8月5日と6日、東京芸術劇場をメイン会場としてサラダ音楽祭が開催される。2018年に誕生したこの音楽祭、最初は「ずいぶんとヘルシーなネーミングの音楽祭だな」と思ったものだが、今やすっかり池袋の音楽シーンに定着している。サラダ(SaLaD)の由来は“Sing and Listen and Dance”。つまり、歌う、聴く、踊る。子どもも大人もだれもが参加できる音楽祭というコンセプトで、多彩なプログラムが組まれている。 毎年人気を呼んでいるのは大野和士指揮・東京都交響楽団による「OK!オーケストラ」。なにがOKかといえば、0歳から入場OK。曲はジョン・ウィリアムズの『スター・ウォーズ』より「メイン・タイトル」、ルロイ・アンダーソンの「ワルツィング・キャット」「サンドペーパー・バレエ」、ドヴォルザークのスラヴ舞曲第8番、グリーグの「ペール・ギュント」から、他。「ペール・ギュント」では、ダンサー・振付家の近藤良平が率いるダンス集団コンドルズがオーケストラと共演する。斬新なダンスがおなじみの名曲に新しい魅力を加えてくれるかも。また、指揮体験コーナーが設けられたり、中川ひろたか作曲「にじ」(園児ソングの大定番)を東京少年少女合唱隊が歌ったりと、子どもたちが飽きない工夫が凝らされている。 子ども向けの本格的オペラも本音楽祭の好評企画。今回は昨年ルクセンブルクで初演されたばかりの新作《アトランティス・コード》~伝説の島の謎~を上演する。フランク・シュヴェマー作曲、ミヒャエル・フロヴィン台本で、演出と台本翻訳を菅尾友が務める。まるで遊園地のアトラクションみたいなタイトル通り、子どもたちがワクワクするような物語が用意されている。主人公の少年はママといっしょに夜の博物館にしのびこんで、宝石を盗むつもりだったが、隣にあった不思議な本を盗んでしまう。その本には伝説のアトランティス島にかかわる秘密が隠されていた……。オペラといっても1時間程度のコンパクトな作品だ。反中洋介、柳原由香、宮地江奈の3人の歌手が、齋藤友香理指揮の小編成アンサンブルと共演する。こちらは小学生から入場可。52 目で見て耳で聴いて楽しめるのは、タップダンスと弦楽アンサンブルによる「Feel The TAP!!」。世界で活躍するタップダンサー、熊谷和徳と都響弦楽アンサンブルが共演する子ども向けコンサートだ。開場中、入場者向けに簡単なタップ体験も行われる。子どもたちにもわかりやすいストーリーで構成されるという。0歳から入場可。 「音楽祭メインコンサート」では、大野指揮・都響が豪華ソリスト陣、新国立劇場合唱団とともにドヴォルザークの「スターバト・マーテル」を演奏する。宗教音楽の傑作をライブで聴く貴重な機会だ。またバッハ(マーラー編)の「エア(アリア)」では、金森穣、井関佐メインプログラム8/5(土)、8/6(日) 東京芸術劇場、池袋エリアSaLaDプレミアムコンサート8/28(月) たましんRISURUホール 8/29(火) パルテノン多摩10/24(火) 小金井 宮地楽器ホール 10/25(水) 東大和市民会館ハミングホール問 サラダ音楽祭事務局03-5422-9511 https://salad-music-fes.com※フェスティバルの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。大野和士 ©Rikimaru Hotta反中洋介熊谷和徳 ©宮川舞子OK!オーケストラ ©サラダ音楽祭実行委員会柳原由香宮地江奈 ©Yoshinobu Fukaya/auraY2金森 穣 ©Kishin Shinoyama井関佐和子 ©Noriki Matsuzaki和子(Noism Company Niigata)のダンスが加わる。こちらもサラダ音楽祭の名物企画。 上記公演を中心として、さらに都響メンバーによる弦楽器を対象とした「サラダ音楽祭マスタークラス」、ダンスや歌、楽器作りなどのプログラムによる「SaLaD ワークショップ」などが開催される。 また、「SaLaDプレミアムコンサート」として8月に横山奏指揮・都響による立川公演、多摩公演、10月に出口大地指揮・都響による小金井公演、東大和公演が開かれる。こちらは無料、事前申込制だ。多くの人がオーケストラに親しめることだろう。文:飯尾洋一[サラダ音楽祭] TOKYO MET SaLaD MUSIC FESTIVAL 2023大人も子どもも“歌って、聴いて、踊って”楽しもう!
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