CDCDCDCDJ.S.バッハ:パルティータ第2番、ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ第1番〜第3番/コレット:フェニックス―4つのバス楽器のための協奏曲/シューベルト:アルペジオーネとピアノのためのソナタ、アヴェ・マリア D839 他蓼科カルテット【小川慧巳 島岡幾代/北川陽子 野村和代 竹内文香(以上バスーン)】中川良平(音楽監督/編曲)植松さやか(ピアノ/キーボード) 他コジマ録音ALCD-9249〜51(3枚組) ¥4840(税込) J.S.バッハ:トッカータ BWV910〜BWV916近藤伸子(ピアノ)144コダーイ/無伴奏チェロ・ソナタ&ショパン/チェロ・ソナタ/水野優也&反田恭平蓼科Quartet(4Bns.)―2020/蓼科カルテットフォー・クララ:シューマン&ブラームス作品集/エレーヌ・グリモーコダーイの冒頭から、確信が伝わり、風格さえ感じさせる。俊英チェリスト水野優也のデビューアルバムには、日本音楽コンクール優勝からの成長が刻まれている。巨匠ペレーニのもとでコダーイの真髄を学んだその音からは土の香りが漂い、解釈も堂に入っている。水野が愛する作品というショパンのソナタでは、温かい音色で穏やかな歌を聴かせる。反田恭平も自身初録音となる「ショパンの室内楽」を慈しむように楽しみ、ソナタは冒頭からやはり深い確信にあふれ、時に輝きを見せつつ、弱音主体で美感を湛えた詩情が光る。なにより二人が共に歌い、高みを目指す様が心に残る。(林 昌英)バスーン奏者・中川良平が蓼科の山荘で、弟子たちと長年夏合宿のような交流を続け、生まれたバスーン四重奏が蓼科カルテットだ。音楽監督の中川の編曲作品をレパートリーとし、海外でも高評価を得て、3枚組のCDも出した。これはその続編。今回は四重奏だけでなく、ピアニスト植松さやかが加わっての三重奏、五重奏もある。中核メンバーの小川慧巳と野村和代とのトリオによるバッハ編曲は、素晴らしい。特に無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番は秀逸。中でもシャコンヌは、傑作に相応しい濃い味わいで、感銘深い。ガンバ・ソナタからも内省の声が聴こえ、生命力が躍動する。名曲集もいい。(横原千史)凛とした存在感、透明感のある音色と多彩な表現力を活かした演奏により力強い存在を放つピアニストのエレーヌ・グリモー。創意に富んだプログラミングも魅力的な彼女が今回挑んだのは、シューマンの「クライスレリアーナ」とブラームスの3つの間奏曲、そして歌曲集。深いつながりのある作曲家を並べたというだけでなく、彼らが愛した女性であるクララが浮かび上がってくるプログラムになっている。グリモーは音色、音量のコントラスト、繊細なルバートを活かして楽曲の構造、ドラマ性を鮮やかに表現。歌曲で共演するコンスタンティン・クリンメルの歌唱も声色、表現の幅が広く魅力的だ。(長井進之介)現代ものとともにバッハを得意とする近藤伸子。最近では「フーガの技法」、「音楽の捧げ物」とバッハ最晩年の作品を立て続けに録音している。「7つのトッカータ」はバッハの若い頃に作曲されたと考えられている作品であるが、即興性の強い序奏部や間奏部とフーガの交替は時に冗長になりがちで、晩年の厳格な作品とは違う意味で難しい。近藤の演奏は何気ないモティーフの繰り返しも注意深く処理する一方、フーガの主題の提示は冷静でさりげないが、音楽の構造は常に透徹しており、集中力が途切れることがない。どの作品にも高い完成度が感じられるのは演奏の勝利であろう。待望の再発売盤。(大津 聡)コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ/ショパン:序奏と華麗なるポロネーズ、チェロ・ソナタ水野優也(チェロ)反田恭平(ピアノ)NOVA RecordNR-02302 ¥3300(税込)シューマン:クライスレリアーナ/ブラームス:3つの間奏曲、9つの歌と歌曲エレーヌ・グリモー(ピアノ)コンスタンティン・クリンメル(バリトン)ユニバーサル ミュージックUCCG-45083 ¥3080(税込)ナミ・レコードWWCC-7987 ¥2750(税込)J.S.バッハ:トッカータ 全7曲/近藤伸子
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