eぶらあぼ 2023.9月号
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■■■■■■ お馴染みのウィーン・フィル「ニューイヤー・コンサート」は、同じ内容の公演が12月30日、31日にも行われるが、今年の担当指揮者はクリスティアン・ティーレマン。彼は「ニューイヤー・コンサート」だけでなく、12月中のウィーン・フィル主要公演全ての指揮を任されている。12月前半に組まれたピアノのイゴール・レヴィットをソリストとするブラームスのピアノ協奏曲第2番と交響曲第3番のプログラムなども、なかなか渋い選曲だ。 さて、ティーレマンが年末にウィーンに登場してしまうので、手兵のシュターツカペレ・ドレスデンは誰が振るのかと見てみると、ちょっと意外なことに、ドレスデンの「ジルヴェスター・コンサート」は、本来ならウィーンとの結びつきの方が強いはずのウェルザー=メストが指揮を担当する。しかも、ピアノのレヴィットがここにも登場して、何だか、ティーレマンとメストとレヴィットの三つどもえ状態のようになっていて面白い。一方、ベルリン・フィルの「ジルヴェスター・コンサート」にはペトレンコが指揮者として登場。ミクネヴィチウテのジークリンデ、カウフマンのジークムント、ツェッペンフェルトのフンディングという注目のキャスティングによるワーグナー「ワルキューレ」第1幕が上演される。今シーズン中には、このプログラムは、年末を除くと来年3月に「バーデン=バーデン136復活祭音楽祭」で1公演予定されているだけなので、ペトレンコ・ファンにとっては聴き逃せない公演だろう。それに加えて興味深いのは、ベルリン・フィルでも、先ほどのウィーン・フィルと同様に、ブラームスの交響曲第3番で終わる演奏会をバレンボイムが振ることになっていることだ。しかも、前プロのベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番にはアルゲリッチがソリストとして登場する豪華版。一時期完全引退をにおわせていたバレンボイムもここに来てけっこう仕事量が増えている。 では、かつてのバレンボイムの本拠地であったシュターツカペレ・ベルリンはどうかというと、現在ニューヨーク・フィルのシェフであるヴァン・ズヴェーデンがやってきて、ベートーヴェンの「第九」を振る。テノールには、人気の衰えないフォークトが登場。ちなみに、ベルリン州立歌劇場の方は、注目女性指揮者ヨアナ・マルヴィッツの振るR.シュトラウス「ばらの騎士」が年末のオペラ公演を彩る。もちろん、手兵のベルリン・コンツェルトハウス管の「年越しコンサート」も彼女が振る。女性指揮者といえば、八嶋恵利奈さんの名前も、相変わらずベルリン・コーミッシェ・オーパーの12月のスケジュールに複数公演登場しているのが心強い。 ちなみに個人的には、ハンブルクのNDRエルプフィルの「ジルヴェスター・コンサート」にミンコフスキが登場して、オッフェンバック「地獄のオルフェ(天国と地獄)」を振るのが楽しみ。なお、12月のミンコフスキは、スペインのテアトル・レアル、パリのシャンゼリゼ劇場でJ.シュトラウスの「こうもり」を振るほか、珍しいことにベルリン放送響にも登場してブルックナー交響曲第0番を演奏する。 例年12月7日を新シーズン初日とするミラノ・スカラ座は、久々、本格的イタオペ、ヴェルディの「ドン・カルロ」(シャイー指揮)で堂々開幕。他にオペラの注目公演としては、新演出(コスキー演出)となるバイエルン州立歌劇場の「こうもり」、バイエルン放送響のモーツァルト「イドメネオ」(ラトル指揮)、チューリヒ歌劇場のラモー「プラテー」(アイム指揮)、ジュネーヴ大劇場のR.シュトラウス「ばらの騎士」(ノット指揮)、オペラ・コミークとチューリヒ歌劇場でのオッフェンバックの珍しいオペレッタ公演、モネ劇場とフランクフルト歌劇場でのリムスキー=コルサコフのオペラ公演など、まだまだ書き足りない。ソヒエフ指揮チェコ・フィルでの、エマールをソリストとしたラヴェルのピアノ協奏曲も聴きもの。(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演(19:00)(BB)日 C.ティーレマン指揮 ブラームス:ピアノ協奏曲第2番、交響曲第3番独/I.レヴィットp(15日は「バーデン=バーデン冬の音楽祭」も参照)◎12月12(19:30)(KH)日 C.ティーレマン指揮 メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟(序曲)、交響曲第3番「スコットランド」、ブラームス:交響曲第3番◎12月30(11:00)、31(19:30)日 C.ティーレマン指揮(プレ・ニューイヤー・コンサート(30日)/ジルヴェスター・コンサート(31日)) J.シュトラウス・ファミリー他の作品ウィーン響[会場:無印=コンツェルトハウス(ウィーン)、(MV)=ムジークフェライン(ウィーン)、(WSD)=シュテファンスドーム(ウィーン)、(TAW)=ミュージアム・クォーター・ホールE[アン・デア・ウィーン劇場](ウィーン)]12月1(19:00)、3(11:00)日 P.ポペルカ指揮(Fridays@7(1日)) フランク:呪われた狩人(3日のみ)、モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番、シェーンベルク:浄められた夜(弦楽合奏版) 独/R.