eぶらあぼ 2023.8月号
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9/13(水)19:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 https://hakujuhall.jpみなとみらいシリーズ定期演奏会 第388回9/2(土)14:00 横浜みなとみらいホール問 神奈川フィル・チケットサービス045-226-5107 https://www.kanaphil.or.jp58ゲオルク・フリッチュ ©Gerhard Kuehneのピアノ独奏、ストコフスキー&フィラデルフィア管によって初演された第4番が、珍しいレパートリーにも積極的に取り組む阪田知樹を招いて演奏されるのが楽しみである。ラフマニノフを得意とする阪田が第4番の魅力を明らかにし渡辺玲子 ©Yuji Horiる上に、後期の名品ヴァイオリン・ソナタ第1番と、最晩年の「幻想曲」op.131まで演奏されるのが貴重。楽器の扱い方にはパガニーニへの傾倒が反映されていて、特に「幻想曲」の濃厚なロマンと技巧性は大変なもの。他にもパガニーニの第1協奏曲のクライスラー編曲や、阪田知樹 ©HIDEKI NAMAIてくれることだろう。そして後半にはブラームスの交響曲第2番が取り上げられる。ドレスデン・シュターツカペレ、ドレスデン・フィル、ベルリン・ドイツ響などにも客演するフリッチュがドイツ音楽の醍醐味を聴かせてくれるに違いない。江口 玲 ©小林邦寿第2協奏曲を基にしたリスト「ラ・カンパネラ」(ピアノ・ソロ)なども演奏され、パガニーニを通して多角的にシューマンの新たな一面を浮かび上がらせる。そして「ヴィルトゥオジティ」を追求した彼らの芸術を耳と頭で体感するのに、渡辺と江口はまさしく理想的な存在だ。文:山田治生文:林 昌英ゲオルク・フリッチュ(指揮) 神奈川フィルハーモニー管弦楽団ドイツで要職を担うマエストロが初登場! 神奈川フィルの9月の定期演奏会には、ドイツ出身のゲオルク・フリッチュが登場する。マイセン生まれの彼は、チェリストとしてキャリアをスタートし、指揮者に転向。キール歌劇場やチロル州立劇場のシェフを歴任し、現在はカールスルーエ・バーデン州立劇場の音楽総監督を務め、ミュンヘン音楽大学指揮科教授として後進の指導にもあたっている。まさにドイツ音楽界を担う中堅指揮者であるが、日本のオーケストラを指揮するのは今回が初めてという。 プログラムがとても凝っている。今年がラフマニノフの生誕150年であることは音楽ファンの間でかなり浸透しているが、ドイツの作曲家、マックス・レーガーも生誕150年にあたるということはあまり知られていない。1911年に初演されたレ―ガ―の「喜劇的序曲」はモダン・テイストの楽しい管弦楽曲。また、ラフマニノフも、よく演奏される第2番や第3番ではなく、1927年に作曲者自身渡辺玲子 プロデュース レクチャーコンサート vol.8〜時代を彩る名曲とともに〜 パガニーニ、そしてシューマン二人の巨匠が追求し続けた技巧性を、現代の名手がひもとく 世界的ヴァイオリニストの渡辺玲子がプロデュースする、Hakuju Hallの人気シリーズ「レクチャーコンサート」の第8回が開催される。国際教養大学特任教授でもある渡辺のレクチャーは、作曲家や作品の背景に留まらず、自身の経験と研究による知見、専門的な分析など、聴きごたえ充分の話がたっぷりと展開される。さらに、渡辺のヴァイオリンと名ピアニスト江口玲の演奏がまた世界的水準。耳にも頭にもこの上なく刺激的な時間が約束されているのである。 今回のテーマは「パガニーニ、そしてシューマン」。一見意外な組み合わせだが、19世紀前半、ヴァイオリンの超絶技巧で一世を風靡したパガニーニに、シューマンも大いに影響を受けていた。特にパガニーニ「24のカプリース」はシューマンにとって特別な作品で、創作活動の初期にはピアノの「練習曲」に編曲し、晩年には病床で伴奏付けを行っている。当公演ではその両方を体験でき

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