eぶらあぼ 2023.9月号
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第312回 定期演奏会 10/21(土)19:00、10/22(日)15:00 山形テルサホール問 山響チケットサービス023-616-6607 https://www.yamakyo.or.jp71改訂版初演も楽しみだが、もうひとつの目玉となりそうなのが人気作曲家・藤倉大の「Yuri(ゆり)」だ。今回は弦楽四重奏が加わったアンサンブル版だが、もともとこの曲は(一般的な箏よりも弦の数が多い)二十五絃箏の独奏曲で、木村麻耶のために作曲されたもの。モダン9/11(月)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 キーノート0422-44-1165 https://www.ensemble-nomad.com小林研一郎 ©山本倫子た。スロヴァキアは1993年までチェコと連合で共和国を組んでいたが、後半のメインにはチェコ側(ボヘミア地方)を代表する作曲家、ドヴォルザークの交響曲第8番を配した。いずれも民族情緒豊かな名曲であり、コバケンの歌心が冴えに冴えるはずだ。 コバケンが東からヨーロッパを描くな反復フレーズから始まる文句なしに格好良い曲なのだが、作曲途中で木村が希望したことから箏奏者が歌い出す作品に仕上がっている(だから「プシュケー・息」というテーマに合致!)。和と洋、異なる息づかいの聴き比べは刺激的な一夜となるに違いない。瀬㟢明日香 ©Studio MaaRのに対し、瀬㟢はスペインのサラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」、フランスのサン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」と南ヨーロッパ、ラテン文化圏の作品に集中する。両者は「仲間たち」オケでもこの2曲をしばしば演奏しており、単に「息の合った」以上に白熱した音楽を披露するに違いない。文:小室敬幸文:池田卓夫©Maki Takagiアンサンブル・ノマド 第79回定期演奏会 プシュケー・息 vol.2 ポエティカ逍遥時空を超えて呼応し合う響き 昨年結成25周年を迎えたアンサンブル・ノマドは現代音楽を取り上げることの多い団体だが、遊牧や漂流を意味する「NOMAD」と銘を打っているように実際の選曲は非常に多種多様だ。 今年度の定期演奏会は「プシュケー・息」をテーマに掲げ、第2回となる9月公演はソプラノとテオルボのデュオ・Vox Poeticaをゲストに迎える。3年前にはベテランの波多野睦美と似た企画を行っているが、今度は古楽のスペシャリストとして世界の檜舞台で活躍する実力を持つ若手ソプラノ・佐藤裕希恵との共演だけに、新たな化学反応が起きそうだ。 曲目はダウランド、オケゲム(バートウィッスル編曲!?)、ヘンデル、モンテヴェルディといった古楽の声楽曲に加え、ルネサンスを意識したロドリーゴの歌曲も。タイトルもしくは楽器編成で何かしら古楽を志向している松本真結子、星谷丈生、田中翔一朗の世界初演・小林研一郎(指揮) 山形交響楽団磐石の指揮者&ソリストコンビが、秋の山形を彩る 10月21日&22日、山形テルサホールの山形交響楽団 第312回定期演奏会は、客演指揮者に1940年生まれのベテラン小林研一郎(愛称:コバケン)、ヴァイオリンのソリストに、今年デビュー30周年のリサイタルを行う瀬㟢明日香を迎える。80代に入った小林は特定の音楽監督ポストやエージェントに縛られることなく、自分の納得がいく音楽を以前より淡々と奏でるようになった。中でもプロとアマチュア、ハンディキャップを持つ人々が一体の「コバケンとその仲間たちオーケストラ」(2005年結成)を通じた社会貢献は他に例のないユニークな活動で、瀬㟢はコンサートマスターの重責を担ってきた。 10月の山響定期は、小林が長く活動の拠点としてきたハンガリーの作曲家、コダーイの「ガランタ舞曲」で幕を開ける。コダーイは現在スロヴァキア領のガランタ地方で幼少期を過ごし

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