ブッフビンダーp、司会/B.レット(3日のみ)12月7(20:30)(WSD)日 M.ジャコー指揮アドベント(待降節)コンサート 独/F.サイードS、J.テテルマンT、共/ウィーン楽友協会合唱団◎12月16(17:00+19:00)(TAW)、17(14:00+16:00)(TAW)、19(10:30+12:30)(TAW)、20(10:30+12:30)(TAW)、27(17:00+19:00)(TAW)日 O.ナッセン:かいじゅうたちのいるところ 指/S.ツィリアス → 〔アン・デア・ウィーン劇場〕参照◎12月21(19:30)、22(19:30)日 C.エッシェンバッハ指揮 チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲、くるみ割り人形(組曲) 独/J.ベルvn12月30(19:00)、31(19:00)日 O.M.ヴェルバー指揮 E.ミルヒ=シェリフ:Der ewige Fremde(俳優と管弦楽のためのモノドラマ)12月の見もの・聴きもの〔Ⅰ〕オーストリアウィーン国立歌劇場12月1、4日 ドニゼッティ:ドン・パスクワーレ指/M.アルミリアート、演出/I.ブルック、出/A.マエストリ、L.セクガパネ12月2、5、8日 プッチーニ:ラ・ボエーム 指/M.アルミリアート、演出/F.ゼッフィレッリ、出/F.デ・トマーゾ、R.マンテーニャ、C.ウンターライナー、G.グロイスベック★◎12月7、10、13、16、19、22日 プッチーニ:トゥーランドット[プレミエ] 指/F.ウェルザー=メスト、演出/C.グート、出/A.グリゴリアン、J.シュナイダー、D.P.ドゥミトレスク、J.カウフマン◎12月9、14、17、20日 R.シュトラウス:エレクトラ 指/A.ソディ、演出/H.クプファー、出/M.シュスター、C.ガーキー、C.ニールンド、G.グロイスベック◎12月12日 J.D.フローレスT12月15、18、21、26日 モーツァルト:後宮からの誘拐 指/C.マイスター、演出/H.ノイエンフェルス12月25、26、28、30日 フンパーディンク:ヘンゼルとグレーテル 指/A.ソディ、演出/A.ノーブル12月31日 J.シュトラウスⅡ:こうもり 指/S.ヤング、演出/O.シェンク、出/J.M.クレンツレ、C.ニールンド、尼子広志ウィーン・フォルクスオーパー12月1(19:00)日 J.ハーマン:ラ・カージュ・オ・フォール(ミュージカル) 演出/M.キング12月3(16:30)、10(16:30)、13(18:00)、15(18:00)、19(18:00)、26(17:00)、29(18:00)日 H.アーレン:オズの魔法使い(ミュージカル) 演出/H.メイソン12月4(19:30)、11(19:30)日 J.ラーソン:チック、チック...ブーン!(ミュージカル)[23年10月プレミエ] 指/C.フランク、演出/F.ブール◎12月6(19:00)、9(19:00)、12(19:30)、22(19:00)、28(19:00)日 プッチーニ:ラ・ボエーム 演出/H.クプファー◎12月7(19:00)日 オッフェンバック:月世界旅行[23年10月プレミエ] 演出/L.ペリー★◎12月14(19:00)、21(19:00)、27(19:00)日 世界を忘れよう―フォルクスオーパー1938年(Lass uns die Welt vergessen - Volksoper 1938)[プレミエ/世界初演] 指/K.カガルリツキー、演出/T.ボアマンス12月16(18:00)、20(11:00)、23(18:00)、25(17:00)日 フンパーディンク:ヘンゼルとグレーテル 演出/K.デンヒ12月31(13:30+19:00)日 J.シュトラウスⅡ:こうもり 演出/R.ヘルツルアン・デア・ウィーン劇場[会場:ミュージアム・クォーター・ホールE(ウィーン)]〔注〕アン・デア・ウィーン劇場は改修工事中です(2024/25シーズンに再開場予定)。それまで MuseumsQuartier・Halle E(Museumsplatz 1,1070 Wien)を代替会場として公演が行われます。◎12月16(17:00+19:00)、17(14:00+16:00)、19(10:30+12:30)、20(10:30+12:30)、27(17:00+19:00)日 O.ナッセン:かいじゅうたちのいるところ 指/S.ツィリアス、演出/N.ハビアン、演奏/ウィーン響◎12月18(19:00)日 B.ガルッピ:アダムの堕落(演奏会形式) 指/A.ハッキネン、出/I.ラザール、A.ビシュチェヴィチ、L.ガイシナ、S.ルニエ、演奏/ヘルシンキ・バロック管ウィーン・フィル[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(BB)=祝祭劇場(バーデン=バーデン)]◎12月7(15:00)(公開リハーサル)、8(11:00)、9(15:30)、10(11:00)、13(19:30)、15曽雌裕一 編2023年12月の

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