62ホルンの室内楽Ⅲ バボラーク・アンサンブル日本でもおなじみの世界的スターが自身の編曲で描くホルンの音世界文:池田卓夫 世界のホルン奏者、ラデク・バボラークの企画する「ホルンの室内楽」が11月25日、東京・晴海の第一生命ホールに戻ってくる。2016、18年に続き5年ぶり3度目となる今回は、長野県のセイジ・オザワ 松本フェスティバルのサイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)、茨城県の水戸室内管弦楽団などで長年、バボラークの“同僚”を務めるハープのヴィルトゥオーゾ、吉野直子の参加が目を引く。 バボラーク・アンサンブルのメンバーはミラン・アル=アシャブ、マルティナ・バチョヴァー(以上ヴァイオリン)、カレル・ウンターミューラー(ヴィオラ)、ハナ・バボラコヴァ(チェロ)の母国チェコの音楽家中心。ベートーヴェンとブラームス(第2番)の弦楽五重奏曲などで、バボラークは「特定のパートをホルンに代えるのではなく、すべてのパートを振り分けて編曲し直した」という。吉野はバボラーク編のマーラー交響曲第5番の「アダージェット」のほか、ブロウセック編のヴォルフ「イタリアン・セレナーデ」にも加わる。 吉野とバボラークのマーラーといえば、昨年11月に松本市と長野市で行われたフェスティバル30周年のSKO特別演奏会、アンドリス・ネルソンス指揮の交響曲第9番の神がかり的名演奏を10/28(土)14:00 神奈川県立音楽堂問 オフィス山根 contact@officeyamane.net https://officeyamane.net他公演 10/29(日) 京都/青山音楽記念館 バロックザール(完売) 10/31(火) 三鷹市芸術文化センター 風のホール(0422-47-5122)11/25(土)14:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 https://www.triton-arts.netアンドルー・ローレンス=キング ©ALKらにはサヴァール自身の編曲によるカタルーニャ民謡まで、音による壮大な歴史絵巻を繰り広げてくれることだろう。 共演陣もとっても豪華。ヒストリカル・ハープの第一人者アンドルー・ローレンス=キング、バロックギター&ビウエラ(ルネサンス期のスペインの撥弦ジョルディ・サヴァール ©David Ignaszewskiラデク・バボラーク ©Lucie Cermakovaシャビエル・ディアス=ラトレ ©Sara Guasteviバボラーク・アンサンブル ©Vaclav Jirasek思い出す。「超のつく名手たちが指揮者とは別のラインで積極的会話も繰り広げるので最初からかなりの水準。ただただ妙技に聴き惚れる」と当時、筆者は記した。バボラークの素晴らしさは人間性の深いところで仲間たちと共感し、どこまでも血の通った音楽を奏でる点にある。 吉野直子 ©Tomoko Hidakiダビド・マヨラル ©Pablo F. Juárez楽器)のシャビエル・ディアス=ラトレ、そして躍動感あふれる舞曲のリズムを刻む打楽器のダビド・マヨラル。4人の名手が自在な即興を交えて奏でるフォリアやパヴァーヌ、パッサカリアを想像するだけで、思わず踊り出したい気分になってくるのだ。ジョルディ・サヴァール & エスペリオンXXIルネサンス&バロックのダンスと変奏 〜旧大陸、そして新大陸から〜古楽界の頂点に君臨するレジェンドが盟友とともに奇跡の再来日!文:後藤菜穂子 古楽界のレジェンド、ジョルディ・サヴァールが自らのアンサンブル、エスペリオンXXIの盟友たちを率いて5年ぶりに降臨! 筆者はもちろん、発売直後に横浜公演のチケットを確保済である。 サヴァールは最近ヨーロッパでは指揮者としての活動も多く、直近では7月にバルセロナ・リセウ大劇場でモンテヴェルディの《ポッペアの戴冠》を指揮、またル・コンセール・デ・ナシオンとの一連のベートーヴェン交響曲のレコーディングでも斬新なアイディアでリスナーを驚かせてきた。 でもサヴァールの原点はやはりヴィオラ・ダ・ガンバにあり! 今回は、「ルネサンス&バロックのダンスと変奏 ~旧大陸、そして新大陸から~」と題されたプログラムで、ジョン・ダウランドやマラン・マレ、アントニオ・デ・カベソンといったヨーロッパの大家の名曲から、サンティアーゴ・デ・ムルシアやフランセスク・ゲラウ、ルイス・デ・ミランらスペイン黄金時代の秘曲、さ
元のページ ../index.html#65