eぶらあぼ 2023.9月号
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12/16(土)15:00 東京文化会館(小)問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 https://www.t-bunka.jp55マの謝肉祭」、レスピーギ「ローマの祭」、外山雄三「管弦楽のためのラプソディ」。イタリアと日本の「祭」をテーマとする、華麗な名曲が並ぶ。「ローマ」の2名作の絢爛な響きと熱気を、いま好調の角田と東京フィルが鮮烈に奏でる。そしてプログラム最後は、この7月に亡くなった外山雄三の代表作。9/18(月・祝)14:00 Bunkamura オーチャードホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 https://www.tpo.or.jp合わせて人形と自身の間でまるで“魂”を行ったり来たりさせるような独自の表現方法。今回も徳兵衛と遊女お初が心中を決意する名場面や、最大のクライマックスである“道行”の、死の旅へ赴く恋人たちの切ない心情をどのように描き出すか大いに期待したい。加えて、平とのコラボにおいて圧巻の演角田鋼亮 ©Hikaru Hoshi平 常 ©Daisuke Omori三ツ橋敬子 ©Earl Ross誰もがよく知る日本の旋律が、西洋のオーケストレーションで完璧に構築された、理屈抜きで楽しめる傑作で、世界中で最も演奏されてきた日本の管弦楽作品かもしれない。問答無用に熱くなること請け合いの本作で、外山が込めた音楽への思いを楽しく噛みしめたい。園田隆一郎 ©Fabio Parenzan田原綾子 ©Taira Tairadate大田智美 ©Jumpei Tainaka奏や見事な楽曲チョイスで聴衆を沸かせてきたチェリストの宮田大が、今回は“選曲”のみで参加し、既存のクラシックと日本の古典を融合させた新しい音楽を構築。田原綾子のヴィオラと大田智美のアコーディオンで、哀愁漂う魅惑的な旋律を聴かせてくれるのも楽しみだ。文:林 昌英文:東端哲也東京フィルハーモニー交響楽団 渋谷の午後のコンサート 秋の大感謝祭指揮者が3人登場!? 祝祭の名曲に思いを馳せる秋の午後 東京フィル「午後のコンサート」は、午後のひととき、指揮者のトークをまじえて、名曲を名演奏家で楽しむことができる好評のシリーズ。週末・祝日にBunkamura オーチャードホールで開催される「渋谷の午後のコンサート」のうち、「秋の大感謝祭」と銘打たれた9月の公演はなかなか独特。この日の「指揮とお話」はセントラル愛知響常任指揮者の角田鋼亮、「ゲスト(ピアノ)」は園田隆一郎と三ツ橋敬子。ゲストのふたりも第一線で活躍中の指揮者だが、この日はピアノだけの出演という贅沢さ。実は角田と園田は中学・高校、角田と三ツ橋は大学での縁があるとのことで、人気指揮者3人が共演者として並び立つステージが実現した。弾く曲はサン=サーンス「動物の謝肉祭」の2台ピアノ。中でもふたりの息が“全然合わない”曲「ピアニスト」を指揮者たちがどう奏でるのか注目。 他の曲目は、ベルリオーズ「ロー現代人形劇 × クラシック音楽『曾根崎心中』(新制作)鬼才の手でモダナイズされる日本随一の悲恋物語 ひとり芝居と人形劇を融合させたユニークな手法で傑作舞台を生み出す、唯一無二のアーティスト・平常(たいらじょう)。これまでにも東京文化会館とタッグを組んで数多の作品を手掛けており、2020年に初演された藤木大地主演の歌劇《400歳のカストラート》や今年2月の最新作『ピノッキオ』の成功も記憶に新しい(脚本・演出・美術、後者は人形操演も担当)。 そんな同館が主催するシリーズ企画“人形劇俳優 たいらじょうの世界”の『ギリシャ悲劇 王女メディアの物語』『Hamlet』『SALOME』に続く第4弾が登場。今回彼が挑むのは人形浄瑠璃や歌舞伎でお馴染み、近松門左衛門『曾根崎心中』の世界。台詞は原作の世界観を尊重しつつ、現代の観客向けに新たな台本を用意するとか。なお、平の真骨頂は人形と一緒にステージに上がり、一心同体になったり、時には“二心二体”になったりする、話し手に

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