eぶらあぼ 2023.9月号
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第149回 アンサンブル of トウキョウ定期演奏会ダブルリードの名手による華麗なるコンチェルト 1年に4回開催される定期演奏会のうち、1回をオーケストラ編成のプログラムにあててきたアンサンブル of トウキョウ。紀尾井ホールを舞台とする10月27日の第149回演奏会では、指揮者なしで4つの作品を取り上げる。 まず目をひくのが、ダブルリード楽器が主役となる2つの協奏曲だ。元・NHK交響楽団首席奏者の青山聖樹が、長年の研究対象としてきた(2020年に音楽之友社から出版されたスコアにも解説を寄せている)リヒャルト・シュトラウスのオーボエ協奏曲を吹くとなれば、心して耳を傾けたい。そしてウェーバーのファゴット協奏曲で妙技を披露するのは、サイトウ・キネン・オーケストラや水戸室内管弦楽団への客演でもおなじみ、今やヨーロッパの管楽器界でも重鎮の域に達したダーク・イェンセン。 青山とイェンセンがハイドンの協奏交響曲で共演を果たすとなれば、これまた聴き逃せない。共に愛用するの第27回 二期会 ディーヴァ, ディーヴォ大舞台に羽ばたいていく新星たちの今を聴く Hakuju Hall主催の「二期会 ディーヴァ, ディーヴォ」は、日本最大のオペラ団体・二期会のオペラ研修所を優秀な成績で修了した歌手たちによるデビュー・コンサートとして、2013年に第1回が開催された。以来10年、ここからスタートした歌手たちの多くが、現在、オペラの舞台で華々しい活躍を繰り広げている。第27回を迎える今回は、ソプラノの舘野真由花と田中沙友里、バリトンの室岡大輝がそのデビューを飾る。 舘野は修了公演でヴェルディ《群盗》第3幕のアマーリアとカルロの二重唱を歌った。幅のあるドラマティックな歌声が印象的だったが、すでにいくつかのオペラ公演にも出演している。今回は《ランメルモールのルチア》と《マノン》のアリアという細やかな歌唱技術の必要な2曲を歌う。 田中と室岡が修了公演で歌ったのは《シモン・ボッカネグラ》第1幕のアメー10/27(金)19:00 紀尾井ホール問 アンサンブル of トウキョウ事務局045-595-0223 https://www.ensembleoftokyo.com11/2(木)14:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 https://hakujuhall.jp68リアとシモンの二重唱。生き別れになった父娘が再会する感動的なシーンで複雑な心の動きが要求されるが、ふたりとも新人らしからぬ安定した歌唱を披露した。今回、田中が歌うのは《ラ・ボエーム》のミミのアリアと《道化師》のネッダの〈鳥の歌〉というリリコの王道の2曲。室岡は《ドン・カルロ》からロ舘野真由花青山聖樹はドイツの工房GEBR.メーニッヒの銘器。親和性に富むサウンドによる麗しい音楽的対話が繰り広げられることだろう。同じハイドンでヴァイオリンの玉井菜採、チェロの河野文昭が独奏陣に加わるのも盤石のキャスティングだ。さらには玉井と、ヴァイオリンの戸ダーク・イェンセン原直、ヴィオラの大野かおる、コントラバスの渡邉玲雄が独奏楽器グループをなすモーツァルトの「セレナータ・ノットゥルナ」が、一夜の演目に彩りを添える。メンバー各人がソロイストの技量を持つ団体でこそ可能な、密度の濃いステージである。田中沙友里文:木幡一誠文:室田尚子室岡大輝ドリーゴの死の場面というバリトン屈指のレパートリーに挑戦する。 この「二期会 ディーヴァ, ディーヴォ」に出演した数多の先輩たちのように、この3人も数年のうちに東京二期会オペラの舞台に登場するのではないだろうか。まさに「新星」誕生の瞬間をぜひ目撃してほしい。

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