eぶらあぼ 2023.9月号
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11/5(日)16:00 埼玉会館問 SAFチケットセンター0570-064-939 https://www.saf.or.jp10/8(日)16:00 めぐろパーシモンホール問 めぐろパーシモンホールチケットセンター03-5701-2904 https://www.persimmon.or.jp67てくれるだろう。 N響の埼玉公演は、協奏曲のソリストが豪華なことでも知られている。今年はヴァイオリニストの戸澤采紀。日本音楽コンクールで史上最年少優勝に輝いた期待の若手だ。N響との初共演では、シベリウスのヴァイオリン協やウルグアイの名曲だけでなく、20世紀前半のヨーロッパ製タンゴが、よくあるイージー・リスニング風の安易な演奏ではなく、リズムやアンサンブルの考え抜かれた高度な編曲で生まれ変わる様子が体験できる絶好の機会だ。 メンバーも豪華で、もう一人のバン戸澤采紀 ©松尾淳一郎梅田俊明 ©K.Miura小松亮太 ©Yusuke Takamuraタンゴ・アンサンブル ©木村雅章ドネオンに幅広く活躍中の北村聡、小松楽団には欠かせないヴァイオリンの近藤久美子のほか、ヴィオラの吉田有紀子、チェロの松本卓以あたりはクラシック界でもお馴染みだし、鍵盤打楽器の小林照未もアンサンブルに色を添えてくれるだろう。NHK交響楽団奏曲を奏でる。彼女がさまざまなコンクールの本選で取り上げてきた、いわゆる勝負曲だ。輪郭のはっきりしたフレージング、そして抒情性豊かな演奏をしてきた戸澤。ドイツで研鑽を積んだことで、さらに深みの増したシベリウスを聴かせてくれるはずだ。文:鈴木淳史文:斎藤充正NHK交響楽団 梅田俊明(指揮) 戸澤采紀(ヴァイオリン)日本音コン最年少覇者が勝負曲で初共演に挑む 大正年間に公共ホールの先駆けとして誕生した埼玉会館。1966年に前川國男による設計でホールが建て直され、彩の国さいたま芸術劇場がオープンするまでは、埼玉県の文化芸術の中心を担っていた。もちろん、埼玉在住のクラシック・ファンにとっても特別な場所だ。浦和レッズが埼玉スタジアムでほとんどの試合をするようになってからも、サポーターにとって駒場スタジアムが聖地であり続けているように。 その埼玉会館に、今年もNHK交響楽団がやって来る。近年はクオクマン、井上道義、下野竜也、川瀬賢太郎、尾高忠明、リープライヒが指揮台に立ったが、今年は梅田俊明が登場。練達した職人技が光る、いぶし銀の指揮者だ。コンサートのメインとなるチャイコフスキーの交響曲第5番では、その安定した運びから劇的な感興を呼び起こし小松亮太 タンゴ・アンサンブル〜アルゼンチン・タンゴとヨーロピアン・タンゴの饗宴〜信頼する仲間たちとおくる珠玉のスタンダード・ナンバー 今年メジャー・デビュー25周年を迎えたバンドネオン奏者の小松亮太。タンゴという“マイナーな”音楽を正しく理解してもらうべく、幅広い時代や系統のタンゴを、ジャンルを超えた第一級のミュージシャンたちと、最高の編曲と演奏で紹介してきた。タンゴの代名詞ともなったアストル・ピアソラの作品から、知られざる部分を積極的に取り上げ、さらに世間的にはピアソラの陰に隠れながら優れたタンゴを作り上げてきた人たちの存在をも浮かび上がらせることに力を注いできた小松は、デビュー10周年を過ぎ、それまで封印してきたタンゴ史を飾るスタンダードの数々に改めて挑戦した。 表現の“質”に徹底的にこだわったその成果は2009年のアルバム『碧空~昭和タンゴ・プレイバック』と翌年の『小さな喫茶店~東京タンゴ・カフェ』にみられたが、今回のステージではその世界が久々に再現される。アルゼンチン

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