄人好みの難曲に挑む。ベルリンでは、ちょうど1月には現代音楽祭「ウルトラシャル」が開催され、ベルリン・ドイツ響やベルリン放送響が参加するので、1月のベルリンの気分はまさに「ノイエ・ムジーク(現代音楽)」。ベルリン・ドイツ・オペラでプエ] 演出/T.ボアマンス1月7(16:30)、13(19:00)、18(19:00)、23(18:30)、28(16:30)日 モーツァルト:魔笛演出/H.メイソン1月26(19:00)、27(19:00)、30(19:00)日バーンスタイン:ウェスト・サイド・ストーリー(ミュージカル) 演出/L.デ・ベールウィーン・フォルクスオーパー管[会場:ウィーン・フォルクスオーパー(ウィーン)]◎1月16(19:30)日 O.M.ウェルバー指揮ワーグナー:ワルキューレ〜第1幕 出/S.チェルニー、J.ハバード、C.リボールアン・デア・ウィーン劇場[会場:ミュージアム・クォーター・ホールE(ウィーン)]〔注〕アン・デア・ウィーン劇場は改修工事中です(2024/25シーズンに再開場予定)。それまで MuseumsQuartier・Halle E(Museumsplatz 1,1070 Wien)を代替会場として公演が行われます。◎1月17(19:00)、19(19:00)、21(15:00)、23(19:00)、26(19:00)、28(15:00)、30(19:00)日 バーンスタイン:キャンディード(スコットランド・オペラ版) 指/M.オルソップ、演出/L.シュタイアー、演奏/ウィーン放送響◎1月25(19:00)日 ヘンデル:アチ、ガラテアとポリフェーモ(演奏会形式) 指/R.ヤーコプス、出/K.カスパー、S.ハルムセン、A.マストローニ、演奏/バーゼル室内管ウィーン・フィル[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(SZG)=祝祭大劇場(ザルツブルク)]◎1月1(11:15)日 C.ティーレマン指揮(ニューレミエとなるジョージ・ベンジャミンの「リトゥン・オン・スキン」やベルリン州立歌劇場でのドビュッシーとミュライユのリンケージ作品などももこの流れの一環か…。 1月の恒例音楽祭「ザルツブルク・モーツァルト週間」。今回は、サヴァール指揮のモーツァルト「皇帝ティートの慈悲」(セミ・ステージ形式)を最大の目玉として、他にもファウストのヴァイオリンやタメスティのヴィオラらによる室内楽、ホルンのバボラーク・アンサンブル、ルルーのオーボエとパユのフルートによるサリエリの二重協奏曲、そしてマルヴィッツやシャニの振るウィーン・フィルなど、なかなか賑やかな顔ぶれだ。ニューイヤー・コンサート系では、ティーレマン指揮のウィーン・フィルはもちろんのこと、ミンコフスキ指揮のNDRエルプフィル、マルヴィッツ指揮のベルリン・コンツェルトハウス管、フルシャ指揮のチェコ・フィル、大野和士指揮のブリュッセル・フィルなどいかにも楽しそう。ワーグナー系として見落とせないのは、ドレスデンの「トリスタン」(ティーレマン指揮)やモネ劇場の「ワルキューレ」(カステルッチ演出)。他には、英国ロイヤル・オペラのR.シュトラウス「エレクトラ」、オランダ国立オペラのヘンデル「アグリッピーナ」なども要注目。(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演イヤー・コンサート) J.シュトラウス・ファミリー他の作品1月11(11:00)(公開リハーサル)、11(19:30)、12(19:30)、13(15:30)、14(11:00)、15(19:30)(KH)、日 P.ジョルダン指揮 メンデルスゾーン:静かな海と楽しい航海(序曲)、ショーソン:愛と海の詩、ブリテン:ピーター・グライムズ〜4つの海の間奏曲、ドビュッシー:海 独/N.カーS1月18(22:00)日 〔第81回ウィーン・フィル舞踏会〕◎1月27(19:30)(SZG)、31(19:00)(SZG)日J.マルヴィッツ(27日)/L.シャニ(31日)指揮 → 〔ザルツブルク・モーツァルト週間〕参照ウィーン響[会場:(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(MV)=ムジークフェライン(ウィーン)、(GRZ)=シュテファニーエンザール(グラーツ)、(SZG)=祝祭大劇場(ザルツブルク)、(BB)=祝祭劇場(バーデン=バーデン)]1月1(19:00)(KH)日 O.M.ウェルバー指揮ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付」独/M.エリクスモーンS、W.ジュンタMs、M.シャーデT、F=J.ゼーリヒBs◎1月12(19:00)(KH)、14(11:00)(KH)日M.ジャコー指揮 ラヴェル:高雅にして感傷的なワルツ、プーランク:2台のピアノのための協奏曲、リャードフ:魔法にかけられた湖(12日)/コルンゴルト:シンフォニエッタ(14日) 独/ユッセン兄弟、司会/B.レット(14日)◎1月14(16:00)(KH)、15(19:30)(GRZ)、16(19:30)(GRZ)、17(19:00)(SZG)、18(19:00)(SZG)日 M.ジャコー指揮 リャードフ:魔法にかけられた湖(14日は除く)、メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲、コルンゴルト:シンフォニエッタ(14日は除く) 独/D.カルヴァイvn、司会/L.ゲン(14日のみ)◎1月19(19:00)(SZG)、21(18:00)(BB)日M.ジャコー指揮 チャイコフスキー:ヴァイオ曽雌裕一 編2024年1月の
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