eぶらあぼ 2023.8月号
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8/20(日)15:00 東広島芸術文化ホール くらら問 東広島芸術文化ホールくらら チケットセンター082-426-5990 https://www.tpo.or.jp https://kurara-hall.jp11/11(土)18:00 東京文化会館(小)問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 https://www.t-bunka.jp56プラチナ・シリーズ第3回 OKI DUB AINU BAND〜欧米で喝采を浴びるアイヌルーツミュージック〜異色のアイヌ・バンドと伝統あるホールの共鳴 東京文化会館の小ホールで開催される人気の「プラチナ・シリーズ」には、クラシックの一流アーティストのほかにも、小野リサ(2020年度)、小曽根真(21年度)、ゴンサロ・ルバルカバ(22年度)など、ジャズやワールド・ミュージックといった多彩なフィールドで活躍するアーティストが出演してきた。なかでも今年11月に出演する「OKI DUB AINU BAND」は、ひときわ異彩を放っている。 OKI DUB AINU BANDは樺太アイヌの伝統弦楽器である「トンコリ」の奏者、OKIが率いるバンド。2006年の結成以降、世界最大規模のワールド・ミュージックの祭典「WOMAD」をはじめ、海外の音楽フェスに多数出演し、高く評価されてきた。 トンコリは細長いボディに5本の弦が張られた素朴な楽器で、すべて開放弦のため、ギターのようにフレットをおさえて音程を変化させることはできなな表現で皆を惹きつける、ぜひとも聴くべき名手だ。さらに妙味となるのがその演目。超絶技巧満載のワックスマン「カルメン幻想曲」の鮮やかな名技はむろん聴きものだが、彼女の曾祖父・服部良一の「蘇州夜曲」、祖父・服部克久の「晩秋のアダージョ」、父・服部隆之の「真田丸」メインテーマなど2曲と、日本を代表する作曲家たる三代全員の作品が並んでいる点が実に興味深い。彼女がこうした身内の音楽をいかに表現するか?も楽しみだし、各々い。つまり5つの音しか出ないのだが、それゆえに同じフレーズをひたすら繰り返すミニマル・ミュージックのような陶酔感と高揚感をもたらす。さらに本来のトンコリの音量はとても小さいため、OKI DUB AINU BANDのトンコリはエレクトリックに「魔改造」され、ドラムやベース、ヴォーカルと一体とな角田鋼亮 ©上野隆文服部百音 ©YUJI HORIの共通性あるいは個性の違いを端的に知る面白さも味わえる。 これは、中国地方で聴く機会が意外に少ない東京フィルのサウンドに触れる好機であると同時に、滅多に聴けないプログラムを体験する貴重な機会でもある。OKI DUB AINU BANDり、「ダブ・バンド」として現代に生きる我々を熱狂させている。 プログラムは当日発表とのことだが、素晴らしい音響を誇るホールで彼らのライブが聴けるのは貴重な機会。小ホールのモダンな空間とアイヌの伝統に根差した革新的な音楽が、どのように響き合うのか楽しみだ。文:柴田克彦文:原 典子オーケストラ・キャラバン 〜オーケストラと心に響くひとときを〜東京フィルハーモニー交響楽団 特別公演豊麗なロマンと華麗なる一族の系譜 広島で行われる東京フィルの特別公演は、大きな見どころが3つある。俊英指揮者・角田鋼亮&東京フィルによる豊麗なロシア音楽、若手屈指の実力者・服部百音のヴァイオリンの妙技、そして服部一族の華麗なる系譜だ。 角田は、N響をはじめとする日本のほぼすべての楽団に客演し、現在セントラル愛知交響楽団の常任指揮者として高い評価を得ている期待株。後半のラフマニノフの交響曲第2番は、セントラル愛知響とCD録音も行っている得意の作品であり、プレトニョフや尾高忠明といった名匠のもとで同作曲家の作品の演奏を重ねている東京フィルを指揮して、いかなる音楽ロマンを表出させるのか? 大いに注目が集まる。 服部百音は、数々のコンクールで優勝し、20代前半にして著名楽団との共演や録音の実績も豊富な俊才ヴァイオリニスト。完璧なテクニックと雄弁

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